スマイルは0円か?

SankeiBiz 5月22日(金)8時15分配信
≪使用期限切れの鶏肉や異物混入の問題で離れた客足が戻らない日本マクドナルドは21日、
セットメニューの刷新を柱とした新たな販売戦略を発表した。画一的なメニューが飽きられたこ
とも客離れにつながったという反省を踏まえ、25日からセットのサイドメニューをサラダやチキ
ンナゲットなど4種類から選べるようにし、選択肢を広げる。野菜を使ったメニューも用意し、来
店頻度が減っている家族や女性客などの集客に向けててこ入れを図り、売り上げ減に歯止め
をかけたい考えだ。≫

いろいろ問題はあったにしても、たくさんのマックファンがいるのも事実。店が維持できるよう経
営努力をしてほしい。

毎日新聞の記事に出ていた写真がちょっと気になった。
サラ・カサノバ社長が、かつてはメニューボードにあったが、2000年代前半に消え始めたとい
「スマイル0円」のボードを持っていたこと。この表示を復活させるのだそうだ。
≪全店舗で全時間帯に表示することで、従業員に「笑顔があふれる店づくり」という原点への回
帰を促し、集客の回復につなげたい考えだ。≫

う〜ん。0円(タダ)の笑顔か。心とは関係ないマニュアルに決められた笑顔。それを大々的に
展開するというのか。
ブラック企業の問題が深刻化しているいま、従業員の笑顔は0円(タダ)という発想はどうなのだ
ろう。タダならお客が喜ぶという発想は単純すぎるというか、いまの時代に合わない。

従業員が悲惨な労働条件下で働いている職場「店」に来る客たちが、従業員の苦労などどこ
吹く風で、従業員の演技の笑顔に喜ぶ構図というのは、なんともグロテスクだ。

仕事中とはいえ、従業員の笑顔は本物でなければならないのではないか。従業員の笑顔を本
物にするには従業員の労働環境がよくならなければならない。そのためには相応の給料を払う
必要があるし、休憩、休日も相応に与える必要がある。そういう条件が揃っていてこそ、従業員
は「今日も1日頑張るぞ」となって笑顔になれるのだ。

カサノバ社長はこのことをわかった上で、このことを前提にした上で、「従業員を大事にするの
で彼らは元気に前向きに笑顔を働ける。そのことにお客さんは代金を払わなくていい
・・・とい
うか、お客さんが払ってくれる代金から従業員の給料は払うので、本当はタダではありません。
特別料金はいらないという意味です」と言っているのだろうか。
結局のところ、たくさんの客が来て、売上が伸びなければ、従業員の笑顔は本物にならない。