讀賣新聞の記事、いまなぜ、この時期に?

 記事づくりの基本である5W1Hを根底から無視した、讀賣新聞の記事がなぜ、
この時期に出たのか?

 真意はもちろん讀賣新聞の編集者に確認しなければわからないが、最新号の
週刊ポスト』(12月5日号)の、中田考・元同志社大学教授のインタビュー記事
への警視庁公安部の反撃のためだったのかもしれない。

 『週刊ポスト』のインタビュー記事には、暗視スコープの話は出て来ない。この
点だけを比較すると、中田元教授はこの論点を避けているのか、警視庁公安部
の勝ちという気がしないではない。

 しかし、讀賣新聞の記事は5W1Hを根底から無視している点ですでに負けて
いる。
 公安部から情報をもらって記事にするのはいいが、記事にする前に中田元教
授に事実確認をすべきではないか。
いまどき、逮捕された被疑者についても、被
疑事実を認めているか否かを確認して、それを記事にするのは当たり前になって
いる。中田元教授に取材を申し込んだのに断わられたというのなら、そう書けばい
い。取材の申込もしないで、胡散臭く書くのは新聞として尋常ではない。

 『週刊ポスト』の記事にはイスラム教にはスンニ派シーア派の和解を主張
する「解放党」というグループがあり、中田氏はその考えに賛同している。≫
とあ
る。であれば、中田元教授の考え方は「イスラム国」とは明らかにちがう。

 中田元教授が警視庁公安部にこのような説明をしていたとすれば、どんなに
無理をしても、私戦予備・陰謀罪にするのは無理だ。
それでも「捜査」を止めない
のはなぜか?
 警視庁でもふつうの刑事捜査だったらあり得ないようなことが、いま、同じ警視庁
内の公安部で行われている。