「イスラム国」が暗視スコープを要求していた?

 ネットで、読売新聞の私戦予備・陰謀罪被疑事件の記事(2014/11/23)を目にした。
一読して、???。これが日本の第マスコミの記事かと愕いた。まるで意味不明の内容
なのだ。
 記事によると、
 中田考・元同志社大学教授は、「イスラム国」の兵士から暗視スコープの調達を依頼
され、北大生らに運ぶよう依頼していた、しかし、同元教授は、要求を断わった
という。

 このようなやりとりがあったということだが、いつごろ依頼があって、いつごろ断わった
のか、北大生が「イスラム国」へ行きたいと中田元教授に話した時期との前後関係は
どうなっているのか。記事からはまったくわからない。

 暗視スコープは海外への持ち出すが禁止されている物なのか。記事にはこの点が書
かれていない。
中田元教授が犯罪に関わりそうになっていたかどうかに関係しているこ
とだから、このことを記事にはっきり書かなければおかしい。暗視スコープそのものを海
外へ持ち出すことが禁止されていないのなら、わざわざ報道する意味がない。

 禁止物だったとしても、中田元教授は要求を断わっているということだから、犯罪性
はない。
相手が犯罪性のあることを言ったり、メールを送ってきたら、こちらが申入れを
断わっても犯罪者扱いされたのではたまったものではない。

 「北大生ら」に運ぶよう依頼したとのことだが、北大生はこんなやりとりがされているこ
とを知っていたのか。知らせるまでもなく断わっていたのなら、やはり何の犯罪性もない。

 記事はさり気なく「北大生ら」とと書いているが、「ら」とはだれだ。北大生と一緒に「イ
スラム国」に行く予定だったのは常岡浩介氏しかいない。常岡氏は暗視スコープを運ぶ
ことを了解してたのか。「イスラム国」の兵士と中田元教授のメールのやりとりだけか。

 他人が書くメールに自分のことがどう書かれるかはだれもチェックできない。自分の
知らないところで、他人がメールで勝手なことを書き込んでしまい、その内容から犯罪
に関係しているとされたのでは堪ったものではない。

 毎日新聞の記事(10月30日朝刊)は警視庁公安部のめちゃくちゃな「捜査」の広報
だった。読売新聞のこの記事も同列だ。讀賣新聞の記者とデスクには毎日新聞の記事
の出来の悪さがまったくわからなかったらしい。むしろ、「自分も同じような記事を書きた
い」と思ったようだ。
 他紙も同じようなものなのだろうか。

 このような雰囲気が日本のマスコミに蔓延しているのなら、日本の報道は瀕死の状
態にあると言ってよいだろう。
読者が疑問に感じるようなことくらいしっかり取材して記
事にすべきだ。それができないなら記事にしないか、記事にするのなら「捜査」の疑問
点を並べるだけにすべきだ。疑問点が並ぶだけでも、読者には問題点は十分に伝わる。