カナダ銃撃犯がテロ監視対象だったとしても

 AFP通信=時事通信配信記事(10月23日(木))によれば、カナダの首都オタワで
兵士1人が死亡した22日の銃撃事件で、射殺された容疑者の男は、テロリストの疑
いで監視対象となっていたとのことだ。

 この事件ニュースから、「日本でもテロ対策強化が必要だ」と言い出す人たちがい
るにちがいない。

 それは大間違い。と言うより、とんでもない誤導だ。ご都合主義のウソだ。

 カナダと日本は国際的なテロリストたちにとって位置づけがまったくちがう。
 彼らの標的の中心は米国だ。カナダは、その米国を中心として英国、オーストラリ
ア、ニュージーランド5−Eyesを構成し、一体となって世界中から情報を集め、相
互利用し、世界戦略を立てている国である。米国はそれ以外の国々と同じように情
報共有することはないし、一体となって世界戦略を立てることもない。

 カナダは米国と一体だからこそ、米国を敵とみなしている国際テロに狙われること
になるのだ。

 配信記事によると、
 ≪カナダ当局は、「国内または国外の個人または団体がテロ行為を実施する意図
や能力を持っていることを示す情報を入手した」として、90人を監視していること
を明らかにしていた。≫

 警視庁公安部が日本国内で集めていたイスラム教徒らの個人情報がインターネッ
ト上に出たが、ふつうの私生活に関するものばかりで、カナダ当局が国際テロリスト
たちについて持っている個人情報とは内容が全く異なる。

 カナダで起こった日本には関係の無いテロ事件を口実に、私戦予備・陰謀罪容疑
針小棒大(「針」さえないが)に評価宣伝して、世間知らずの(ふりをしている?)裁
判官をその気にさせて、泥縄式に家宅捜索を広げていくことは許されない。

 私戦予備・陰謀罪容疑の「捜査」について、「「イスラム国」の危険な奴らと親しくし
ているようなヤツは強制捜査をされて当然だ」と考え、常岡さんらの家宅捜索を多く
の国民が受け入れるなら、法を逸脱した「捜査」を応援することにはなっても、警察
の活動を適法化することには役立たない。その逆だ。

 危機的状況は国、地域によって全く違うのだ。
 日本社会の治安を真剣に考えるなら、公安警察は便乗など決してすべきではない。
まともな治安活動に専念すべきだ。