必読!〜「酒鬼薔薇聖斗」の家裁決定

月刊「文藝春秋」5月号が、1997年に神戸市須磨区で起きた連続児童殺傷事件で、
当時中学3年の「酒鬼薔薇(さかきばら)聖斗」を「医療少年院送致」とした神戸家庭
裁判所の決定(大人の裁判でいう判決)全文を掲載する。

97年10月、神戸家裁は、事件が社会の注目を集めたことを考慮し、当時、公開され
ないことがほとんど鉄則とされていた保護処分の決定の要旨を公表した。
このこと
自体、当時は画期的だった。

それから17年半。今度は全文の公表。
裁判官としてこの決定を書き、要旨を公表した井垣康弘弁護士の事件と少年への思
いが強く反映しているのではないだろうか。

時事通信4月9日(木)15時44分配信記事によると、
井垣弁護士のコメントは、「公表される全文でも加害男性の名前は出ていない。少年
法には触れない」「要旨では男性の成育歴が大きくカットされた。事件の特殊性や、
その後も重大な少年事件が相次いでいることにかんがみ、全文を国民に読んでも
らうべきだ
」というもの。

同感だ。
この事件は、子どもがこんなむごい事件を起こせるのかという問題提起を、大人に対
して発していた。表面的な評論や勝手な憶測で世の人々が「総括」してしまうのには、
あまりにも事件は深刻すぎた。

井垣弁護士は、おそらく、当時から自分のした仕事を世の批判に晒したかったにちが
いない。それで前例のない要約という形で公表した。

しかし、それでは十分ではない。長い時間が経過しているが、それでもこの事件の決
定書を多くの人に読んでもらう意味がある。
文芸春秋の編集者もそう思ったのだろう。

是非、読んでみてください。