「国賊」「売国奴」を口にする人たちの軽さ

 「創」出版の篠田博之さんからメールが来た。
 緊急シンポ!「朝日バッシングとジャーナリズムの危機」の案内だ。

 案内文にはこうある。
 「8月以降の朝日新聞に対するバッシングは「国賊」「売国奴」といった言葉が飛び交う異常な
状況になっていますが、これは単に朝日新聞社だけの問題でなく、リベラルな言論を委縮させ、
ジャーナリズム全体に深刻な問題を引き起こしつつあります。この状況についてメディアや言論、
ジャーナリズムに関わる人たちの間で議論する機会を設けました。檀上の者が一方的に話をし
て終わるというのでなく、会場をまじえて活発な議論を交わしたいと思います。朝日関係者はも
ちろん、それを批判する側の関係者もぜひ参加して下さい。」

 朝日新聞社を「国賊」「売国奴」と非難する人たちがいるんだそうだ。

 「国賊」「売国奴
 言われた側はイヤだろうけど、それ以前に、そもそもそういう言い方をしている方の思考レベ
ルを疑ってしまう。
 国賊」「売国奴」という言葉を使って相手を非難する人は、世の中の人を「国賊」「売国奴
とそうでない人にニ分して、自分たちは「国賊」「売国奴」じゃない側の人で、あいつら(朝日新
聞社)は日本国家の敵だ、その間にいる一般人は当然「国賊」「売国奴」じゃない側だよな、と
いうわけだ。

 この二分論には知性がない。
 「国賊」「売国奴」と名指しされた側は、見下す対象でしかなく、対等な話し相手にされていな
い。だから、対等な議論をする余地なんかない。議論などしない。「国賊」「売国奴」という言葉
で相手を殺してしまっているのだ。

 それに、自分が非難する相手を「国賊」「売国奴」と決めつけて他の者に同調を求める手法
は、脅しのテクニックであって、ちっとも民主的じゃない。
それは、民主主義制度を採用してい
日本国憲法との関係では、国家敵対的なんじゃないだろうか。他人を「国賊」「売国奴」と非
難する人たちこそ、「国賊」「売国奴」かもしれない。

 案内文には「リベラルな言論を委縮させ、ジャーナリズム全体に深刻な問題を引き起こしつつ
あります。」とあるけど、朝日新聞は「リベラルな言論」なのかなあ。記者ひとりひとりを思い浮か
べると、「確かに」と思ったり、「かなり疑わしいなあ」と思ったり。そこは、ちょっとわからない。ほ
かの新聞社やテレビ局にしても、その報道がこれまでリベラルな言論をして来たか、かなり疑わ
しい。
 萎縮よりも打算(から来る内部統制)との関係こそがずっと大きな問題なのではないだろうか。
 が、まあ、民主主義社会に「リベラルな言論」が大事だってことは、そのとおりだ。

 で、シンポジウムは
10月15日(水)18時開場/18時半開会
文京区民センター3階
最寄り駅:都営三田線大江戸線春日駅A2出口」徒歩2分/東京メトロ丸ノ内線後楽園駅4b
出口」徒歩5分/東京メトロ南北線「後楽園6番出口」徒歩5分/他
入場料1000円  定員470人

 発言者は、
青木 理さん(ジャーナリスト)
野中章弘さん(アジアプレス代表)
新崎盛吾さん(新聞労連委員長)
森 達也さん(作家)
辰濃哲郎さん(ノンフィクション作家)
池田恵理子さん(アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」(wam)館長)
下村健一さん(慶応大学特別招聘教授)
永田浩三さん(武蔵大教授)など

進行:篠田博之さん(『創』編集長)
主催:10・15集会実行委員会