監視社会ではなく、総覗き見社会

朝日新聞デジタル 3月16日(月)5時15分配信記事では、
「ウェブカメラ、ネットで丸見え3割 パスワード設定せず」という見出しの記事を
紹介している。

≪インターネットでつながるウェブカメラ(ネットワークカメラ)をめぐり、パスワー
ドを設定するセキュリティー対策がとられていないため、商業施設や住宅の映
像・音声を第三者がネット上で見たり聞いたりできる
ことが朝日新聞の調べで
わかった。調査の対象としたカメラの3割以上がこうした状態にあり、カメラを勝
手に操作されたケースもあった。

全国チェーンのコインランドリーで、ネットで利用状況をリアルタイムで見られる
ようにしているところがありますよね。映っている人は世界中に見られるようにな
っていることを意識していないようだし、空き状況を判断する目安になっていいと
思っているのでしょうか。

≪ウェブカメラも含めてネットにつながる全ての機器にはIPアドレス(ネット上の
住所)が割り当てられており、国内には9千万以上ある。朝日新聞は昨秋以降、
これらのIPアドレスを無作為にたどる方法で調べ、約125万のアドレスを抽出。
先月末時点で2163台のウェブカメラがネットに接続されていることを確認した。

ということは、外から見ることができる可能性があるということ。

≪そのうえで接続状況を慎重に検証した結果、35%にあたる769台がパスワ
ードを設定することによって第三者からのアクセスをブロックする対策をとって
おらず、映像を見たり音声を聞いたりできた。≫

対策に関心がないのだろう。

769台のうちのほとんどが防犯や監視用として設置され、レンズが向けられ
ている対象と状況から書店や美容院、飲食店、スーパーなどとみられた。事業
所の従業員控室、幼い子どもたちがいる託児所のようなスペースもあった。

事業所の従業員控室を外から覗かれてもいいのか。
幼い子どもたちがいる託児所の画像は、犯罪のきっかけに利用されないか。

ネット社会は、特定の権力者が国民を監視する社会ではない。だれもがお互い
の行動を覗き見できる、総覗き見社会。だれもが。

日弁連では監視カメラの設置運用について具体的な法規制を提案しているが、
世の中も政治家もほとんど関心なし。それどころか、「安心安全社会のためにど
んどん設置しろ」という方向。
設置を進めるにしても、不正利用防止のために法
的なルールは必要ではないか。
法規制のないところで、日本の総覗き見社会は
さらに一気に加速して行くだろう。それでいいのか。