特定秘密と国会の関係
本日、午前中、衆議院議院運営委員会で、参考人のひとりとして話して来ました。
特定秘密保護法附則10条の規定に基づく立法に関する話なので、「秘密保護法を
補強することに加担するのか?」と疑惑を抱かれそうだが、そんなつもりは全くない。
行政秘密に国会はどう取り組むべきかという観点からの話です。
以下は本日の説明につかったレジュメです。説明不足の点もあるでしょうが、どん
なことを話したかを多くの人に知ってもらう意味もあるかと思い、紹介することにしま
した。
第10条第1項第1号イ
特定秘密保護法では、国会は行政機関にとって、「その他」の情報提供先のひと
つに過ぎない。行政実務において日常的に提供する相手ではないという意味では、
第6条ないし第9条の提供先と比べて、「その他」にはなる。
しかも、当初の法案では、提供の条件は政府が政令で定めることになっていて、
提出することが「できる」という規定になっていた。
⇒ 条文の文言からして、国会にはおよそ特定秘密は出て来ない可能性が高か
った。
情報を持つ者が状況を支配する
国会は行政機関にコントロールされる対象に過ぎない?
主権者である国民の代表者である議員によって構成される国会が官僚の情報を
コントロールされてよいのか?
他方、なぜ、行政機関は国会議員に行政秘密を出し渋るのか?
・秘密が守られない
・国会議員は自分の地位の確保・強化のために情報を使う
・官僚は仕事がやりにくくなる
⇒ 取り返しのつかない重大な支障が生じても、個々の国会議員が責任を取っ
てくれるわけではない
根強い不信感!
憲法の構造と現実の政治のギャップ
どちらかが他方に全面的に従属するしか、このギャップは解消できない
⇒ ギャップの解消はあり得ない
情報の取扱いルールは現実的に考えないと意味がない
非現実的なルールは守られない
国会法の秘密会の規定は、運用ルールがほとんど書いてない
これでは、「秘密」は名ばかりになりかねない
行政秘密を引き出すには、情報を外部に出さないための、それなりの「構え」が
必要
このような「構え」はおよそ嫌だというのであれば、行政秘密は出て来ない。
国会(議員)は自らを縛る実効性のある「構え」を作り、実行する
「構え」の骨格 〜 秘密を漏えいしない体制
① 会議の非公開
② 特定秘密を見る場所の限定
③ 見る者の範囲の限定 ・・・ 委員と事務局職員のみ
職員については適性評価を行う
→ 国会内部の職員で対応する必要がある
★ 行政機関側に委ねると、そこに職員の弱みを握られるきっかけになりかね
ない
④ 独立の事務局体制とその強化
内部告発の受付
職員による立ち入り調査権
⑤ 議員について適性評価に替わる研修
⑥ 議員に対する牽制の手段
懲罰:対象になるだけでも牽制効果はある
罰則:効果は強いが、強すぎるかもしれない
★ 議員事務所や所属政党事務所などへの家宅捜索も可能
⇒ 議員・政党の保有情報が警察組織に包括的に吸い上げられることになる
大元は、特定秘密保護法が国会議員を処罰対象にしていることに起因する
国会議員を罰則規定から解放するには特定秘密保護法を改正するしかない
⑦ 議事録
継続的に取り組むためには不可欠(当面は不開示情報としても)
提出拒否できる場合の限定
「構え」を厳格にするのと引き換えに、提出拒否できる場合を限定する必要があ
る
非秘密化による議論
委員は委員以外の議員に秘密を伝えてはならない
秘密の具体的内容は不可
しかし、特定秘密の内容を曖昧化し要約した情報は特定秘密ではない
情報そのものは持ち出せなくても、一定の議論はできる
どの範囲を可とするかは、各審査会で検討する
行政機関側への一定の配慮は必要
権限 〜 指定解除権がないことは問題ではない
「国会議員に秘匿性の高い情報を見せたら秘密指定を解除されてしまった」
そういう事態が起こり得る条件下では、秘匿性の高い情報は出て来ない
「指定解除できないのでは意味がない」?
そうではない
⇒ 与野党の国会議員が秘匿性の高い行政情報について活発な議論をすること
があること自体に意味がある
・なにが秘匿性の高い情報なのか
・なぜ秘匿性が高いのか
・どういう条件になれば指定解除できるのか
そういうリアルな問題を実物を前に議論できる
官僚側からすれば、国会議員に議論されてしまう
秘匿性が低いことが歴然としているような情報が秘密指定されていたら、審査会
は行政機関の長に指定解除を勧告する
勧告しなくても、議論すること自体が国会議員にとっても官僚にとっても意味があ
る
委員構成について
委員8人は少な過ぎる
各会派所属議員数の比率による割り当ては、与野党議員比率が不安定
常に与党議員の割合を多くするのは当然
しかし、野党議員をある程度多くしないと、審査会の議論が活発化しない可能性
が大