隈氏デザインの案の方が早く完成する、って本当だろうか?

2020年東京五輪パラリンピックのメインスタジアム、新国立競技場の設計・施工業者
の選定は、隈研吾のA案と伊東豊雄のB案の一騎打ちになっていた。

2015年12月23日6時0分スポーツ報知によると、
≪審査は、1人140点の持ち点で、7人の審査員によって行われた。980点満点中、A
案が610点、B案は602点。わずか8点差の決着となった。全9項目からなる評価の内
訳では、B案が「5勝4敗」と勝ち越し。しかも、デザインなどの施設計画では、合計得点
はA案246点、B案270点と24点差をつけていた。

つまり、伊東豊雄隈研吾を圧倒していた。
それがただ1つの要素で大逆転した。

大逆転の要因は、工期短縮への評価だ。B案の150点に対しA案は177点と27点
もの大差をつけた。この1項目だけで24点差を逆転。結果、8点差での勝利に導いた。
審査委員長の村上周三東京大学名誉教授は「『本当に短縮できるのか』という点で、両
者の差が大きかったということです」
と明かした。≫

要するに、伊東案より早く完成させます、オリンピックに確実に間に合います、ということ。

安倍晋三首相も、≪「工期やコストなどの要求を満たす素晴らしい案だと考えている」と
評価した。≫

これに対して、伊東豊雄が「この案、ザハ氏のぱくりじゃないの?」とコメントした。隈
研吾は、「そんなことはない」と反論した。反論が十分に根拠のあるものなら、事態はこ
れで収まる。しかし、反論が十分なものでなければ、ザハ氏から著作権侵害の攻撃が
来る。

ザハ氏は動いていた。
スポーツ報知 1月14日(木)18時48分配信
日本スポーツ振興センター(JSC)が、白紙撤回となった旧計画のデザインを手掛け
ザハ・ハディド氏の建築事務所へデザインの未納代金を全額支払うのと引き換えに、
著作権を譲るよう書面で要請していた≫

≪ザハ氏側は、声明で要請を拒否したことを明かした上で、支払いと引き換えに事業に
ついてのコメントを封じる追加の契約条項への署名をJSCが求め、これも拒んだと説明。
ザハ氏らは昨年12月、新たに採用された大成建設、梓設計と建築家の隈研吾氏の計画
案について、自らのデザインと「驚くほど似ている」とし、調査を開始したことを発表してい
た。≫

伊東豊雄の指摘が当たっていたということか? それとも、ハッタリか? 

≪JSCは「ザハ氏の事務所側と、契約解除後の監修料の清算について、協議をしてい
ることは事実です」と答えたが「内容については、具体的には答えられません」。≫

どうみても弱腰。

≪事務所は、JSCが競技場のデザインに関する知的財産権の問題を認めた」と主張。
英紙デーリー・テレグラフ(電子版)によると、デザインの著作権を得ようとするJSCに対
して怒りの反応を示しているとし、満足のいく対応がなされない場合は法的措置を取る方
針と報じている。≫

知的財産権の問題を認めた」と言えるかどうかは、簡単な記事だけでは判断できない。

A案の方がB案より早く完成する、と言うとき、こういうトラブルも込みで考えないといけ
ない。
それでも、A案の方が早く完成するのだろうか。
エンブレム問題といい、この問題といい、危機管理が甘い。