大分市長「赤ちゃんザルの名前は変えない」

毎日新聞 5月8日(金)12時49分配信
大分市高崎山自然動物園が赤ちゃんザルを英国王女にちなみ「シャーロット」と
命名し、賛否両論が起きている問題で、佐藤樹一郎・大分市長は8日、記者団に対し
「多くの方につけてもらった名前で、英国からの指摘(抗議)もないので、見直す必要
はないと思う」と述べた。市は同日午後に記者会見し、今後の対応を正式に発表する。≫

賛否両論、出るだろう。
気になるのは、大分市長が名前の変更をしないとした2つの理由。

1つは、多くの方につけてもらった名前というもの。
これは決め手にならない。命名募集のとき、「いちばん多かった名称に決める」と宣
言していないかぎり、最終的に決めるのは命名募集をした側。責任も命名募集をし
た側。
市長は応募者に責任を転嫁している。

もう1つは、英国から抗議がない。
日本の一地方都市の動物園のサルの名前のことで、英国政府がとやかく言うとは思
えない。しかし、抗議の公式見解が出ないということから、英国政府もその国民だれ
もが寛容に受け止めていると理解するのはまちがいだ。
不快感や怒りを抱いていな
いということではない。ほとんどの国民は知らないだけだ。選挙期間中だし。
相手国に対する配慮の問題なのだ。日本人はそういうレベルで物事を考えることをし
ない。できない?「抗議がないからいい」は、能天気な開き直りでしかない。

≪佐藤市長は「『いろいろな意見がある』と思った。小さな命が元気に育つよう応援
してほしい」と話した。≫

これはサル自身の命のこと。市長の言葉は問題のすり替えだ。

遊び気分の多数者の無責任と、首長の開き直り。
毎日新聞2015年05月08日00時21分最終更新 05月08日 00時36分)
≪英王室広報担当者は7日、共同通信に「(公式的には)あくまでもノーコメントだが、
名前の付け方は所有者の自由だ」と述べた。≫

自由。そう、自由なのだ。
しかし、英国王室はさすが大らかだ、と単純に受け止めてはならない。自由を行使す
ることは責任を負うこととセットなのだ。
明確な形ですぐに現れないにしても、今後、
日本(人)と英国(人)の関係がぎくしゃくする1つのきっかけになってしまったかもし
れない。それは自由の帰結だ。