パワハラ退職の秋田県警元交通部長に天下りの厚遇!

 2015年02月25日付河北新報の記事に、呆れるというか、やっぱりというか。

 ≪部下にパワーハラスメントを繰り返して本部長訓戒処分を受け、責任を取っ
て昨年2月に退職した秋田県警の小松雅美・元交通部長(60)が、県警所管の
第三セクター暴力団壊滅秋田県民会議」の専務理事に就任する案が持ち上が
っていることが24日、分かった。退職から1年での「天下り」に対し、県警の説明
を受けた県議会から疑問の声が出た。≫

 そりゃ、そうだ。

 ≪県議会の小松隆明教育公安委員長によると、県警の担当者が同日、一部報
道を受けて、各委員に「県民会議が小松元部長を専務理事にしようとしている」
と説明した。県警主導ではなく、県民会議が決めたと強調したという。≫

 県民会議ってなに?

 ≪県民会議は、県や市町村、民間が出資する公益財団法人。暴力団排除や被
害者救済などの活動をしている。歴代の専務理事は県警OBが務めている。

 なるほどね。
 小松・元交通部長は、県民会議の歴代専務理事の後輩にあたるわけだ。

 ≪小松委員長は取材に対し「専務理事は県警幹部OBの暗黙の指定席。常識
的には県警も人事に関わったはずだ」と述べた。≫

 当然だ。と言うか、県警が言うまでも無いというか。

 ≪別の県議は「民間企業ならともかく、処分を受けて辞めた人が県警関連の三
セクに再就職するのは問題だ」と指摘した。≫

 社会常識的にはそうなのだが・・・
 警察組織の価値基準によると、それがね・・・

 ≪小松元部長は2004年9月から13年10月までの間、計10人の部下に対し
パワハラを繰り返した
として、昨年2月7日に本部長訓戒処分を受け、同日付で
依願退職
した。≫

 依願退職ということは、退職金はまるまる貰ったわけだ。 民間企業で、こんなことがあるだろうか。自殺者まで出ているというのに。
 なんという厚遇!

 それに、本部長訓戒処分?
 警察庁長官官房長名で出ている懲戒処分の指針警察庁丙人発第83号)(平
成21年3月26日)には、職務遂行上の行為、私生活上の行為、管理監督上の行
為に3分類し、それぞれについて、規律違反行為の態様、懲戒処分の種類、関連
刑罰法令等を記載している。

 職場におけるパワハラが問題になりそうな項目は、職務遂行上の行為か管理監
督上の行為である。

 管理監督上の行為は、部下の不祥事に関するものであるから、パワハラは当て
はまらない。

 職務遂行上の行為をみると、捜査一般に関するもの、留置業務に関するもの、
交通指導取締りに関するもの、装備品に関するもの、その他規律に違反するもの
に分類しており、その他規律に違反するものへの該当性が考えられる。

 ところが、そこには、「セクシャル・ハラスメントをすること」が「減給又は戒告」と
あるだけで、パワハラは規定されていない。
規定されていない以上、この懲戒処
分の指針に従って懲戒処分をすることはできない。

 懲戒処分ではない、本部長訓戒という法律上懲戒処分として規定されていない
軽〜いお咎め
しかなされていないのは、このためだ。

 パワハラが起こり得ない職場なら、パワハラ行為者への処分を規定していないの
も頷ける。しかし、警察の職場は如何にもパワハラがありそうな職場だ。若い警察
官のけん銃自殺が年に数件起こっているのも、原因はひどいパワハラが原因にち
がいない。
 それでも、警察庁(警察官僚)は決してパワハラも、パワハラで自殺者を出した
場合であっても懲戒処分の対象にしない。これは確信犯だ。

 警察組織はパワハラの巣窟だ。それがあっての上位下達。部下は上司の如何
なる命令にも絶対に従う。警察官僚は、そういう組織を維持するために、パワハラ
行為者はできるだけ軽い処分にしなければならない。できることなら処分しないで
済ませたい。退職金もしっかり払ってやりたい。だから顕在化させないでほしい。
闇から闇へ葬って欲しい。パワハラを問題視しない組織の思想が、そこにはある。

 ≪パワハラを受けた部下の1人が自殺したことも明らかになったが、県警は「因果
関係を認めるには至らなかった」との見解を示し、それ以上の調査は打ち切った。
 この件に関し県警は取材に応じていない。≫

 当然の事態だ。
 国民が求める安心安全社会の担い手はこういう組織だということを、国民は自覚
しておく必要がある。
国民はそういう組織の構成員(警察官)に酷い目に遭わされる
ことがあっても、「人権侵害だ」などと泣きごとを言うべきではない。それはわがまま
というものだ。

 警察を実質的な被告とする国賠訴訟で、日本の裁判官(司法官僚)の多くが呆れる
ほど警察側に露骨に寛大なのも、安心安全社会の実現を警察に委ねる国民の群れ
のために日々奮闘する、警察官僚(大学の同期、先輩、後輩だったりして)への特大
の配慮とみれば、なるほど、なのである。