「モザイクを外すな」は、犯人甘やかしか?
タレントの中川翔子さんは、まんだらけが被疑者の姿写真の公開をしたあとも、自分のブログに「意識的に窃盗してる犯人甘やかすこと
ない」と書いている。
「まんだらけの万引き犯人、絶対に警察が捕まえてほしいね。された側がされた損になる世の中じゃ嫌だな。
意識的に窃盗してる犯人甘やかすことない。
盗むって最低。犯罪なんだから。
自分でお金出して買う。当たり前。いい歳なのだから。」
わかりやすい!・・・でも、そうだろうか?
現実の世界はそんなにわかりやすくできていないと思うのだが。
「絶対に」と言うけど、これは「まんだらけの万引き犯」限定の要求か?
そうだとすれば、なぜ、中川さんはまんだらけだけについて「絶対に」なんて思うのか?
「された側がされた損になる世の中じゃ嫌だな。」が理由なら、すべての万引き犯どころか被害が発生するすべての犯罪ってことになる。
それって、実際の警察の犯罪検挙率をみれば、まったく現実的じゃない。
「意識的に窃盗してる犯人甘やかすことない」
意識的じゃない窃盗なんてない。窃盗はみんな意識的だ。(他人の物を自分の物と思い込んで持ち去ることは窃盗じゃない。)
それはともかく、中川さんが言いたいのは、こういうことだろう。
モザイクを外したところに現れる顔は犯人そのものだ。それが公にならないことで、犯人はぐずぐず隠れているんだ。だから、インターネッ
ト上で晒し者にして世界中から逃げ隠れできないようにしてしまえばいい。そうすれば、盗んだ品物を返さざるを得なくなる。そういう厳しい
態度こそ必要だ。
でも、モザイクを外すべきではない理由が、単なる犯人甘やかし?
それは全然ちがう。
中川さんが提案するように、インターネット上で晒し者にしたら、犯人は慌てて返しに来るかもしれない。中川さんとしては、「これで一件
落着」なのだろう。が、現実はちがう。そのあと、インターネット上に晒されている画像はどうなる? まんだらけがHP上で削除しても、一
旦、世界中に拡散した情報は永遠に消せない。何年後も何十年後も、モザイクを外した画像をだれもが見ることができる。そして、「これ、
ひょっとして、あなたでしょ?」「これ、ひょっとしたら、あいつじゃないか?」と、だれからもチェックされる。そして、「それじゃあ」と、周囲
の人は(ちょっと)引く。そういうことが延々と続く。中川さんはこれをOKと考えるのだろうか。
犯人の家族や親族は、この万引き事件の共犯者じゃない。なのに、犯人の親だ、兄弟姉妹だ、親戚だということで、職場、学校、ご近
所で、予想もしない嫌な思いをするかもしれない。しかも、延々と。離婚になる兄弟姉妹もいるかしれない。中川さんはこれもOKと考える
のだろうか。
犯人に顔や姿が似ている人は、自分が犯人ではないのに、冗談とも真面目ともつかず、誤解や嫌な思いをあちこちですることになるだ
ろう。中川さんはこれもOKと考えるのだろうか。
「盗むって最低。犯罪なんだから。自分でお金出して買う。当たり前。いい歳なのだから。」は、何の答にもなっていない。