辺野古で官製談合?!

毎日新聞10/28(土) 7:45配信
防衛省沖縄防衛局が発注した沖縄県名護市辺野古沖の海上警備業務に過大積算があると
会計検査院が指摘したことが、関係者への取材で分かった。2015、16年度の契約4件の予定
価格は計約83億円で、すべて東京都渋谷区の警備会社が受注。米軍普天間飛行場(同県宜野
湾市)の移設反対派に対する警備の「特殊性」を口実として、人件費などが過大に見積もられて
いた。≫

防衛関連予算は一般市民の生活から遠いので、過大請求かどうかがわかりにくいことが多い。
が、今回の場合、海上警備業務ということで、積算しやすい。

「すべて東京都渋谷区の警備会社」。1社?
警備会社はほとんどが警察官僚の天下り企業。この警備会社もそうではないか。

辺野古沖では、移設反対の市民らがカヌーなどに乗って抗議活動を続けており、同局は埋め
立て工事を安全に進めるため海上警備を発注している。受注社は子会社に業務を一部委託しな
がら現在も海上警備を行っている。≫

「受注社は子会社に業務を一部委託しながら現在も海上警備を行っている」とあるが、受注会社
は一体従業員がどれだけいて、自ら直接行っている業務はどれくらいの割合なのか。どうしてこう
いう重要な事実を記事に書かないのか。

≪各契約の一般競争入札は15年7月を皮切りに、16年3月と10月、17年1月に実施。受注社
は1件目で予定価格24億790万円に対し23億9481万円で落札するなど、落札率は約98〜
約99%で推移し、100%に近い
。≫

予定価格を知らなければ、かつ、入札業者間で談合していないと、こんな高い金額で落札する
ことはできない。

≪同局は当初の入札の前、3社に見積書を依頼したが、2社が辞退し、受注社だけが提出した。
国土交通省が定める沖縄県内の警備員の日割基礎単価(15年度)は7500〜1万100円だが、
毎日新聞が入手した受注社の見積書では「海上警備要員」の日割単価が3万9000〜9万円
記載されていた。≫

「3社に見積書を依頼したが、2社が辞退」?
談合の場合、落札予定業者以外は見積書を作らない。手間暇かける分だけ損だからだ。
「見積書を出してよ」と言われれば、出せない。当然、辞退することになる。
そして、残る1社が高すぎる入札価額でぼろ儲け。

≪予定価格は通常、警備員の賃金単価に人数や時間を乗じるなどして積算される。だが、関係者
によると、15年度の契約を中心に調べたところ、同局の積算単価は非常に高額な設定がされてい
た。検査院が独自に標準的な単価で積算し直すと、予定価格より数億円低くできたという。≫

「(防衛省沖縄防衛)局の積算単価は非常に高額な設定がされていた」!
官製談合だ。
落札業者が儲けるだけでなく、防衛省の官僚にも相応の“お礼”があったにちがいない。

これが地方自治体の問題=無駄遣いなら、地方自治法に基づく住民監査請求、住民訴訟で、落札
業者に対する損害賠償請求ができ、官製談合なら関係した官僚は落札業者と共同不法行為をした
ことになるから関係役人に対する損害賠償請求もできるのだが、国の問題=無駄遣いなので、同じ
手が使えない。

国は損害を被っているのだから、不正に関わった者に対して損害賠償請求すべきだ。

防衛省は「検査の過程のため現時点で答えられない」としている。≫

現時点で答えないのはいいが、損害賠償請求の準備はしてほしい。

犯罪者の家族

昨日(22日)午後2時からフジテレビで放送された「ザ・ノンフィクション」(関東ローカル)
の「人殺しの息子と呼ばれて…後編」がすごかった。

「人殺し」は北九州監禁殺人事件のこと。インタビューに応じたのは、犯人を両親とする男
性(24歳)。匿名で顔を隠していたが、音声を変えていないので、男性の心の動きがよく
わかる。取材班はよくここまで漕ぎ着けたと思う。

妻が前編(10月15日放送)を録画してくれていたので、後編の放送を見る前に前編から
みた。前編は両親が逮捕されるまで、後編はその後の男性(逮捕時、8歳)の人生がどう
なったか。

前編。8歳になるまでの間、男性は自宅で起こっていたことを見ていた。死体をばらばらに
切り刻み、ミキサーにかけて、どろどろにしていた。その臭いの酷かったこと。後で気づい
たのは、ペットボトルにどろどろの液体を入れて、遠方に捨てに行く。自身も、両親に電極
を通される苦痛を幾度も与えられた。戸籍もなく、幼稚園、小学校も通わせてもらえず、家
の中に閉じこもらされていた生活。

後編。8歳で両親が逮捕されたことで、男性は救われたか。実は救われていなかった。「人
殺しの息子」というレッテルがついてまわり、散々な人生が続く。よその子どもは両親がい
て、家があって、お金があるのが当たり前。男性にはどれもない。それが8歳からの人生。
とてもふつうの(というものがあるとすれば)信頼関係を他人と持つことができない。他人を
好きになるという感覚もわからない。
両親は、逮捕され刑事裁判を受ける身分だが、屋根がある場所に毎日いられるし、お金に
も困らないし、外部の人に直接、嫌がらせをされることもない、平和な生活を送っている。
父親は死刑判決、母親は無期懲役判決が確定しているが、男性が外で暮らす苦しみを知
らない。
母親は、父親から離れていることで、自分の思いを息子(男性)宛ての手紙に書いてくるが、
男性にとっては母親は父親の言いなりになって自分を虐待し続けていた加害者であり、そ
の体験と手紙の優しい言葉が重ならない。
父親に面会に行けば、「署名活動をしてくれ」と、なおも死刑を免れることしか考えていない。
男性は、取材者に「父親と母親、自分ではどっちに似ていると思うか」と質問され、少し考え
てから、「父親だと思う」と言ったあとに続けて、「だから、いつか自分も父親と同じようなこと
をしてしまうのではないかと考えると、恐い」と言い切った。
そういう男性が今は結婚して、女性と2人で生活している。「お互いに似ている境遇なので」
という。「では、子どもは?」と聞かれると、「つくらない」ときっぱり言う。ここでまた、「いつか
自分も父親と同じようなことをしてしまうかもしれないので」という。父親の血は自分で断ち
切らなければと思っているのかもしれない。
犯罪者の家族も犯罪被害者だということを痛感させられる。

日曜日の午後のドキュメンタリー番組。前編の6.3%(ビデオリサーチ調べ)の視聴率もな
かなかだが、昨日の後編の均視聴率10.0%(同)は、前編をみた人からの広がりだろう。
こういう番組をみて、犯罪者の家族のことを考えてくれる人が少しでも増えてくれるといいと
思う。

報道の自由について

先週、10月5日、滋賀県大津市で開催された日弁連人権擁護大会シンポジウム第2分科会
「情報はだれのもの?」では、エドワード・スノーデンの対談があるということで、たくさんの弁
護士、記者、市民が900人くらい集まりました。
わたしはこの企画準備に関わっていて、この日も、「報道の自由について」と題して簡単な報
告をしました。以下はそのときの報告内容です。


ノーム・チョムスキーアメリカの言語学者で、詳細な事実を鋭く分析し、アメリカ政府の政策
を厳しく批判し続けている人として世界的に有名な人ですが、その著書『メディア・コントロー
ル 正義なき民主主義と国際社会』(
集英社新書)の、冒頭、「メディア・コントロール」の章は、
「メディアの役割」
で始まります。

そこで、チョムスキーは、民主主義社会には2つの概念があると説明しています。

1つは、一般の人々が自分達の問題を自分達で考え、その決定にそれなりの影響を及ぼす
ことができる手段を持っていて、情報へのアクセスが開かれている環境にある社会

もう1つは、一般の人々を社会の問題の意思決定に関わらせてはならず、情報へのアクセス
は一部の人間の間だけで厳重に管理しておかなければならない社会
です。

後者が民主主義社会だという説明に、疑問を感じる人が多いと思います。
しかし、チョムスキーは、これも民主主義社会の1の概念だと言います。

私たちが暮らしている民主主義社会はどちらなのでしょうか。チョムスキーは、後者だと言いま
す。

そこでいう民主主義社会は、ごく少数の人間が、現実とは異なる「必要な幻想」を作り出して、
人の感情に訴える「過度の単純化をした情報を提供して、大半の人間の思考をコントロール
する社会です。組織的宣伝によって、人々が望んでいないことについても、同意を取り付ける
ことができるのです。
ワイマール憲法下でヒトラー政権を生んだドイツも、マッカーシズムが吹き荒れたアメリカも
民主主義社会でした。
チョムスキーは、そのときだけではなく、いまのアメリカも同じだと言います。
そして、それを支えているのがメディアだ、というのです。

日本の政治状況はどうでしょうか。
聞こえのいい言葉で「幻想」が作り出され、人の感情に訴える「過度の単純化」が行われて
いる
と思ったことはないでしょうか。

分科会のタイトル「情報はだれのもの?」は、自分の情報が自分のものでなくなっている、公的
情報が主権者である国民のものでなくなっていることに対する問題提起です。

この事態を逆転させる必要があります。
その方法は、情報公開制度と公文書管理制度です。
しかし、市民ひとりひとりがこれらの制度を意欲的に活用したとしても、公表できる分野や課題、
継続的取り組みは高が知れています。
様々な重要課題について私たちが問題状況を継続的に的確に知るには、報道の自由の強化
が必要不可欠です。

報道の自由の強化の具体的内容は、調査報道の充実です。
日々の30行、40行の発表記事では背景や本質を理解し考えることはできません。読者がじっ
くり読んで考え込むような丁寧な記事
が必要なのです。

基調報告書では調査報道の実例を紹介しています。
国内では、リクルート事件北海道警察捜査費裏金追及、イラク派遣、陸上自衛隊「別班」、加
計学園問題、海外では、スノーデン氏の内部告発パナマ文書です。
取材過程を詳しく書きました。調査報道の取材現場の大変さ、難しさを実感してもらうためです。

調査報道記事を書くのはたいへんです。
北海道警察捜査費裏金追及では、1年半に及ぶ長期間の報道後に起こった、道警OBによる凄
まじい反撃についても説明しています。詳しくは、当時、担当デスクだった高田昌幸さんが書い
『真実 新聞が警察に跪いた日』(角川文庫)を読んでください。

イラク派遣、「別班」報道は、防衛省の内部情報に基づく記事です。
どちらも政府としては国民に知られたくない情報だったはずです。しかし、記者たちは国家公務
員法違反にも特定秘密保護法違反にも問われていません。なぜでしょうか。取材と公表の過程
をみると、隙のない万全の準備をしています。

スノーデン氏の内部告発が世界に発信されるまでの過程で様々なトラブルが起こっていました。
それを乗り越えての世界発信はジャーナリストたちのタフさ、連携の重要性を痛感させられます。

パナマ文書報道は、内部告発先であった南ドイツ新聞だけでは到底実現しませんでした。世界
中から約80カ国、100を超えるメディア、400人近い記者が連携して実現しました。本日のパ
ネルディスカッションのゲストの1人、共同通信の澤康臣さんは日本から参加した数少ないメン
バーです。なぜこのようなことができたのか。詳しくは澤さんの著書『グローバル・ジャーナリズ
ム 国際スクープの舞台裏』(岩波新書
を読んでください。

調査報道の成功は記者の誇りです。
諸外国では記者は独立したジャーナリストです。調査報道の成功を“勲章”にして、他社に移っ
ていき、ジャーナリストとして成功して行きます。そこには、調査報道に力を注きたくなる動機付
けがあります。

これに比べて、日本では、新聞記者は1企業に就職したサラリーマンです。定年まで同じ会社で働くことを予定しています。そのような記者にとっては会社内の評価が重要
です。社内社外からの批判で炎上するかもしれない調査報道よりも、全社横並びの発表ジャー
ナリズムの方が、記者にとっても会社にとっても無難です。
ここに質の高い調査報道が生まれにくい素地があります。

それでも、記者の仕事をしている以上、世の人々に「いい記事だ!」と褒めてもらいたい気持ち
はあるはずです。カッコいい調査報道記事を書けば、家族にも自慢できるかもしれません。

基調報告書では、日本でも調査報道が生まれやすくなるための具体的な提案をしています。パ
ネルディスカッションでもこの点の話が出てくるはずです。

ご清聴、ありがとうございました。

米国:テロ対策の欺瞞

ラスベガス乱射、民主党は銃規制強化を要求 共和党は規制に沈黙
10/3(火) 9:56ロイター配信

≪米ラスベガスで1日に起きた銃乱射事件では死者が少なくとも59人に上り、米国史上最悪となったが
、政治家の反応はこれまでの銃撃事件と変わっていない。
民主党が銃規制の強化を訴える一方、共和党に規制強化を支持する動きは見られない。≫

茶番?

共和党のライアン下院議長は2日、犠牲者を追悼し、祈りを捧げると表明。≫

共和党だからね。

共和党のマコネル上院院内総務は国を挙げた追悼を呼び掛けた。≫

共和党だからね。

≪これに対し、民主党からは祈るだけでは十分ではないとして、銃規制の強化を求める声が上がった。
クリス・マーフィー上院議員は銃購入者の身元調査に関する新たな法案を提出する方針を表明。下院の
ペロシ院内総務は銃販売におけるチェックを強化する法案の可決を求めた。≫

どこまで本気か大いに疑問。共和党の沈黙に対して民主党も沈黙では国民の中から議会不信が起こることは必至。
そうならないように、言うだけは言っておく、という感じではないか。

ホワイトハウスのサンダース報道官は会見で、トランプ大統領が事件を受けて銃規制の強化を望む可
能性はあるかと問われると「近日中に協議が可能な事柄だと考える」と回答。政権としては、今回のよう
な事件の再発を止められない法律が作られることは望まないと述べた。≫

犯人がISなら大騒ぎ、世界中の人間を24時間の監視対象にする。
そういうアメリカが、犯人がISでないと沈黙する。
米国民にとっては、多くの国民が殺されることは大問題だが、米国政府にとっては、多くの国民が殺さ
れることは大した問題ではないのだ。違いは、IS対策は莫大な利益を得る巨大企業があるが、銃規制
では巨大企業が莫大な利益を失うという真実。ここにアメリカの真の原動力がある。

「希望の党」の希望について

小池知事にとって東京都は自分の政治生命を賭ける場所ではなく、政治家・小池百合子
を目立たたせるためのお膳立ての場でしかない。行政は知事のパフォーマンスだけで動く
ものではない。築地・豊洲問題が何も解決しないうちに、小池都知事は国政の場に席を移
してしまうかもしれない。地に足のついた都政をして来ていない小池知事が、国政でも同じ
ことをすることになる危険はきわめて大きい。
パフォーマンスやマスコミ対応で世の中の人は動かせると高をくくっている小池知事にここ
で2度目の成功をさせてよいのか大いに疑問だ。

自民党一強に対抗する野党勢力を結集する必要があるという感覚もわからないではない
が、実際に起こっていることは、現職議員たちの生き残りを賭けたサバイバルゲームであ
り、小池知事の命名による「希望の党」は、世間で言われているとおり、国民の希望ではな
く、現職議員の生き残りの希望でしかない。
そうは言っても、その生き残りの希望が卑しいとは言い切れない。もう消えてもいいのでは
ないかという議員もいれば、政党間を泳ぎながらでも生き残って欲しい議員もいる。
自分の選挙区から出ている候補者がどちらなのかこそを見極めてほしい。「希望の党」とい
うブランド名だけで当選させてはいけない。
この見極めが成功すれば、「希望の党」には国民、市民の希望がいくらか入り込むだろう。

総選挙の結果の勢力分野がどうなるにしても、国民、市民が楽観視してよい状況にならな
いことだけは確かだ。投票後の議員の活動にどう関わり、影響を与えていくかを、私たちは
考えていく必要がある。

都民ファーストの会に勝つだけの実力はなかった

昨日の都議選は、都民ファーストの会の圧勝、自民党の歴史的敗北で終わった。
小池都知事都民ファーストの会の当選者は大喜びしているに違いない。しかし、
都民ファーストの会の候補者に投票した都民が同じように喜んでいるかというと、
そうではない。

投票日前日の秋葉原の群集は「安倍、辞めろ!」と繰り返し叫んでいた。これに
違和感を抱かない多くの人がいた。これは国政レベルの自民党議員や安倍総理
への強い不満、怒りであり、都民ファーストの会への声援ではない。

多くのアンチ自民党が短期間で増え、それが自民党以外の候補者に投票するこ
とにした、しかし民進党共産党は厭だということで、消去法で都民ファースト
会の候補者にでも投票するかとなったに過ぎない。そうでなければ、政策も実績
もない候補者が軒並み当選できるはずがない。

稲田防衛大臣の暴言はとても弁護士資格を持っている者とは思えないひどいも
のだった。「誤解」という弁解で済むはずがない。防衛省自衛隊も困るに違いな
い。安倍総理が稲田防衛大臣を解任するか辞任させていれば、かなり違う展開
になっただろう。安倍総理にはその読みがなかったのだろうか。

かつて自民党に圧勝して政権をとった民主党衆議院解散直後の衆議院議員
選挙で自民党に惨敗し、その後立ち直れなくなっているのも、民主党政権のあま
りの情けなさに呆れた国民が、絶対に民主党には投票しないというアンチ民主党
になり、自民党候補者に投票したときと全く同じ構図だ。

都民ファーストの会はこのことをはっきり自覚して、全議員が短期間のうちに優
秀な議員に変身する努力をしないと、すぐに議員が次々にボロを出し、都民ファ
ーストの会は一気に自滅して行くだろう。