「誤報だ!」とは言わないけれど

 東京新聞毎日新聞が今日(2月13日)の朝刊で、情報公開請求で入手した、
情報保全諮問会議の議事録について報道している。

 東京新聞は、安倍総理が核持ち込みなどに関する日米間の密約問題について
過去の自民党政権の対応を反省する発言を情報諮問会議でしていた
ことが、内閣
官房のホームページの議事要旨では削除されていたことが情報公開請求でわかった、
という報道。

 毎日新聞は、情報公開請求の結果、情報保全諮問会議のメンバー7人中、5人が
賛成派だった
、という報道。

 どちらの記事も、この議事録の何がニュースかを理解していない。

 諮問会議では、議事要旨と議事録を作成することを確認していた。どちらも時間差で
出ることは予定されていた。
 議事要旨は、諮問会議で出たメンバーの発言の要旨を並べるのが主眼になる。一般の
人々には、メンバーに選ばれた人たちがどんな発言をしているかを、要点を掻い摘んで
わかってもらえればいい。総理大臣はそれを聞く側である。総理大臣の発言について
省略があるのは驚くような異常なことではない。

 議事録が公開されると、総理大臣の発言についてカットがあることはすぐにわかる。
カットされた発言で、諮問会議のメンバーの発言が左右されるようなこともない。
大騒ぎする問題ではない、と思う。

 諮問会議メンバーの秘密保護法の賛否。その構成がわかったからと言って、それが
果たして事件だろうか。すでに幾度も言っているように、諮問会議に求められている
ことは、秘密保護法の賛否にほとんど関係がない。情報管理システムをどのように
するかについての検討と提案である。賛成だから何でもOKにはならないし、反対
だから何でもOUTではない。

 基本方針として「反対!」はいい。
 しかし、具体的な中身の検討を始めようとしているときに、「賛成」「反対」という
結論にしか関心がないとすれば、この法律を12月12日までに施行できるように準備
している者には何の影響も与えない。
それは自己満足の世界だ。

 なんでも反対、批判すればいいというものではない。
 諮問会議の運営が非公開になっているだけに(ここも反対できなくはなかったが、
ここで時間を費やすのは無駄だと思った。)、公表する議事要旨の詳細化、発言者
実名の議事録の作成とその公開は必要不可欠だと思った。
 秘密保護法の制定を提案した、秘密保全のための法制の在り方に関する有識者会議が、
議事録を作成せず、議事メモも事務局職員全員が廃棄していたということが、その後の
議論を如何に混乱させたかという批判的視点をもとに、その正反対にしようとした。
「秘匿性の高い情報の管理の在り方を議論するのだから、議論の過程はなるべく公表、
公開すべきだ」という提案にだれからも反論が出なかった。

 諮問会議はできるだけオープンな手続で進めていくことができるのではないかと思う。

 諮問会議のメンバー全員から異論がなかったから、実名での議事録が作成され、
ほとんどが公開されたことについて、マスコミは諮問会議の努力を少しは評価すべき
ではないのか。
 マスコミに評価するセンスがないなら、情報公開した人たちだけでもいいから、評価して
ほしい。

 諮問会議のメンバーが事務局官僚に取り込まれるのではないかという視点は、見物客の
視点だ。

 広く国民が当事者として関心を持ってくれるならば、できるだけたくさんの情報公開請求を
して、その結果をもとにどしどし意見を公表してほしい。私もほかのメンバーもそういう
意見も参考にしながら、自分の提案意見をつくっていくことになるだろう。