有意義だった礒崎陽輔議員との対談

 昨夜、BS日テレで、秘密保護法の準備状況を主な話題として、内閣総理大臣
補佐官の礒崎陽輔参議院議員と話をした。

 進行役の小西美穂さん(日本テレビ報道局)と玉井忠幸さん(讀賣新聞編集局
次長・編集委員)とは、昨年の法案審議中のときに番組でご一緒し、「顔見知り」。

 2人は、前回同様、わたしが秘密保護法のことをボロクソに言うのを楽しみに
していたらしい。
 しかし、その期待はちょっと裏切ってしまった。いまはステージがちがう。
法案が成立し、施行に向けて具体的に制度づくりをしている段階だ。その政府の
中心人物を相手に「反対」を言っても、どうなるものでもない。

 進行役からは、尖閣ビデオ原発情報が特定秘密に該当するかどうかという質問
出された。これは、国会審議中から政府が回答しており、いまさら確認するほどの
意味はない。

 尖閣ビデオは該当しない。自民党の見解は当初から日弁連と同じ。実質的にも
形式的にも秘密に該当しない、というもの。
 問題はこの先だ。これが日本のスパイ衛星で撮影したものだった場合には、撮影
した映像に何が映っているかということではなく、映像の解析度が別表の一号ロ
(防衛に関し収集した電波情報、画像情報その他の重要な情報)に該当する可能性が
ある。しかし、それもこの手の技術は短期間に進歩して行くので、長期間秘密にして
おく必要があるかどうか疑問だ。さらに、逆に秘密にしないで、どこまで見えている
かを示すことによって牽制するという選択もあり得ないではない。とにかく隠せば
いいというものでもない。

 原発施設は民間企業の施設なので特定秘密に該当しない。別表の四号のテロ対策と
の関係だけが問題になる。
これが礒崎議員の説明。
 これも正しい。
 問題はこの先だ。テロ対策がどこまで広がってしまうのか。どのように歯止めを
かけるのか。かけることができるのか。抽象的な説明は正しくても、実際に当てはめて
ゆくと、いろいろ難しい問題がありそうだ。

 わたしからは、国会に常設の監視委員会をつくるべきだという話をした。
 秘密保護法10条1項1号イの規定に関する問題だ。
 礒崎議員は、「外国の国会の特別委員会が監視対象にしているのは国家警察。秘匿性の
高い情報全般というのはない。日本にはアメリカのCIAのような国家警察はない。」
と、消極的な指摘をした。

 が、実態としては日本には国家警察(公安警察分野)はある。法形式の問題ではなく、
実際にある以上は、それに対する監視委員会は必要だ。

 また、憲法に規定されている衆参両議院の国政調査権(62条)の強化という観点から、
国会法の国政調査権に関する規定を見直し厳格な運用をすることによって、秘匿性の高い
行政情報が衆参両議院に提供されるようにすべきであるし、さらに秘匿性の高い行政情報に
ついては常設の監視委員会を新たに設けて、そこでチェックするようにすべきだ。官僚が
国会に対して秘匿性の高い情報を出したがらないのは、国会(議員)に対する強い不信感が
あるからだ。これを払拭する仕組み(会議の非公開、特定秘密を見る場所の限定、見る者の
範囲の限定(委員と事務局職員のみ)(職員については国会内部で独自の適性評価を行う)、
独立の事務局体制とその強化、議員について適性評価に替わる研修、議員の懲罰・罰則)が
必要だ。

 秘密保護法があろうがあるまいが、秘匿性の高い行政情報は存在する。
 その運用について、現在、国会はまったくコントロールができていない。コントロール
できるようにするには、新たな法律が必要だ。国会が秘匿性の高い行政情報について
コントロールできるようにした方がよいと考えるのであれば、秘密保護法に賛成か反対か
を問わず、この法律をつくることに積極的に取り組むべきではないだろうか。

 番組では言葉が足りなかったかもしれないけれど、こういうことが言いたかった。
 意見がちがう人と話をすると、自分があまり意識していなかったことを教えてもらえる。
BS日テレの対談はとても有意義だ。