兵庫県議会の挑戦/事前一括払いから事後清算へ

 毎日新聞の記事(2014年08月12日)によると、号泣記者会見で有名になった野々村竜太郎前県議(48)の政務活動費の
出鱈目な使い方を見逃して続けて来た、兵庫県議会が制度運用を事前の一括給付から事後精算に変えるらしい。

 ≪県議会は11日、現在四半期ごとに前払いしている政活費を、月ごとの事後精算払いに変更することを決めた。支給額は、
月額50万円を同45万円に10%減額する方向で調整する。≫

 四半期ごとに前払いしていたということは、議会事務局は四半期ごとに各会派・各県議から政務活動費に支出状況の報告
を受けていたはずだ。そこで問題がみつかれば、すぐに問題を指摘し、今後の改善と、すでに支出した項目が政務活動費で
支出すべきものでなかったなら、それを政務活動費の支出として認めない処理をする必要があったはずだ。

 それが、野々村前県議が四半期以上の期間にわたって、違法な支出をしていたのだとすれば、県議会事務局は本来なす
べきチェックをしていなかったことになる。県議会内では、野々村前県議はとんでもないヤツかもしれないけれど、県民からす
れば、議会が見逃して来たことにこそ、呆れ、まともな改善策を強く求めることになる。納税者として当たり前だ。
 
 記事によると
 ≪事前に各会派に一括支給し、会派責任者と議会事務局が毎月議員から提出される領収書などを二重チェックし、適正な
ら精算支給する。≫

 会派責任者がチェックすべきはこれまでも行われていたことであるが、一人会派を認めている議会では、当該県議以外の
会派責任者は存在しないので、チェックは存在しない。
 議会事務局のチェックにしても、四半期ごとだったのが一ヶ月ごとになるだけのこと。ここも変わらない。

 変わるのは事後清算方式の点。これは、他の都道府県議会議では採用していないだろうし、真似る議会は今後、出て来な
いだろう。

 もともと、首長側が議会議員側に「協力賃」として渡していた「お手盛り金」だったのだから、議員には他人に厳しくチェックさ
れるという感覚がない。そんな人たちに事前にまとまった現金を渡せばどうなるか。だれにも想像できることだ。それなのに、
全国の都道府県議会が前払い。議会の力の強さがわかろうというものだ。

 兵庫県議会が事後清算方式を採用すると、会派責任者、議会事務局(議長)が、議員たちに対して強い発言権を持ち、かつ、
実行し続けなければならない。まさに、兵庫県議会は生まれ変わる、という意気込みなのだろう。

 しかし、会派責任者は、会派の支配者とは限らない。持ち回りでなっただけかもしれない。そういう会派責任者の指示に議員
たちが従うだろうか。
 議会事務局職員は、議員に厳しい態度をとったら、どういうことが起こるかを知っている。厳しい態度をとったときから、その
職員は陰湿な嫌がらせを受けるようになるかもしれない。他の職員は巻き込まれたくないと思い、助けてくれないかもしれない。
2,3年して執行部に戻ったときに、議員からどのようなことを仕掛けてくるかわかったものではない。

 制度を変えても、それだけでは実態は変わらない。