バングラデシュでテロ活発化、を考える

毎日新聞 7月2日(土)12時6分配信
≪【ニューデリー金子淳】バングラデシュの首都ダッカで1日に起きたレストラン襲撃事件は、
過激派組織「イスラム国」(IS)の影響下にある通信社がISの関与を報じた。実際に犯行グ
ループとどの程度連携していたかは不明
だが、バングラデシュでは近年、ISや国際テロ組
アルカイダ系のインド亜大陸アルカイダ(AQIS)」が関与を主張する殺人事件が相次
いでいる。今回の事件は、こうした組織への共鳴がバングラデシュ内で広がっていることを
印象づけた。≫

バングラデシュは世界の最貧困国の1つ。援助活動に世界から人が集まり、日本人もその
中にいる。日本人被害者もいるらしいということで、日本政府としては他人事ではない。

バングラデシュでは昨年、過激主義を批判していたブロガーや、イスラム教から改宗した
キリスト教徒、イタリア人の援助関係者などが相次いで殺害された。≫

過激主義を批判していたブロガーや、イスラム教から改宗したキリスト教徒を敵対視するの
は、わからないではないが、イタリア人の援助関係者も狙って殺害したのだとすると、彼らも
敵なのだろうか。

≪同10月には北部ランプル近郊で日本人男性が銃撃され死亡。今年4月には同性愛者の
人権活動家2人が殺害されたほか、今月1日にも西部でヒンズー教の司祭が刺殺されてい
る。≫

日本人男性が狙われた理由はなにか。
同性愛者の人権活動家2人が殺害された原因は同性愛者だからか、人権活動家だからか。
殺害された原因と結び付いていないと、同性愛者という説明は非同性愛者と区別している
だけのことで、意味がない。
ヒンズー教の司祭はそれだけで標的になるのか。

≪日本人殺害事件を含む多くの事件では、ISとAQISが競うように犯行声明を出している。
両組織は対立関係にあることから、バングラデシュでの勢力拡大を競っている可能性があ
る。≫

愚かとしか言いようがない。彼らを愚かにしている原因はなにか

≪ただ、政府は一連の事件について、国際テロ組織との関連を否定し、野党支持者や地元
過激派が関わっているとの見方を示してきた。地元メディアなどによると、治安当局は6月、
大規模な過激派の取り締まりに乗り出し、1万1000人以上を拘束。多くは地元過激派のメ
ンバーだったとしている。≫

国際テロ組織とは関連がない?
野党支持者や地元過激派が関わっているということだとすると、背景は政府との政治的対
立ということか。

≪ハシナ政権は2010年、1971年のパキスタンからの独立時に起きた戦争犯罪を裁く法
廷を設置し、イスラム政党・イスラム協会(JI)などの野党指導者らに次々と有罪判決を出し
た。5月にはJIのニザミ党首の死刑を執行した。≫

こういうことがいちばんの原因かもしれない。
であれば、日本人は狙われたわけではなく、巻き込まれたということか。それとも、日本人は
政府側とみなされているのか。

≪野党側はこうしたハシナ政権のやり方を「政治弾圧」と批判しており、与野党の支持者同
士による衝突で死者も出ている。イスラム過激派の台頭は、こうした国内の政情不安を反映
している可能性もある。≫

政治弾圧なら、力の対抗として、抵抗する側もそれなりに過激にならざるを得ない。
日本社会にすぐに影響する危険勢力ではないとしても、日本政府がバングラデシュ現政権
とどういう関わり方を持つかで、バングラデシュ国内にいる日本人の危険は高まるかもしれ
ない。そういう注意は必要だ。