加計問題の内部告発者は守秘義務違反!・・・?

朝日新聞DIGITAL6/13(火) 15:59配信
安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計学園」(岡山市)の獣医学部
新設問題で、「総理のご意向」と書かれた文書の存在などを告発した文部科学省の内
部告発者について、義家弘介文科副大臣は13日の参院農林水産委員会で、国家公務
員法違反(守秘義務違反)での処分を示唆した。≫

そう来ると思っていた。
それにしても、昔のヤンキー先生に比べると、全く覇気が感じられない。疲れ果てている
という感じ。ヤンキー先生の教え子たちは、いま、こんなことを言っている元ヤンキー先
生をどう見ているのだろう。

自由党森ゆうこ氏は、「文科省の文書再調査は(文書の存在をあると告発した)犯
人捜しのためにやっているという話も出ている。今回告発した人は公益通報者にあたる
と思うが、権利を守る意識はあるか
」と尋ねた。≫

えっ!
公益通報者に当たる?・・・わけがない。
森ゆう子議員は、公益通報者保護法の条文を見たことがないに違いない。

公益通報者保護法2条1項では、公益通報について次のように定義している。
「「公益通報」とは、労働者(労働基準法 (昭和二十二年法律第四十九号)第九条 に規
定する労働者をいう。以下同じ。)が、不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的
その他の不正の目的でなく、その労務提供先(次のいずれかに掲げる事業者(法人その
他の団体及び事業を行う個人をいう。以下同じ。)をいう。以下同じ。)又は当該労務提供
先の事業に従事する場合におけるその役員、従業員、代理人その他の者について通報
対象事実が生じ、又はまさに生じようとしている旨を、当該労務提供先若しくは当該労務
提供先があらかじめ定めた者(以下「労務提供先等」という。)、当該通報対象事実につい
て処分(命令、取消しその他公権力の行使に当たる行為をいう。以下同じ。)若しくは勧告
等(勧告その他処分に当たらない行為をいう。以下同じ。)をする権限を有する行政機関
又はその者に対し当該通報対象事実を通報することがその発生若しくはこれによる被害
の拡大を防止するために必要であると認められる者(当該通報対象事実により被害を受
け又は受けるおそれがある者を含み、当該労務提供先の競争上の地位その他正当な利
益を害するおそれがある者を除く。次条第三号において同じ。)に通報することをいう。」
だれが、だれに、なにを通報するかが法律で決まっているのだ。

だれがは、「労働者」だから該当する。
しかし、だれに、というところがちがう。マスコミの記者は通報先にならない。国会議員が
国会での質問でこんなことも知らないで質問することに呆れる。
なにをも、法律で決まっている。

「この法律において「通報対象事実」とは、次のいずれかの事実をいう。
一 個人の生命又は身体の保護、消費者の利益の擁護、環境の保全、公正な競争の確
保その他の国民の生命、身体、財産その他の利益の保護にかかわる法律として別表に
掲げるもの(これらの法律に基づく命令を含む。次号において同じ。)に規定する罪の犯
罪行為の事実
二 別表に掲げる法律の規定に基づく処分に違反することが前号に掲げる事実となる場
合における当該処分の理由とされている事実(当該処分の理由とされている事実が同表
に掲げる法律の規定に基づく他の処分に違反し、又は勧告等に従わない事実である場
合における当該他の処分又は勧告等の理由とされている事実を含む。)」

別表には、刑法、食品衛生法金融商品取引法、農林物資の規格化等に関する法律、
大気汚染防止法廃棄物の処理及び清掃に関する法律個人情報保護法、その他個
人の生命又は身体の保護、消費者の利益の擁護、環境の保全、公正な競争の確保そ
の他の国民の生命、身体、財産その他の利益の保護にかかわる法律として政令で定
めるもの、だけを規定している。
消費者庁が所管庁になっていることから明らかなように、
消費者保護的な観点が強いことがわかる。
今回、文科省の役人がマスコミの記者に話した内容は、このいずれにも該当しない。

森ゆう子議員の質問自体がすでにおかしい。
回答する側はそのことだけ答えておしまいにすればいい。

≪これに対し、義家氏は「文科省の現職職員が公益通報制度の対象になるには、告発
の内容が具体的にどのような法令違反に該当するのか明らかにすることが必要だ」と説
明。≫

ヤンキー先生のこの指摘は正しい。

≪さらに森氏が「『(告発者を)守る』と言えないのか。勇気を持って告発した人たちの権
利を守ると言って欲しい」と求めると、義家氏は「一般論」と断った上で、「告発内容が法
令違反に該当しない場合、非公知の行政運営上のプロセスを上司の許可無く外部に流
出されることは、国家公務員法(違反)になる可能性がある」と述べた。≫

森ゆう子議員の「勇気を持って告発した人たちの権利を守ると言って欲しい」という人情
論もどうかと思う。国会公務員法違反に該当するのであれば、それを問題にするのは当
然だ。
ヤンキー先生の「一般論」はそういうことなのかもしれない。

しかし、この説明は、森ゆう子議員の質問が悪かったことがあるにしても、かなり不十分
だ。
今回の経緯からすれば、本来、文科大臣が事実を明らかにすべきところをしない上に、
関係官僚に国会で説明する機会を与えないから、じゃあ、国民に事実を知ってもらう
ために、マスコミに直接説明しますよ、となっただけのことである。守秘義務違反に当た
るはずがない。

≪森氏は「残念な発言だ。この件に関して報復の動きがあったら許さない」と述べた。≫
「残念」? 残念で済むことではない。それで、「この件に関して報復の動きがあったら許
さない」って、意味不明。「許されない」とどうなるのか。

質問が的外れな上に、回答もズレている。困ったものだ。