まんだらけは、モザイクを外してよいのか?

 盗んだ品物を返さなければ、防犯カメラに映った万引き犯の顔を公表する!
 まんだらけが怒りのメッセージを公式サイトに公開している。

 発端は、8月4日午後5時頃、東京都中野区「まんだらけ 変や」で、時価25万円の「野村トーイ製 鉄人28
号 No.3 ゼンマイ歩行」
が盗まれたこと。
 8月5日、まんだらけは、「1週間以内に返しに来ない場合は顔写真のモザイクを外して公開します」という警
告文とともに、犯人とされる人物の写真を、顔にモザイクを掛けた状態で公式サイトに公開した。

 25万円もする商品を盗まれたまんだらけが怒る気持ちはわかる。
 
 しかし、怒りをそのまま行動に移してはいけない。
 
 まんだらけは、防犯のためにカメラを設置したんじゃないのか。ならば、大型スーパーマーケットなどでやって
いるように、モニター監視の専門員を配置していて、この人たちがモニターを常に観ていて、事件が起こった
ら、現場近くにいる店員がすぐに現場に駆けつけて、店外に出る前に万引き犯を捕まることができたのでは
ないか?

 なぜ、それができずに、まんまと盗まれたのか?
 監視員がサボったのであれば、監視員の職務怠慢を怒るべきだ。
 監視員を配備していなかったのであれば、防犯のためのカメラとして機能しないことは初めからわかってい
たことだ。映像を犯罪の証拠として警察に提出して、警察の責任で捜査してもらえばいい。
それだけのことだ。

 もしも、まんだらけが、犯人とされる人物の顔写真のモザイクを外してインターネットに公表したらどうなるか。
その人の犯行写真は半永久的に世界中でみられ続け、その人は生涯、「あのときの泥棒だ!」と言われ続け
るかもしれない。「そういう人生を歩むことになっても仕方がない」と言えるだろうか。
 ほかの人にも影響があるだろう。顔写真に似ている人は、周囲の人から、「お前が犯人なんじゃないのか」と
からかわれたり、苛められたりするかもしれない。そういうことが起こってもよいのか。

 まんだらけは警察に盗難届を出したのか。出そうとしたのに、警察に届出を拒否されたのか。この点がはっき
りしない、というのもおかしい。

 まんだらけは、「この件に関して正式なコメントは何も出せない」と言っているらしいが、冗談じゃない。幾人
もの人の人生に取り返しのつかない悪影響を与えるかもしれないということをやろうとしているのだから、社会
に対してしっかりとした説明をする責任があるはずだ。