ギリシャ代表の23選手はなにを求めたか

 ネットニュースのタイトルで、「初の16強進出だったギリシャ、選手はボーナスを
断る」を見たとき、なるほど、と思った。

 いまのギリシャの経済状態で、ギリシャの選手は、16強進出が如何に快挙だっ
たにしても、自分たち個人の金銭的ご褒美で喜んでいる場合じゃない。

 ギリシャはグループステージでコロンビアに敗れたものの、日本と引き分け、コー
トジボワール相手に終了間際の劇的PKで勝利を収め、初のベスト16進出。
 決勝トーナメントでは、1回戦でコスタリカ代表と対戦し、PK戦の末に敗退。

 歴史的な快挙だけに、ベスト16進出を果たしたボーナスを選手たちに出す、とい
うのも、なるほどな、ではある。

 が、選手たちは、決勝トーナメントの試合開始前にボーナスを断わっていた。ギリ
シャ『newsbomb』によると、ギリシャ代表の全23選手は、署名入りの手紙をアン
トニス・サマラス首相に届けたという。手紙の内容は、

 「僕たちは追加のお金やボーナスを望んでいません。僕らはただ、ギリシャのため、
ギリシャ国民のためにプレーしています。僕らが望むのは、代表チーム用のスポー
ツセンターを建てる場所を見つけ、建設するための我々の努力への支援です」

 なるほど。
 これは美談ではない。ギリシャのため、ギリシャ国民のための切実な要求がスポ
ーツ選手たちから出て来ざるを得ない厳しい現実があるということなのだ。