いまどき!

 HIV感染症は感染力がきわめて弱い慢性疾患。だから、日常生活ではなにも
気にする必要がない。これがいま、世界の常識、日本の常識。・・・だと思ってい
た。

 それが高知県ではちがっていた。

 朝日新聞デジタル 11月8日(土)7時50分配信
 ≪高知大学医学部付属病院(南国市)によると、高知市の病院で5月、風邪を
ひいて内科を受診しようとしたHIV感染者が「エイズなら高知大の付属病院で
治療を」と窓口で言われ、受診をあきらめた。
昨秋は、別のHIV感染者が、かか
りつけの歯科診療所で感染を告げたところ、歯科医師は「外に知られる可能性
があるので」と以後の治療を断った
という。≫

 HIV感染症の拠点病院は、HIV感染者の疾病に対応する専門病院ではあるけ
れど、HIV感染者はどんな病気でも来てくれ、というものではない。本人の便宜か
らしても、拠点病院でなくても対応できる治療であれば、どこの医療機関でも対応
すべきなのだ。

 
 風邪で拒否はひどすぎる。
 歯科診療所はかかりつけだったとあるから、HIV感染していることを言うまで
は対応してもらえていたわけだ。で、とくに問題はなかったわけだ。
 知らないときに何も問題がなかったのに、知った途端、拒否するというのは、ど
う考えても合理性がない。

 医師法19条1項では「診療に従事する医師は、診察治療の求があつた場合に
は、正当な事由がなければ、これを拒んではならない。」と規定している。
 高知県の上記の場合は、医師法に反するだろう。

 記事には、≪県は、医療従事者の啓発に乗り出した。≫とあるが、それ以前に
医師・歯科医が自分たちで組織する医師会、歯科医師会で、改めて、HIV感染症
の基礎知識と患者対応のあり方について研修をする方が実際的ではないか。
 医師法19条1項違反には罰則がない。罰則があれば、医師会や歯科医師会の
研修に積極的に参加する医師、歯科医がずっとふえるだろうか。
  県に言われたからやる、ではなく、自分たちの判断として実行すべきだ。