安保チラシ配布で社協4理事退任の?

毎日新聞2015年12月15日 00時07分(最終更新 12月15日 00時07分)
≪北海道美瑛町社会福祉協議会が8月、国会で審議されていた安全保障関連法案について
考えようと呼びかけるチラシを配ったことに対し、自民党美瑛支部社協の活動としてふさわし
くない「政治的活動」
として理事の処分や辞任を求め、理事4人が退任していたことが14日、分
かった。≫

え、自民党では、こういうチラシで、社会福祉協議会の理事の処分や辞任を求めるんだ。

社協や関係者によると、チラシは8月末に新聞折り込みで町内の約2700戸に配布。チラシに
「皆で考えよう安全保障法案 いま、世界では紛争により尊い命がうばわれています。私たち
は争いのない助けあいの社会を目ざします」
などと記されていた。8月下旬の社協理事会で、メ
ッセージを出すことを承認したという。≫

目指すのはいいけど、議論はしないの?
こういうのって、「私たちは正しいことを言っている」と一方的に言い放っているだけのアリバイ的
正義
だ。自分たちの正義をより本物にするための議論をすべきだ。

自民党美瑛支部の幹部は9月に「理事が政治的内容の意思決定に関わって問題はないのか」
との質問状を社協に提出。社協は「幸せな社会の構築を皆で考えようという啓発活動」と回答し、
会長らが「心配と混乱を招いた」と謝罪した。≫

政治的意思決定だろうか。単に言いたいことを言っているだけではないか。
啓蒙活動・・・? それって上から目線でしょ。
心配と混乱、てなに?
だれがどういう心配をし、混乱をしたのか?
謝罪するほどの社会的影響を与えていないと思うけどなあ。

≪同支部はさらに10月、「(社協の)社会的存続をも危ぶまれる大失態を招いた今回の一連の
騒動」
と表現し、社協の理事3人の辞任と、会長の厳重注意を求める要望書を社協に届けた。そ
の後、理事4人が退任した。≫

「(社協の)社会的存続をも危ぶまれる大失態を招いた」という評価こそ、針小棒大どころか、トカ
ゲをゴジラに見立てるたぐいのバカバカしさ。こういう言葉遣いは、相手との議論を拒み、一方的
に自分の意見を通そうとする態度そのもの。恫喝以外のなにものでもない。

で、理事4人が退任。
これでニュース的には一件落着?
民主主義じゃないなあ。事件も報道も。

社協の村上和男会長は「理事の退任は混乱の責任をとる自主的なもの」と述べ、4人の退任
自民党の要望を受けてのものではないとの考えを示した。自民党美瑛支部の福井努支部長は
「謝罪を受け、終わった出来事だ」
と話した。≫

どちらも嘘の言葉だ。
自主的な辞任であるはずがない。
社協の理事3人の辞任を求める要望書を社協に届けた後に理事4人は退任したのだから、要望
書と退任の間に関連性があると考えるのが常識的だ。

辞任に値することをして辞任するのであれば、特に異論を挟むつもりはない。
辞任に値することが行われたのかどうかを社会福祉協議会の中で、また、要望書を出した自民党
と、チラシを配られた地域の住民たちとしっかり議論すべきだ。その上で出した結論は私が考える
ものとちがうかもしれないが、それはそれでその地域の民主主義だ。

≪地元の野党系の町議は「チラシは賛成、反対に関係なく法案を考えようと読める。他の組織に
名指しで辞任を求めるのは異常だ」と指摘した。(共同)≫

必要なのは、言いっ放しのコメントではなく、議論だ。