違法ダウンロードは犯罪か?

今日、日本弁護士連合会主催の市民集会「違法ダウンロードに刑事罰は必要?」に発言者として参加してきた。
連休直前に企画が決まり、宣伝期間はほとんどなかったが、日弁連の会場に50人余りが集まってくれた。社会の関心の高さを実感した。

2年前の著作権法の改正のときに、あえて、違法ダウンロードを刑事罰の対象にしない、ということが確認されたのに、昨年暮れ、自民党公明党日本レコード協会などの要請に応じて、刑事罰を提案し、いま、国会で立法化に向けた議論が行われている。たしかに、年々、着うたの違法ダウンロードが急増していて、2010年は推計12億ファイルになっているというのは、業界的にはショックなのだろう。本来だったら、1ファイル数十円か百何十円かが入るはずが入らないのだから、総額としては大きい。

しかし、違法アップロードの摘発自体、まだ、ほとんど行われていないし、違法ダウンロードの差止請求は1件も裁判になったことがない。そういう状況で、さっさと刑事罰化か。

違法ダウンロードを刑事罰の対象にしている国はまだ少数である。しかも、刑事罰は設けたけれど、それで成果を挙げているわけでもない。
1ファイル数十円か百何十円の損害について警察が組織を挙げて取り組む場面を想像すると、なんとも非効率。警察官の給料をこういうことに投入してしまってよいのか。日本レコード協会の悔しい気持ちはわからないではないが、なんとも的外れな対応のような気がしてならない。

しかも、着うたを違法ダウンロードしている人たちのかなりの割合を10代の子どもたちが占めている。実際に彼らが逮捕されるかどうかはともかく、彼らの行為が「犯罪」だということになると、日本は犯罪者しかいない社会になりかねない。そういう社会が望ましい社会なのか。

聞くところによると、杉良太郎さんが刑事罰化を求めているそうだが、子どもたちが軒並み「犯罪者」になる社会を本気で望んでいるのだろうか。杉良太郎さんと言えば、受刑者のためのボランティア活動など先駆的に取り組んで来た方だったはずです。問題をちゃんと理解してもらえれば、ほかの解決法があると思う。

是非、杉良太郎さんや日本レコード協会と意見交換をしてみたいです。