「テロ」が何となく不安だから、ではダメ!

治安と刑罰は、国や地域によって著しく異なります。共謀罪法案をつくるきっかけになっている
条約は、確かイタリアでの会議のときのもので、イタリア政府がマフィア対策として各国に求め
たものです。

日本にも、日本人、韓国人、中国人、その他諸々の国籍の人たちのマフィア組織はあるでしょ
うし、その対策は必要です。しかし、イタリアの治安状況(経済状態が大きく影響します)とはま
ったく違います。ごく最近の大規模難民問題も大きく影響しているでしょうが、それでもテロ行
動に出るのはごくごく一部の、数えることができる人数でしかありません。圧倒的多数の難民
は、自分の行き先には安心して暮らせる場を求めて、故国からやむなく去っているのであって、
自分や自分の家族が生活しようとする場を破壊し、憎しみを自分に向けようとするはずがあり
ません。

それはともかく、「よその国々と約束しちゃったからつくりしかない」ではなく、日本の治安維持
のために、いま、どういう行為を犯罪として処罰の対象として新たに加える必要があるのかと
いう、という観点から国内問題として考えるべきです。
憲法論争でもなければ、抽象的脅迫論
でもありません。

新しい刑罰は、それまで犯罪とされていなかったことを犯罪にするということです。だれもが、
だれかが意識せずしていたことを犯罪にしてしまうということですから、だれもの、だれかの
人生を突然、大きく変えてしまうかもしれないのです。
そんなことをする意味があるでしょうか。
277もの共謀罪を創設するようなことまでして。とい
うのが、共謀罪の創設の問題です。

NHKや新聞、共同通信などのアンケート調査では、40%以上の回答者が「賛成」。
理解できませんというより、「賛成」した人たちは、600なり、300なり、277なりの個々の内
容を考えた上で賛成したのだろうか、って、あり得ないですよね。
新たな刑罰の創設は国民の多数がなんとかく「必要かな」の雰囲気で押し切るべきではありま
せん。