呆れた進路指導は「廊下での立ち話」

毎日新聞 3月9日(水)12時36分配信
広島県府中町立府中緑ケ丘中3年の男子生徒(当時15歳)が誤った万引き記録に基づく
進路指導を受けた後に自殺した問題で、自殺した生徒の担任教諭が生徒から万引きの事実
を確認した際、廊下でいずれも5〜15分程度の立ち話で済ませていたと説明していることが
9日分かった。こうした対応に学校側も「重要な指導が廊下で行われたことは問題」と認めて
おり、指導方法を改めるとしている。≫

担任教諭にとって、高校進学に決定的な影響を与えることがわかり切っている非行事実の確
認が、廊下での、つまり、他の生徒や先生が行き来し、通りすがりに聞かれてしまう場での、
立ち話で済むことだったということなのだろう。

非行事実は、なかったとしても、他人のいるところでは質問されたくない。あったとすればなお
さらのことだ。どちらの答えになるにしても、廊下で話すような内容ではない。

≪同校の坂元弘校長によると、自殺した生徒の担任教諭は昨年11月16日から男子生徒が
自殺した12月8日までの計5回、進路指導の面談の場で男子生徒に万引きの事実を確認し
た、という。その際、「生徒の返事が曖昧で明確な否定もなく、確認がとれたと判断した」と釈
明しているという。≫

アホか。
生徒にしてみれば、万引きをしていなかったとしても、警察で取調べを受けたときのことを思
い出せば、厭な気持ちになる。思い出したくない、言いたくないことなのだ。曖昧な態度は丁
寧に聞いてやる必要があるというサインだ。非行事実を認定してはいけないのだ。丁寧に聞
いてやる心構えと言動が不可欠だ。それがこの担任教諭にはない。

≪ただ、この面談はいずれも廊下で、5〜15分程度だったという。立ち話程度の会話を進路
指導とカウントしていることになる。坂元校長によると、担任は今月7日から体調不良を理由
に学校を休んでいるという。同校へは全国から「なぜこうした事態が起きたのか」「人の命を
どう考えているのか」という電話が途切れなくかかっているという。≫

この学校では、廊下での立ち話が進路指導になるのか。

担任教諭は、体調不良で休んでいる?
体調不良になるのは当たり前だ。どんな体調不良なんだ。学校、教育委員会から「出てこら
れると却って混乱するから、ほとぼりが覚めるまで出て来るな」と言われていることはないか?
遺族は休んではいられない。

休んで何をしているのか?
寝ているのか? 起きているのか? 何を考えているのか?
生徒は自分の命を抹殺した。担任教諭はそれに見合う対応をしなければならない。
担任教諭は自分の全存在をかけて生徒の死に正面から向き合っているか?
生徒の遺族に対しても、ちゃんと向き合うつもりはあるか?
教育委員会という組織に守られ、教育委員会で指示された型どおりの挨拶で済ませるのか?
国賠訴訟を起こされる可能性を想定して、教育委員会も担任教諭も徹底した防御でこの事
態を乗り切るつもりなのか?

≪坂元校長は教諭の対応について「生徒の非行歴を含む重要な進路指導が廊下で行われ
たことは非常に問題。来年度から準備室のような場での指導を教員に指示していく」としてお
り、「組織体制の見直しが最優先。それができなければ学校再生はあり得ない」と話した。≫

校長は「教諭の対応は非常に問題だ」と言いながら、「来年度から準備室のような場での指
導を指示していく」と言っているのは、担任教諭だけではなく、他の担任教諭も同じように廊
下で進路指導をしていたのではないか。この学校では進路指導は廊下でやるのが当たり前
だったのかもしれない。学校全体がひどいのかもしれない。