オバマ大統領の問題意識とアメリカ社会のギャップ

毎日新聞2015年12月7日 11時31分
オバマ米大統領は6日夜(日本時間7日午前)、西部カリフォルニア州で2日に
起きた銃乱射テロ事件を受け、ホワイトハウスの大統領執務室から国民向けにテ
レビ演説を行った。事件を「テロ行為だ」と非難するとともに、米同時多発テロ後の
対テロ作戦やインターネットの普及などを受けて「テロの脅威は新たな段階に入
った」
と指摘。テロ対策に全力を挙げるとともに、過激派組織「イスラム国」(IS)を
「破壊する」と改めて決意を語った。≫

「テロの脅威は新たな段階に入った」という指摘は正しい。

≪大統領は、事件の容疑者2人に海外のテロ組織との直接のつながりなどを示
す証拠はない
とする一方、米国や西洋諸国への戦争を呼びかける過激思想に感
化された
と説明。「罪のない人々を殺害するために計画されたテロ行為だった」と
断定した。≫

テロは外からやってくるとは限らない。
テロはISと直接コンタクトがある者に限らない。
過激思想に感化される。であれば、だれでもどこでもテロ犯になるということだ。

それを防ぐ策として、オバマ大統領は銃規制を考えた。
EUでも悲惨なテロ事件が起こる下地として武器を入手しやすい環境があることが
問題になっている。

米乱射から1週間、アメリカ人は全く逆の選択をしているようだ。

TBS系(JNN) 12月10日(木)12時10分配信
アメリカ・カリフォルニア州で起きた銃の乱射から1週間がたち、防衛意識の高
まりから銃を購入する人が増えています。
現場近くにある銃の販売店では、殺傷
能力の高いライフルが普通に売られています。この店では、事件後、売り上げが
35%アップしたということです。
「なぜ、オバマ大統領が銃規制の話をするのかわかりません。彼は銃が必要な
ときに銃を取り上げようとしている」(
銃の購入者)≫

自分の身は自分で守る。その考え方自体はまちがっていない。しかし、それはテロ
に走った人たちも同じ考えだ。自分を守ってくれない社会・人たちに対して攻撃を
仕掛けたのだ。自分の身を守るために他人の命を否定してもよいという社会構造
を変えなくてよいと考えるかどうか。アメリカ社会での銃器による殺傷事件がなくな
るには、移民国家に集まる多様な民族が社会構造を変えることに合意できるかどう
かではないだろうか。

逆に日本では安全・安心は他人(警察)にお任せ。これはこれで深刻な問題がある。