納得できない、東海道新幹線の車内検札

 仕事柄、地方出張が多い。かなりの遠方は飛行機だが、大阪、盛岡あたりまでは新幹線を使う。
 新幹線の中では、仕事をしているか、本を読んでいるか、寝ているかのどれか。事務所にいる
ときとちがって、電話もメールも来ないところでは、完全にマイペース。
 東北新幹線、長野・上越新幹線はほんとうに快適なひととき。車内検札がないからだ。

 それが、東海道新幹線ではいつも車内検札に遭遇する。
 東京駅で新幹線に乗って、到着駅までにする仕事の資料を取り出して、検討を始める。
 そこへ、品川駅を過ぎたあたりから、必ず、検札が来る。検札の乗務員の姿を見かけると、乗
客だれもが、「あれ、乗車券、どこだっけ?」と、ちょっとした動作をする。検札の乗務員その人自
体は礼儀正しいから恨みはないのだけれど、つい、「不正乗車なんかしてませんよ。さっき、改札
を通ったばかりですけど。疑っているわけ?」と言いたくなる。
そんな気になるのは、きっとわたし
だけではないと思う。

 新幹線乗車券は、自動改札を通るか、駅員のチェックがなければ、新幹線ホームの出入りがで
きないようになっている。しかも、検札をする乗務員は、携帯端末で、個々の座席に人が座ってい
る場合、その席の乗車券・指定席券が改札を通過しているかどうかを確認できる。単純な仕組み
だ。

 JR東日本は2002年から、東北、長野、上越、秋田、山形各新幹線の指定・自由両席で廃止。
近畿日本鉄道も2001年からほとんどの特急で廃止している。
 東海道新幹線で真似ができないむずかしい仕組み、というものではない。

 では、なぜ、東海道新幹線だけが?
 インターネットをみたら、やはり、かなりの人が疑問と不満を抱いている。

 インターネットに書かれていたJR東海が検札を廃止しない理由の一つが、一部乗客の乗り方
なのだそうだ。
 「1時間あたり平均8本と運転本数が多い東海道新幹線では、指定席を買っていても、予定よ
り早く駅に到着した場合、出発時間が早い列車の自由席が空いていれば乗ってしまう乗客がい
る。逆に、乗車後に指定券を買うつもりで空いた指定席に座ってしまう乗客も多く、検札をしなけ
れば指定料金(東京―新大阪間で810〜510円)を取りはぐれる、というわけだ。」

 呆れる。こんなの、およそ理由になっていない!

 これが理由なら、すでに車内検札をしている会社はみな、おバカさんだ。そうだろうか?
 ちがう。JR西日本が的確に答えている。「そういう人から徴収はできないが、指定料金はもと
もと指定券を買った人にお支払いいただいているため、問題はないと考えている」
。つまり、プ
ラス・マイナスはゼロということ。商売としては損をしていないのだ。それでいいじゃないか。
 JR東海はゼロではなく、プラスにしようという考えなのだということになる。損をしていないの
に、検札要員として多くの乗務員を雇い、膨大な人件費を支出するそれによって、どれだけの
儲けが出たのだろうか。なんたって、自由席乗車券で指定席に座るのは、自由席に空きがなく
て、指定席に空きがある場合にほぼ限られる。毎日、どの新幹線でも起こる現象ではない。

かし、検札は、東海道新幹線であれば、どの列車でも回ってくる。自由席乗車券で指定席に座
った人から徴収できる指定料金の金額からして、検札要員を使うメリットがないことは明らかだ。

 ここで、正解に辿り着く。
 JR東海の説明はウソだ。 東海道新幹線は儲かり過ぎているので、必要の無い検札要員をたくさん雇って、給料を払い続
けることができる。労働組合が強いのか、何らかの利権があるのか、それとも。いずれにしても、
まともじゃない。ちゃんとした説明ができるなら、すべきだ。できないのなら、さっさと廃止すべきだ。

 カネが余って無駄な検札要員に回すくらいなら、新幹線料金をもっと安くするか、地域生活の生
命線ともいうべきローカル線の存続に回せる策を考えてほしい。