桃の食べごろは?
桃は、当然、少し柔らかくなった状態で食べるもの。ずっと、そう信じていた。固かった
ら、ちょっと青臭くて美味しくないだろう、と。
ところが、この夏、両親が桃を作っている、山梨の友人曰く、「桃は固いときにカリカリ
食べるのが美味しいんですよ。こっち(たぶん、山梨を指している)ではだれだってそう
です」。桃を生産している人(いわばプロ)やその家族(プロの身内)がそう言うのなら、
それが正しいのかもしれない。わたしの子どもの頃は桃と言えば缶詰しかなかったか
ら、固い桃を食べる発想がなかっただけなのだろうか。自分の長年の確信がもろくも崩
れそうになった。
そして、ごく最近のこと。長野の友人(大学の研究者)が桃を送って来てくれた。食べ
ごろにほぼ自信を失いかけていたわたしは、この際、疑問を解決したいと思い、すぐに
その友人に電話をして、お礼を言ってから、続けて、「食べごろはいつ? 固いとき?
やわらかくなってから?」。友人曰く、「そう、その問題があるんですよ」。如何にも研究
者らしいもったいぶった言い回し。え、やっぱり問題になっていたんだ、とドキリとする。
「わたしはやわらかくなってきたときが美味しいと思うんだけど、うちの若い研究者たち
は「固いときですよ」ときっぱり言っているんです。これって、年代の問題なんでしょうか
ね」と、世代論。
う〜ん、そうかなあ。山梨では世代を問わず、固い派みたいだし・・・
電話を切って、長野から届いた桃、まだ固いやつを食べてみることにした。一種の人
体実験だ。皮が固いので、剥くときはちょっとりんごの皮剥き感覚。剥いてすぐに、カリ
ッと一口食べる。確かに歯応えがある。でも確かに甘みもあってこれも美味い。で、・・・
いくつかにカットした桃を2,3切れ食べていると、あれれ、桃が柔らかくなって、甘み
が増してくる。食べているうちに急にこんな変化が起こっているなんて、実感していなか
った。ちょっと驚き。
というわけで、一応の答え。
「桃はやわらかくなってから」派の人にとっても、桃は固いときでも美味しく食べられる。
長年の確信は崩れたが、新たな真理を手に入れたので、ちょっとホッとした。