ホワイトハウス
「報復だ」排除されたメディアが反発
毎日新聞2017年2月25日 10時41分(最終更新 2月25日 11時39分)

定例記者会見を「懇談」に変更、参加メディアを選別
≪トランプ米大統領は24日、首都ワシントン近郊で開かれた保守系団体の集会で、「フェイク(偽)
ニュースは人々の敵だ。私はフェイクニュース、それを流すメディアに反対している
」などと改めて
メディアを批判した。また、スパイサー大統領報道官はこの日、取材対応する場に、CNNテレビなど
複数のメディアの参加を認めなかった。メディア側は「気に入らない記事への報復であることは明ら
か」(CNN)と反発し、対立が激化している。≫

気に食わない奴(記者)の質問はこれまでどおり受けなければいい。その場面をみるだけで、何が
起こっているのかがわかる。それを国民、世界中の人に知られるのが厭で締め出しとは、あまりに
も幼稚だ。

≪トランプ氏は「私はメディアや報道に反対しているのではなく、それに値するなら(自身にとって)
良くない記事でも気にしない」と前置きしながらも、フェイクニュース」という言葉を連発してメディ
アを批判
。「フェイクニュースを流す人々は物語や情報源をでっち上げる」とし、「人物の実名を出せ
ないなら、情報源として使用するのは許されるべきでない」と語り、匿名ではなく情報源を実名で示
すよう繰り返し要求した。≫

フェイクニュース」の基準が主観的過ぎる。
まるで、俺様が言うことが真実。俺様が認めない事実は事実ではない、と言っているのと同じように
聞こえる。

≪一方、ホワイトハウスは24日、スパイサー氏の定例記者会見を、報道官室でカメラ撮影なしで
質問を受ける「懇談」に変更
し、「拡大代表取材者」として参加メディアを選別した。≫

懇談?
呆れる。
参加メディアを選別?
お気に入りか、「無害」しか入れない。
事実で勝負できない弱さを露呈している。

≪テレビでは主要5局のうちCNNだけ排除され、ニューヨーク・タイムズ紙▽政治メディア「ポリティ
コ」−−なども参加を認められなかった。バノン首席戦略官が会長を務めていた右派系ニュースサ
イト「ブライトバート・ニュース」などが参加を許された。≫

CNN、ニューヨーク・タイムズがダメとは。わかり安過ぎる。

≪これに対し、参加を許されていたAP通信とタイム誌は抗議のために取材をボイコットし、ホワイ
トハウス記者会は抗議する声明を発表
。CNNは「報復だ」と猛反発し、ニューヨーク・タイムズ紙は
「このようなことは、さまざまな党の政権を取材してきた我々の長い歴史で、起こったことがない」と
声明で批判した。≫

AP通信とタイム誌は、CNNやニューヨーク・タイムズとちがって、トランプ大統領に嫌われていない
んだ。取材をボイコットして抗議声明を出したくらいだから、CNNやニューヨーク・タイムズと同じ立
ち位置から怒っているのだろう。

日本でも記者クラブの加盟する1社だけが記者会見から排除されることがある。
かつて、1980年代から薬害エイズを取材報道していた毎日新聞の記者は厚生省(現厚労省)の記
者会見から排除されていたことがあったと聞く。
21世紀に入ってからも、北海道新聞が北海道警裏金追及をしていたときに、道警の記者クラブは記
者会見から排除され、個別取材にもなかなか協力してもらえかった。このとき、全国紙の1社が道警
におもねる記事を紙面に出していたのをみて驚いたのを覚えている。
どちらの場合も、当事者の新聞社以外のマスコミは、このような排除について抗議声明を出してい
ない。
それどころか、道警元幹部に「(道新の記事は)まるで週刊誌だ」と陰口をしていた記者さえい
た。

トランプ大統領は、自分が気に入らない報道(事実)には「フェイクニュースだ」の一言で切り返す。1
度や2度なら冗談として聞き流してもいいが、あまり繰り返されると、まともな説明で切り返せないの
かと、大統領としての資質、能力を疑う。トランプ大統領の支持者は拍手喝采しているのだとしても、
世界中の人々の圧倒的多数は呆れている。それがさらに、お気に入りだけの懇談会とは。
こんな方向に突き進んで行ったら、アメリカは間違いなくあらゆる面で信用を失い、アメリカブランド
の価値はすべての分野で下がる。これが4年も8年も続けば、アメリカはもはや浮上不可能な三流国
家になる。それがトランプ大統領の支持者たちのお望みだとは思えないが。