だれのための秘匿か?

性加害者は性加害事実を公にしない理由として常に「被害者のプライバシーを考えてのことだった」と言う方をする。

たしかに性被害者は屈辱的な体験を多くの人に知ってもらいたいとは思わない。そんなことになれば、ますます自分を貶める人たちが無数に出て来るだろうから。自分の人生を立て直すには事件は公にならない方がいいのだろうと考える。

が、これは加害者の術中にはまってしまった考えだ。

加害者側は事件が公にならないことでそれまでどおりの私生活、社会生活を続けることができる。すぐに被害者のことなど忘れる。そして次の加害行為を行う。それも、これまでと同じく被害者に口止めをする。

加害者は好き放題のことをして楽しくて仕方がない。

今回の事件。女性アナウンサーを餌食にした中井にしてもお膳立てをしたフジテレビ幹部にしても何も傷つかない。どちらも女性アナウンサーの犠牲によって楽しんでいる人たちだ。

それが事件直後に幹部の知るところになってもスルーされてしまった。これがいままでの、そしていまどきのフジテレビなのだ。社会にバレさえしなければなんでもOK。加害者が中井でなかったとしてもフジテレビ幹部は同じ対応をしたのだろう。

中井は引退メッセージで自分ひとりが悪いと書いていたが、本当にそう思っているのか疑わしい。中井ひとりが悪いのであれば、中井が芸能界を去ることで女性アナウンサーは性被害を受けなくなるはずだ。しかし、そうはならない。フジテレビ(の幹部)が性加害についてどうしようもない無神経、無責任なのだ。

だれのための秘匿だったかは明らか。中井のためである以上にフジテレビのためだったのだ。

だから、フジテレビは大改革をしなければ信用を回復できず潰れる。幹部を全員入れ替える必要がある。

今回の事件の被害女性に限らず性犯罪被害者は必ず加害者に口止めをされ、自分を責める気持ちもあってそれに応じてしまいがちだ。しかし時間はすべてを解決してくれない。年月が経っても被害者は性被害を忘れ去ることはできない。常に「自分はほかの人とは違う」と自分を低く見てしまいがちだ。自分ひとりの心の中だけでは解決できないのだ。何が解決できるかはともかく自分ひとりで抱え込まないで、だれかに信頼できる人に話すこと。相手が親身に聴いてくれるところから次の展開をどうするか考えればいい。

公にするかどうかではなく、だれかに聴いてもらうことから始めればいい。