また、高齢者の犯罪者がひとり増えた

「犯罪者」というと、一般には、私生活に問題のありそうな人がなる、というイメージ
だろう。しかし、最近目立っている高齢者の交通事故をみると、「犯罪者」のイメー
ジとかなりちがう。

テレビ朝日系(ANN) 12月5日(土)15時55分配信
≪千葉県茂原市で骨董市の会場に軽自動車が突っ込み、6人が重軽傷を負いまし
た。運転していた70代の男が逮捕されています。≫

またまた、高齢者の運転ミスで大事故。
高齢者には車の運転をさせない方がいいのではないか、という意見が、またまた出
そうだ。しかし、圧倒的多数の高齢の運転者は事故を起こしていないのだから、そう
簡単にはいかない。

運転していたこの男性にはおそらく犯罪歴はない。
70代まで犯罪を犯すようなこともなく、一生活者として生きて来た。それが突然に
して犯罪者。そして逮捕され、いまは警察署の留置場の中にいる。
男性もその家族も、今日の朝まで、男性の人生がこんな展開になるとは思ってもい
なかっただろう。

事件の概要と、そのときの状況は、
≪5日正午ごろ、茂原市にある藻原寺の駐車場で開かれていた骨董市に軽自動車
が突っ込み、男女6人を次々とはねました。
60代と40代の男性がドクターヘリで病
院に運ばれ、40代の男性が重傷です。また、50代から70代の男女4人もけがをし
て近くの病院に搬送されています。警察は軽自動車を運転していた71歳の男を逮
捕しました。「アクセルとブレーキを踏み間違えた」などと話しているということです。
この駐車場では毎月第1、第3土曜日に骨董市が開かれていました。≫

男性はこれまでもこの骨董市に車で来ていたのだろうか。そのときは事故を起こして
いなかったにちがいない。それが、今回は・・・。被害者も辛いが、男性も辛い。

事故の態様は、寺の駐車場で開かれていた骨董市に軽自動車が突っ込んだというも
の。ここで気になるのが、この骨董市に車で来た人のための駐車場の位置。骨董市
が開かれている場所と駐車場がはっきり別の場所として区分けされていたのだろう
か。

アクセルとブレーキを踏み間違えるなんてとんでもない。だから処罰されて当然だ。そ
う考えるのは不合理ではない。しかし、そうは言っても、アクセルとブレーキを間違え
る人はいるし、踏み間違えることはいつだれにあるかわからない、それが事故に結
びつくかつかないかは偶然ではないか、
と考えるべきなのではないだろうか。
そういう考え方に立って、骨董市の場所と駐車場をはっきり別の場所に分けておくべ
きだったのではないか。
そうしておけば、今回の事故は防げたということはないだろう
か。

ふつうの人生を送って来た人が突然、犯罪者になり、幾人もの人が死んだり、大怪我
をすることは、関係者みんなにとって不幸なことだ。事故を起こした人を処罰すること
は無意味ではないのかもしれないが、骨董市が今後安全な場所になるためには、厳
しく処罰してもらうことより、再発防止策を現実的に考え、実行する方が重要だ。