「あまちゃん」法!

秘密保護法がマスコミで話題になってから、多くの人から質問される
が、ほとんどの人がわたしが最も言いたいことを報道に取り上げてく
れない。あまりにも取り上げてくれないので、幾人かの記者に聞いて
みると、「それでは読者、視聴者にわかりにくいので」。

大事な問題だからわかりにくくても、がんばってわかるようにしてく
ださいよ。
と思うのだけれど、それはマスコミという仲介者が間に入ると、ダメ
になるらしい。秘密にして欲しくないのに秘密にされている。まるで、
逆秘密保護法だ。

でも、わたしの話は本当は至ってシンプルだ。

この法律では、秘密を保護したいということだけれど、秘密はどういう
状態で存在するのですか、その状態に見合った制度にしなければ秘密は
守れないし、余計な副作用さえ起こしますよ、ただそれだけのこと。

秘密保護法が想定している秘密はすでに存在している。では、どういう
状態で存在しているか。
この確認がなされていない。
紙の状態であるのかデジタルデータの状態であるのか保護の仕方は
まったくちがう。反対論者はともかく、推進論者がこの点にまったく
言及しないのはどういうことか。まじめに秘密保護を考えているとは
思えない。行きがかり上、立場上、「賛成論者」になっているに過ぎ
ない。なんとも無責任な人たちだ。

公的情報の多くはデジタルデータとして存在する。
であれば、それを前提に保護の仕方を考えなければならない。
法案第1条が、「高度情報通信ネットワーク社会の発展に伴いその
漏えいの危険性が懸念される中で」と書いているのは、まさにその
とおりで、であればこそ、デジタルデータの漏えいの問題こそ最優先に
考えた法律になっていなければならない。

ところが、そうなっていない。
今年9月に公表された方立案概要では、「指定に係る事項が記載された
文書に特定秘密の表示をすること」とだけあり、「文書」が紙のもの
だけを想定しているように読めた。内閣情報調査室の担当者に確認したら、
「文書の右上辺りに表記する」という説明があった。ということは、
デジタルデータは想定していないということだ。なんという法律だ。
第1条に書いたことをすでに無視している。

自民党のヒヤリングでこの点を指摘したら、その後10月に公表された
法案には、デジタルデータも意識した書き方に変わっていた。

それはそれでいいのだけれど、それ以外の規定は依然として紙データを
前提とするもののまま。紙データだろうが、デジタルデータだろうが同じ
だ、と開き直っているフシがある。何という無知、無責任。
どちらの形態かで漏えいの危険や漏えいの仕方がちがうことくらいだれ
だって知っている。そのことがこの法律ではまったく意識されていない。

紙データしか考えていないから、漏えいだけを問題にする?
デジタルデータであれば、改ざんや破壊も漏えいと同じように問題になる。
それは処罰の対象になっていない。
改ざんや破壊は、データを管理している内部の職員によって最も起こり
やすい。秘密指定も彼らにとっては日常業務の中の1つだ。
だから、秘密保護法はデータ管理法として取り扱う公務員に対する義務法
として構成される必要があるのだ。

それがなんと。秘密保護法では、「行政機関の長は・・・できる」「できる」
「できる」という条文のオンパレード。

官僚に甘い、官僚が好き勝手にできる、官僚のための、「あまちゃん」法だ。