検察庁が「覚せい剤返却します」

法律上の資格がないのに覚せい剤を所持していれば、覚せい剤取締法違反で処罰される。
ところが、フジテレビ系(FNN) 5月11日(月)19時26分配信によると、11日、福井地検は、
地検前の掲示板に「覚せい剤を返却します」というお知らせを掲示した。
そこに書かれていたのは、「覚せい剤1袋」「注射器119本」「乾燥大麻3袋」など。パイプや
アルミホイルなど、大麻の吸飲に使うものも、持ち主に還付するとある。

なぜ、違法なものを返却するのか。ニュースによると、
≪ 押収された証拠品が、誰のものかわからない場合、刑事訴訟法499条に基づいて、持ち
主に返すように公告することが定められている。≫

刑事訴訟法499条1項には、「押収物の還付を受けるべき者の所在が判らないため、又は
その他の事由によって、その物を還付することができない場合には、検察官は、その旨を政
令で定める方法によって公告しなければならない。」とある。

条文にいう「押収物の還付を受けるべき者」とはだれか。「還付を受けるべき」は、還付を受
けることが法律上許容されるという意味ではないのか。そうだとすれば、還付を受けた途端、
「はい。所持は犯罪です」と現行犯逮捕されるような場合は、「還付を受けるべき」に含まれ
ないのではないのか。含むと解釈したところで、正直に名乗りを挙げる者が出て来るはずが
ない。

そもそも、警察は、この覚せい剤などをいつどこでどのように押収したのか。そのときの手
続書があるはずだ。だれかが任意提出したのなら任意提出書が、捜索差押なら捜索差押
調書、押収品目録があるはずだ。そこから所有者や所持者がわかるのではないか。わから
なかいのか。どういう捜査がなされていたのか興味がある。ニュース記事にはこの点の説
明がなかった。

所有者が名乗り出た場合、覚せい剤大麻などを受け取った時点で、覚せい剤取締法
反や、大麻取締法違反の疑いで逮捕される可能性がある。
受け取らなければ、所持してい
た時期を特定できないかぎり犯罪事実の存在を認定することはむずかしい。

≪福井地方検察庁は、「個別の事件の内容については答えられないが、法律にのっとって
返還する
という、適切な処理をしている」とコメントしている。≫

まるでお役人の答弁。答えになってない。