閣議決定したこれからが問題だ

 昨日、特定秘密保護法政令と運用基準が閣議決定され、今年12月10日から法律が
施行されることになった。この日から特定秘密保護法が本格的に動き出すことになる。

 情報保全諮問会議で提案した政令(案)と運用基準(案)はそのまま閣議決定された。
 わたし個人の意見とは違うところが幾つもあるが、それでも今年1月に諮問会議メンバー
を引き受けたときに抱いていた悲壮感から比べれば、法律の運用を幾らかでもまともにで
きるようがんばって、かなりの成果を挙げることができたと思う。

 他のメンバーとの直接の意見交換の機会は少なかったが、それでも書面上のやりとりだ
けでも、他のメンバーの多くも同じような問題意識を持っていることがわかり、心強くなった。

 『特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施に関し統一的な運用を図るため
の基準』は法律ではない。だから、特定秘密保護法の規定を否定し、あるいは超えること
はできなかった。
 しかし、法律に書いていない部分についてはかなり自由に書き込めたし、法律に書いて
ある部分でも、国会では議論し切れていなかったことを書き込むこともできた。
 そして、この運用基準によって特定秘密保護法は運用される。

 冒頭で「基本的な考え方」を示している。
 「本運用基準は、行政機関の長をはじめ、特定秘密保護法の運用その他特定秘密に
関する業務を行う全ての者が、本運用基準が定める内容に従って特定秘密保護法の運
用を統一的に行うことにより、特定秘密の漏えいの防止を図るとともに、その適正を確保
するために定めるものである。」
 だから、実施機関は運用基準を遵守することが特定秘密保護法を遵守することになる。

 そうは言っても、運用基準は完璧ではない。
 末尾に「本運用基準の見直し」を書いた。

 当初の事務局案では、「政府は、特定秘密保護法の施行後5年を経過した場合において
は、その運用状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に応じて所
要の見直しを行うものとする。」だった。
 これだと、向こう5年間は運用基準を修正しないと読める。
 しかし、それでは途中で運用基準の不都合が明らかになっても5年経過するまで修正し
ないことになってしまう。明らかに不合理だ。

 それで、この文章の前に、「政府は、特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の
実施に関し、常にその運用の改善に努めつつ、定期的に、又は必要に応じて本運用基準
について見直しを行うものとする。」
を加えた。
 だから、不都合が明らかになれば、いつでも修正できる。

 運用基準の修正で足りなければ、特定秘密保護法を改正するしかない。