だれが暴走しているのか

毎日新聞2017年3月16日 10時43分(最終更新 3月16日 10時56分)
南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に派遣されている陸上自衛隊部隊の日報を巡る問題で、
これまで防衛省が「廃棄したので存在しない」としていた陸自内で、日報の電子データが保管されて
いたことが分かった。同省は陸自とは別の機関である統合幕僚監部で電子データが見つかったとし
てきたが、実際には陸自で当初から保管されていたといい、「隠蔽(いんぺい)」との批判が高まり
そうだ。≫

どうしてそういう展開になるかなあ。
この手の文書が廃棄されるはずがないということが、記者にはわからないのかなあ。

≪派遣部隊は上部部隊の陸自中央即応集団(CRF)に現地の情勢を報告するため、陸自の指揮シ
ステムにある掲示板に日報の電子データをアップロードする。同省関係者によると、アクセス権限が
ある同省職員や陸自隊員が、職務の参考のために電子データをダウンロードしていた。≫

なるほど。

≪昨年9月に日報の情報公開請求を受けた同省は、派遣部隊とCRFで文書を探しつつ、統幕にも
意見照会をした上で「廃棄して不存在」として同12月に不開示を決定した。≫

あるに決まっている文書を、だれの判断で、どういう動機でそういうことになったのかが問題だ。
自衛隊にも防衛省にも隠す、というか嘘をつく理由がない。

稲田朋美防衛相が再探索を指示し、同月26日に統幕での保管を確認した後、陸自内でも保管
されていることを把握したが、同省は2月7日から電子データの開示を始めた際にも「陸自にデー
タは保管されていない」と説明し、事実を公表しなかった。つじつまを合わせるために、陸自内で今
年に入ってデータが消去された可能性もあり、同省は調査している。≫

稲田防衛大臣は、南スーダンが「戦闘状態にある」ことを知ることを嫌がっているのではないか。
そういう稲田防衛大臣は、自衛隊防衛省にとって、南スーダンにいる自衛隊員の命を大事に思
ってくれていないようには見えない。
そうであれば、自衛隊防衛省(の官僚)は、稲田防衛大臣のために、「戦闘状態にある」と書い
てある日報が存在しないことにした方が望ましいのだろう、と忖度(そんたく)するに決まってい
る。

≪日報には、昨年7月の政府軍と反政府勢力との大規模な衝突を「戦闘」と表現する記載があり、
野党が国会でPKO参加5原則が崩れていたのではと追及。稲田防衛相は「法的意味で戦闘行為
はなかった」
と説明していた。統幕でデータが保管されていることが確認された後、稲田防衛相に
報告するまで約1カ月かかっており、「文民統制シビリアンコントロール)上、問題ではないか」と
も批判されていた。≫

「法的意味で戦闘行為はなかった」
日本語になっていない。

文民統制シビリアンコントロール)上、問題ではないか」という批判は当たらない。
自衛隊員は命の危険に晒されているのだ。「安全だから行け」と政府に言われて南スーダンに行
ったのだ。安全でないのなら、日本にさっさと帰りたいに決まっている。南スーダンが戦闘状態に
なれば、自衛隊員はすぐに日本に帰れるはずなのだから。それを実現させてくれないのは、「法
的意味で戦闘行為はなかった」と言っている防衛大臣だ。
文民統制シビリアンコントロール)」が暴走しているのだ。