来春の統一地方選挙を前に

 来春に統一地方選挙が迫ってきたこともあって、新聞、テレビの取材申込は地方議会(の議員)の「生態」に
関するものが急に増えて来た。

 取材に来た人たちに、わたしは、地方議会(の議員)の暴走ぶりを具体的に説明する。なぜ、暴走できるかと
いう構造的な問題も説明する。取材に来た人たちは、自分たちの予想を遥かに上回る地方議会(の議員)の「
惨状」に呆然とし、「どうしたら、議会はよくなると思いますか?」という質問をする。

 わたしの答えは簡単。
1)議員報酬を大幅に減額すること。
2)1期を原則とし、2期を限度とすること。

 これだけでは変わらない。しかし、これを実行しなければ変わらない。

 1)で、まともに調査研究もしないで言いたいことを言い、何もしないで、月々数十万円から百万円を超え
る報酬を得ることを目的とするような者が議員になることを排除する。

 議員報酬はあって当然の制度ではない。2001年10月に「合併しない宣言」を出した福島県・矢祭町では、
議員報酬に日額制(「日当制」とは呼ばないのだそうだ。)を導入している。
当初は、全国各地の自治体から
訪問があったそうだが、その後、どこの議会も採用していない。自治体財政は確実に縮小し疲弊しているの
に、日額制(日当制)を導入しない、議員報酬制度を維持しようとする執念はだれのためなのだろうか。
 議会の運用の仕方を工夫して、議員報酬制度がなくても、多様な人が議員になれるようにすればいい。そ
の方が「お任せ民主主義」を脱却するためにもなる。

 2)で、「議会ムラ」のボス支配を排除する。 何期も議員をしていると、保守革新を問わず、議員は「ボス」になってゆき、新人議員を威圧し、揶揄し、屈
服させ、新たな風が議会の中に吹くことを許さない。こんな議会にまともな議論などできるはずがない。1)と
セットにすれば、何期も議員をやれる犠牲的精神の持ち主はそうはいないだろうが。

 こういう提案には、現職の議員や、議会に幻想を抱いている人たちから、強い反発、反論があるにちがいな
い。

 地方議会(の議員)の「生態」の「惨状」をみるにつけ、「地方議会はない方がいいのではないか?」と思う。
・・・が、しばらくして、「本当にそれでいいのか?」と問い直す。何とかするしかない。

 どうすれば、この状況を変えられるか。
 わたしの提案に対する反論を初めとして、感情論や抽象論でない、まともな議論が大いに盛り上がれば、少
しは濃霧に薄日が差して来るのではないだろうか。