小渕優子議員が経済産業大臣をしたけれど
今日の朝、小渕優子経済産業相(衆院群馬5区)が首相官邸で安倍晋三首相と会い、自身の関係政治
団体による不明朗な政治資金処理の責任を取って辞表を提出し、受理された。
きっかけは、先週の『週刊新潮』の記事。
問題とされたのは、物品購入と観劇会。
地元・群馬の名産である下仁田ネギやこんにゃくを、「県外の」支援者の方への贈答用に使うことは、地
元の名産を紹介することになって地元群馬の振興につながると、言えなくはない。
しかし、ベビー用品や化粧品の購入についての説明として、≪ベビー用品は父の代から支援していただ
いている県外の方への出産祝いなどのため購入、化粧品や服飾品は、私が団長として海外へ出張した際
のお土産として購入したもの。≫というのは、全く説得力がない。どう考えたって、地元の支援者やその親
族宛てのものだろう。この人たちは、「あ、小渕議員が出産祝いを贈ってくれた」と率直に喜び、「こういう心
遣いのある人に次も投票しよう」という感じになる(と思われている)。
観劇会についての説明。
≪観劇は平成19年から毎年行い、今年も10月に行った。報告書に24年の記載がなかったが、実施は
確認した。この会は、公演を貸し切って、1回1000人程度、2グループで行い、2000人超で実施してお
り、1人1万1000〜1万2000円をいただいている。費用には、入場料、食事代、バス代も含まれる。通
常より貸し切りは入場料を安くしてもらっている。後援会の各地区に参加枠を割り振りし、責任者がとりま
とめる。希望者には申込書に記入してもらい、参加費として1万2000円を預かる。参加費を事務所に持
参してもらっていた。(申込書のコピーを提示)≫
そのとおりなら問題はなさそう。・・・だが、
≪参加実数を再確認しているが、2,000人の参加があれば、2,400万円の観劇代が計上されていなく
てはならない。しかしながら、22年は372万8,000円、23年は369万3,000円。24年は収支とも計上さ
れていない。≫とした上で、≪指摘の通り、大きな疑念があると言わざるを得ない。24年も含め、かかった
費用も再度確認する必要がある。≫
観劇会ツアーの経費については合理的な説明は不可能。
毎日新聞の記事によると、≪観劇会は元首相の時代から
続き、バスを連ねて東京へ向かった。≫という。問題はその費用だ。
記事には支援者のコメントが出ている。
「先代から楽しみにしていた人が多く、やめる選択肢は
なかったはず。支援者へのサービスであり、後援会にとって『見えの場』だった」。
意味が深い。
交通費、観劇費、食費など全額を参加者各自に負担させたなら、「支援者へのサービスであり、後援会
にとって『見えの場』だった」ということがあるだろうか。「やめる選択肢がなかった」のは、参加費を集めて
いたにしても実費の一部で、文字どおり、「(地元)支援者へのサービス」だったからではないか。
そうだとすれば、これは公職選挙法違反199条の5(「後援団体」は、当該選挙区内にある者に対し、
いかなる名義であっても、寄附をしてはならない。)違反に当たる可能性が高い。
記事によると、
≪元首相時代の観劇会を知る元秘書によると、「費用を負担すれば公職選挙法違反になる」というのが
共通認識だった。このため往復のバスは補助席まで使って経費節減に努めていたという。≫
補助席を使う程度の経費節減でなんとかなることでもないのではないか。
同じような観劇会は、小渕議員に限らず、他の国会議員でもやっていることではないか。その実態はどう
なっているのだろうか。
小渕元総理の時代から行われて来ていたこととは言え、群馬県の地元支援者が格安観劇会ツアーに
喜んで参加しているのではなく、「時代も変わった。これからは実費自己負担ツアーにしよう。出産祝い
もいらない」と言い出し(議員側からは言いにくい)、実行してくれていれば、小渕議員は大臣を辞職しな
いで済んだ。 結局のところ、今回の辞任劇は、主権者(地元支援者たち)の判断対応に原因があったということだ。
この構図は小渕議員と地元支援者だけのものではない。