森友学園のパンフレットに出ている著名人のコメント

毎日新聞2017年3月14日 20時39分(最終更新 3月15日 01時01分)
大阪市の学校法人「森友学園」の籠池泰典理事長が開校を目指していた小学校「瑞穂の国記念小学院
に、広告塔として利用された保守系文化人が多数いる。疑惑が噴出するいま、何を思うのか。≫

≪来月開校の予定だった小学校のパンフレットに森友学園にお越しいただいた方々」として、各界著名人
の写真が20人分掲載されている。安倍晋三首相夫人の昭恵氏や口利き疑惑がもたれる鴻池祥肇(よした
だ)元防災担当相などが学園の沿革を囲み、開校を喜ぶ応援団のような印象だ。
毎日新聞はパンフレット
に顔写真が載ったり、系列の幼稚園での講演を引き受けたりした人たちに書面や電話で取材を試みた。≫

籠池氏の思想面に賛同することと、今回の騒ぎをどう見るかは、別問題だ。
そのことをはっきり区別して、いいコメントをしてくれたか。いい視点の記事だ。

≪昭恵氏は疑惑報道以降、手のひらを返すように距離を置いている。教育勅語を唱和させる系列の塚本幼
稚園(大阪市淀川区)で2015年9月に講演し、自身のフェイスブックで「園児達は大変お行儀が良く元気」
と称賛。
小学校では名誉校長に就く予定だったが辞退した。≫

契約や補助申請手続きなどに不正があるかどうかということと、思想信条、教育方針などの内面は別問題。
昭恵氏としては、後者についての評価は変わっていないはずだから、そこは従来どおりの評価をした上で、
前者について語るかどうかどう語るかを考えるべきだ。

≪取材には沈黙を守るが、今月7日に東京都内のイベントに参加した際、自身や安倍首相について「今なん
でこういう立場になってしまっていて、なんでこんなに私は注目を集めてしまっているんだろうかとすごく戸惑
っている
」「主人は主人で国会で野党から攻められたりとかいろいろ厳しいことがいっぱいある」と述べた。≫

首相夫人の行動、言動の影響力の大きさを自覚する必要がある。
いまの昭恵氏に近づいてきて何かお願いする人は、決して単なる一主婦の昭恵氏に期待しているのではなく、
首相夫人の昭恵氏に期待しているのだ。「すごく戸惑っている」では済まない。

≪ちなみに、学園は「安倍晋三記念小学校」として寄付集めを行っていた。首相は疑惑発覚当初の2月17
日、国会で「(理事長は)私の考えに共鳴している方」「妻から森友学園の先生の教育への熱意は素晴らし
いと聞いている」
と述べたが、その後の答弁では「(寄付集めに名前が無断使用され)教育者の姿勢として
はいかがなものか」
などと批判した。≫

2月17日の時点では、学園が「安倍晋三記念小学校」として寄付集めを行っていたことを許容している。それ
が、その後、「(寄付集めに名前が無断使用され)教育者の姿勢としてはいかがなものか」に変わる。この変
化は何によるのか。寄附集めに首相の氏名が無断で使われたことについて、「教育者の姿勢としてはいかが
なものか」と言うのであれば、それは2月17日の時点ですでにわかっていたことなのだから、同じ評価になら
なければならない。変化はほかのことが理由になっている。それは何なのか。そのことが記事にはない。

≪首相ブレーンの一人とされる麗沢大学教授の八木秀次氏と、京都大学名誉教授の中西輝政氏は、顔写真
が載ったことに「無断使用だ。学校を推薦したことはない」と怒る。≫

無断使用に初めて気づいて、怒る。当然の反応だ。

≪14年に講演した八木氏は「籠池氏は愛国と言えば何でも許されると考えているフシがあった。『なんちゃっ
て保守』とひとくくりにされたくない
」と話した。12年に講演した中西氏は上げ潮の保守思想に商機を見いだ
す人たちが増えていると分析。「学園に思想性は感じられなかった。園児の教育勅語唱和は誰かに見せる
ためのショーのようだと思った
」と振り返る。≫

なんちゃって「保守」と一線を画したい。真っ当な意見だ。
上げ潮の保守思想に商機を見いだす人たちが増えている。そういう現実がいまの日本にはあるらしい。
「学園に思想性は感じられなかった。園児の教育勅語唱和は誰かに見せるためのショーのようだと思った」。
そう言われれば、そう見える。でも、そのショーを評価した人たちがいた。

≪ジャーナリストの桜井よしこ氏は、疑惑について政治家の関与を明らかにすべきだとしたが、学園の教育
方針には言及しなかった。≫

学園の教育方針に自分が共感しようがしまいが、疑惑の解明は必要だ。真っ当な意見だ。

≪政治評論家の竹田恒泰氏から回答は得られなかった。自身のツイッターでは「教育勅語の徳目を教えてい
る点など共感できるところがあり、幼稚園で2回講演した」「それにしても運動会の宣誓はやりすぎ」とする。≫

教育方針に共感するかどうかが問題ではない。それ以外の部分が問題になっているときに、そこに言及しな
いのは、この部分について思考停止になっているということか。

≪一方、森友学園を「日本を立て直そうとがんばっている」とツイッターで擁護する人物がいる。元航空幕僚
長の田母神俊雄氏=公職選挙法違反の罪で公判中=だ。学園で過去に講演したこともある。「現在の騒動
反日的日本人たちの日本潰しの行動なのです」
ともつぶやく。だが、パンフレットに同氏の顔写真はなか
った。≫

「現在の騒動は反日的日本人たちの日本潰しの行動なのです」。
話にならない。これでは、「オレに楯突くヤツは反日だ、日本潰しだ」と言っているのと一緒。籠池氏はこう
いう人の応援を歓迎するのだろうか。

弁護士の弁解と籠池氏の説明

スポニチ2017年3月14日 05:30によると、
大阪市の学校法人「森友学園」の土地取引などを巡る一連の問題で、安倍政権保守派のホープ
言われる稲田朋美防衛相と、学園の籠池泰典元理事との密接な関係が浮上した。≫

どんなことか?

森友学園が2004年12月に起こした民事訴訟の第1回口頭弁論に、原告側代理人弁護士として
稲田氏が出廷したことを示す裁判所作成記録があることが13日、判明。稲田氏は同日の参院予算
委員会で「籠池氏の事件を受任し顧問弁護士だったということはない。裁判を行ったこともない」と述
べていた。≫

顧問弁護士にならないで、訴訟代理人になることはいくらでもある。だから、顧問弁護士にならずに、
口頭弁論期日に出頭したことがあったとしてもおかしくはない。1回だけ出頭した裁判なら、忘れてい
てもおかしくない。

≪学園が04年10月18日に大阪地裁に提訴した同市淀川区の土地と建物の抵当権抹消登記請求
訴訟で、訴状の「原告訴訟代理人」には稲田氏と夫の龍示氏、もう1人の計3人が記された。また同
地裁が作成した同12月9日の第1回口頭弁論の調書には龍示氏を除く稲田氏ら2人の名前が「出
頭した当事者等」に記載されていた。≫

第1回口頭弁論期日は、訴状の陳述、答弁書の陳述があり、裁判官が「次回は原告側の反論を」と
言うだけの形式的手続で終わることが多いので、稲田弁護士が夫に頼まれてこの日だけ法廷に立つ
ということはあり得る。

≪稲田氏を巡り、民進党小川敏夫参院議員会長は13日の参院予算委で、学園が関係する05年
の民事裁判の準備書面に、訴訟代理人弁護士として稲田氏と夫の名前が記されていると指摘。稲田
氏は「共同事務所の場合、1人の弁護士の事件についても連名で出すことはある。委任状の中に私
の名前があることは推測される」と答弁していた。≫

この説明は、一般論としては成り立つ。

≪稲田氏の顧問弁護士疑惑が指摘されたのは今月8日。参院予算委で民進党議員が指摘。稲田氏
は「(籠池夫妻には)この10年間、お会いしたことも、お話ししたこともない。法律相談を受けたことも
ない」と説明し、関係を否定した。≫

過去10年間は籠池氏に会ったことも話したこともないというのであれば、この間は顧問弁護士はして
いないという説明になる。

≪しかし、フリージャーナリストの菅野完氏が12日に籠池氏にインタビューしたという動画がインター
ネット上に公開され、その中で籠池氏は「(稲田氏は)衆院議員になる前は顧問弁護士だった」などと
説明。「(私のことを)知ってるんだったら知ってると言ってほしい。旧知の仲。1、2年前にも会った
などと話した。≫

過去10年間は籠池氏の顧問弁護士でなかったことは、一致する。
しかし、「旧知の仲。1、2年前にも会った」が事実なら、稲田大臣の説明は嘘だということになる。
こんなすぐにバレてしまう嘘をどうしてつくのか。弁護士として策がなさ過ぎる。

≪稲田氏はこの日、「法律相談に乗ったことはないし、顧問弁護士だったことはない。籠池氏夫妻が
“法律相談をしていただいた”と言うのは全くの虚偽だ」とも答弁した。≫

籠池氏が嘘をついているのか?

≪籠池氏は元々稲田氏の父親、元高校教諭で保守派の活動家としても知られた、故椿原泰夫氏と
親しかったとされる。稲田氏自身も昨年10月、籠池氏の活動に対し防衛相名で感謝状を贈ってい
る。
2人の主張が全く食い違う展開。現役閣僚として稲田氏には国民が納得する説明が求められる。≫

稲田氏自身も昨年10月、籠池氏の活動に対し防衛相名で感謝状を贈っている。
これが事実なら、10年間、籠池氏に会ったことも話したこともない、という説明はかなり疑わしい。
自衛隊員の命を守るべき立場にある防衛大臣が、自身のことでこんなにもしどろもどろになっている
ようでは、到底、大臣の仕事をまっとうすることはできない。

南スーダンPKOに派遣の陸自部隊、撤退へ 政権が決定

朝日新聞デジタル 3/10(金) 18:07配信
安倍政権は10日、南スーダン国連平和維持活動(PKO)に派遣している陸上自衛隊の施設
部隊を撤退させる方針を決めた南スーダンには2012年1月から派遣し、道路整備などに従
事。しかし、大統領派と前副大統領派の間で激しい戦闘が起きるなどしており、国会で批判を浴
びていた。≫

「安部政権」が主語か?稲田防衛大臣が市ヶ谷から現地の状況について報告を受け、対応を市ヶ谷と相談し、その内容
を内閣に報告するとともに、防衛省の最高責任者として自衛隊の撤退を提案し、閣議し、安倍総
理がその結果をまとめる、だったのか?
この記事では、稲田防衛大臣が何をしていたのか、まったくわからない。

記事では、国会で批判が浴びたことが原因のような書き方になっているが、そんなことはないだ
ろう。戦闘状態になっているから撤退する、それだけのことでなければならない。そういう約束で
派遣したのだから。

「テロ」が何となく不安だから、ではダメ!

治安と刑罰は、国や地域によって著しく異なります。共謀罪法案をつくるきっかけになっている
条約は、確かイタリアでの会議のときのもので、イタリア政府がマフィア対策として各国に求め
たものです。

日本にも、日本人、韓国人、中国人、その他諸々の国籍の人たちのマフィア組織はあるでしょ
うし、その対策は必要です。しかし、イタリアの治安状況(経済状態が大きく影響します)とはま
ったく違います。ごく最近の大規模難民問題も大きく影響しているでしょうが、それでもテロ行
動に出るのはごくごく一部の、数えることができる人数でしかありません。圧倒的多数の難民
は、自分の行き先には安心して暮らせる場を求めて、故国からやむなく去っているのであって、
自分や自分の家族が生活しようとする場を破壊し、憎しみを自分に向けようとするはずがあり
ません。

それはともかく、「よその国々と約束しちゃったからつくりしかない」ではなく、日本の治安維持
のために、いま、どういう行為を犯罪として処罰の対象として新たに加える必要があるのかと
いう、という観点から国内問題として考えるべきです。
憲法論争でもなければ、抽象的脅迫論
でもありません。

新しい刑罰は、それまで犯罪とされていなかったことを犯罪にするということです。だれもが、
だれかが意識せずしていたことを犯罪にしてしまうということですから、だれもの、だれかの
人生を突然、大きく変えてしまうかもしれないのです。
そんなことをする意味があるでしょうか。
277もの共謀罪を創設するようなことまでして。とい
うのが、共謀罪の創設の問題です。

NHKや新聞、共同通信などのアンケート調査では、40%以上の回答者が「賛成」。
理解できませんというより、「賛成」した人たちは、600なり、300なり、277なりの個々の内
容を考えた上で賛成したのだろうか、って、あり得ないですよね。
新たな刑罰の創設は国民の多数がなんとかく「必要かな」の雰囲気で押し切るべきではありま
せん。

警察官の職場、これも現実

日本社会の治安は警察(官)に任せて。安心安全社会は警察が守る。
大方の日本国民はこのキャッチコピーを丸ごと信じている。
それなら、警察署の中だって安心安全社会ってことだよね、でなければ困る。
が、実際はこんなことが起こっている。

朝日新聞デジタル 3/2(木) 6:59配信
≪福岡県警の留置管理課に所属する複数の男性警察官が一昨年、同僚の女性に対し集団でわいせつ
行為をした
疑いがあることが、捜査関係者への取材でわかった。県警はこのうち50代の男性警部補2人
を強制わいせつ容疑で書類送検
した。≫

警察組織の中で留置管理課は出世コースから外れている。新人警察官かできない警察官が配置されるこ
とが多い。交番の警察官もこの組み合わせ。

書類送検。ということは逮捕されていないということ。一般人なら確実に逮捕される。それなのに警察官は逮捕されない。国民を非警察官と警察官にわけて、
二重基準が採用されている。

≪2人に加え、わいせつ行為を手助けしたりセクハラ行為を繰り返したりしたとして、数人を2日にも懲戒
処分
にする。≫

手助け、セクハラ行為。数人。・・・かなりたちが悪そうだ。
が、こちらは刑事事件として扱わない。

≪捜査関係者によると、警部補2人は2015年、課員ら十数人が集まった飲み会で、羽交い締めにしたり
覆いかぶさったりしながら、女性の体を触るなどのわいせつな行為をした
疑いがある。他に同課の巡査部
長ら2人が足を押さえるなどして、警部補らの手助けをしていたという。≫

一昨年の事件。で、十数人が集まった飲み会でのこと。ということは、その場にいた警察官はみんなが知
っていたということ。そして、全員が犯罪隠しをしていたということ。
こういうことを全員で隠せる職場内の「信頼」関係があったとすると、同じようなこと、似たようなことがこ
れ以前から幾度もあって、その都度、加害者側は高笑い、被害者側は泣き寝入り、傍観者側は知らぬ顔、
ということが続いて来ていたのではないか。

≪飲み会は課内の親睦会のような位置づけで、幹部は参加していなかった。≫

幹部は参加していなかったのか、していなかったことにしたのか。

≪昨年になって、「留置管理課の職場の雰囲気が悪い」「セクハラが横行している」といった内部通報が県
警本部に寄せられた。捜査の過程で強制わいせつ事件に当たる疑いが強まり、性犯罪の捜査を担う捜査1
課などが捜査。飲み会の参加者らから事情を聴き、警部補らの関与が浮上したという。≫

「留置管理課の職場の雰囲気が悪い」「セクハラが横行している」
昨年になって内部通報があったのは、一昨年の事件について関係警察官らに何の反省もなく、幹部も日
常的なセクハラを放置して来たという職場環境にがまんできなくなったからではないか。

こういう職場環境に馴染んでいる警察官は警察署の外に出ても同じようなことができるのではないか。
警察官を信用し過ぎてはいけない。

<森友学園>財務省、土地交渉「記録を廃棄」に呆れる!

毎日新聞 2/24(金) 21:15配信
大阪市の学校法人「森友学園」が小学校用地として大阪府豊中市の国有地を鑑定額より大幅に
安く取得した問題を巡り、民進党玉木雄一郎氏は24日の衆院予算委員会で、土木業者の証言
を基に、建設現場から掘り出したごみの一部が敷地内に埋め戻されたのではないかと改めて追及
した。財務省の佐川宣寿理財局長は「契約上、確認する義務はない」と答弁した。一方、国有財
産を管理する財務省近畿財務局が学園側との交渉記録を既に廃棄した
ことも明らかになった。≫

こんな特殊事案で、役人が交渉記録を廃棄するなんて、まるで悪質な責任逃れではないか。
交渉記録をちゃんと残しておけば、安倍総理はあらぬ疑いをかけられることもなかった。役人の文
書廃棄はとんでもない背信行為だ。廃棄した役人には公用文書毀棄罪(刑法258条)が成立する
可能性さえある。

≪玉木氏によると、業者は昨年11月から12月まで約2週間、建設現場で作業。掘り出した約20
00立方メートルの汚染土のうち半分程度しか敷地外に搬出せず、残りは運動場予定地に埋め戻
したという。≫

運動場予定地に埋め戻した?
何のために?

≪この業者は毎日新聞の取材に対し、建設現場には生活ごみなどが交じった土が山積みになって
いたと語り、「発注元の指示で敷地内に穴を掘り、その土を埋めた」と証言した。ごみは空になった
しょうゆやマヨネーズの容器、靴、衣類などだった。土はアンモニアのような異臭を放ち、食事はの
どを通らなかったとも説明した。≫

発注元はどうしてそんな変な指示を出したのか?
臭い!

大阪府松井一郎知事は24日、こうした処理が適正だったかどうか、調査権限のある豊中市
事実確認を求める考えを示した。≫

当然だ。

≪また共産党宮本岳志氏は24日の衆院予算委で、2015年9月4日午前10時から正午にか
けて近畿財務局9階の会議室で、同局幹部が森友学園と撤去費用などを具体的に議論した
とい
う独自の調査結果を示した。≫

≪佐川氏は「一般的に随意契約をする場合にはいろいろな会議を開く」と会合があったかどうか
を明言せず、「近畿財務局と森友学園の交渉記録はなかった」と答弁した。≫

「近畿財務局と森友学園の交渉記録はなかった」はあり得ない。どこかにきっとある。

財務省の行政文書管理規則によると、面会などの記録の保存期間は1年未満で、事案の終了
時に廃棄するという。佐川氏は「16年6月の売買契約締結で事案は終了したので、記録は残って
いない
」と説明した。菅義偉官房長官は記者会見で「著しい弊害があれば見直す必要があるが、そ
こについてはなかった」と述べ、近畿財務局の対応に問題はないとの見解を示した。≫

財務省行政文書管理規則が廃棄の根拠だというが・・・

第11条では、「職員は、次に掲げる整理を行わなければならない。」として第1号で「作成又は取
得した行政文書について分類し、名称を付するとともに、保存期間及び保存期間の満了する日を
設定すること。」としている。

第13条第1項は、「文書管理者は、別表第1に基づき、標準文書保存期間基準を定めなければな
らない。」と規定している。
規則は法律ではないから国会が決めるわけでなく、役所が自分の都合に合わせて作ることができ
る。が、どうにでも自由にできるというものでもない。法律の規定の趣旨を潜脱するような規則は違
法だ。

財務省行政文書管理規則の別表第1は、1から28まで分類して保存期間を定めている。
28番目は「国有財産の管理及び処分の実施に関する事項」である。
本件の場合はこれに当たると考えるべきではないだろうか。
そこでは、業務の区分は「国有財産の管理(取得、維持、保存及び運用をいう。)及び処分の実施
に関する重要な経緯
」、当該業務にかかる行政文書の類型(令別表の該当項)は「国有財産(不動
産に限る。)の取得及び処分に関する決裁文書
」、保存期間は「30年」、具体例は「引受決議書、
売払決議書」となっている。

具体例はあくまでも例であり、すべてではない。
この規則の大元となる公文書管理法は、第4条で「行政機関の職員は、第1条の目的の達成に資
するため、当該行政機関における経緯も含めた意思決定に至る過程並びに当該行政機関の事務
及び事業の実績を合理的に跡付け、又は検証することができるよう、処理に係る事案が軽微なも
のである場合を除き、次に掲げる事項その他の事項について、文書を作成しなければならない。

と規定し、第4号で、「個人又は法人の権利義務の得喪及びその経緯」を規定している。

今回の交渉経過の記録は、「国有財産の処分の実施に関する重要な経緯」に当たるのではない
か。

そうだとすれば、「売払決議書」の(不)合理性を裏付ける重要な証拠として「30年」保存となるべ
きではないか。どんなに短くても5年は保存されるべきだろう。

保存期間が1年未満でいいとすれば、不正をした者は1年間不正が発覚しなければ責任を免れるこ
とができる。そんなことを公文書管理法が許しているはずがない。

大統領VSマスコミ

ホワイトハウス
「報復だ」排除されたメディアが反発
毎日新聞2017年2月25日 10時41分(最終更新 2月25日 11時39分)

定例記者会見を「懇談」に変更、参加メディアを選別
≪トランプ米大統領は24日、首都ワシントン近郊で開かれた保守系団体の集会で、「フェイク(偽)
ニュースは人々の敵だ。私はフェイクニュース、それを流すメディアに反対している
」などと改めて
メディアを批判した。また、スパイサー大統領報道官はこの日、取材対応する場に、CNNテレビなど
複数のメディアの参加を認めなかった。メディア側は「気に入らない記事への報復であることは明ら
か」(CNN)と反発し、対立が激化している。≫

気に食わない奴(記者)の質問はこれまでどおり受けなければいい。その場面をみるだけで、何が
起こっているのかがわかる。それを国民、世界中の人に知られるのが厭で締め出しとは、あまりに
も幼稚だ。

≪トランプ氏は「私はメディアや報道に反対しているのではなく、それに値するなら(自身にとって)
良くない記事でも気にしない」と前置きしながらも、フェイクニュース」という言葉を連発してメディ
アを批判
。「フェイクニュースを流す人々は物語や情報源をでっち上げる」とし、「人物の実名を出せ
ないなら、情報源として使用するのは許されるべきでない」と語り、匿名ではなく情報源を実名で示
すよう繰り返し要求した。≫

フェイクニュース」の基準が主観的過ぎる。
まるで、俺様が言うことが真実。俺様が認めない事実は事実ではない、と言っているのと同じように
聞こえる。

≪一方、ホワイトハウスは24日、スパイサー氏の定例記者会見を、報道官室でカメラ撮影なしで
質問を受ける「懇談」に変更
し、「拡大代表取材者」として参加メディアを選別した。≫

懇談?
呆れる。
参加メディアを選別?
お気に入りか、「無害」しか入れない。
事実で勝負できない弱さを露呈している。

≪テレビでは主要5局のうちCNNだけ排除され、ニューヨーク・タイムズ紙▽政治メディア「ポリティ
コ」−−なども参加を認められなかった。バノン首席戦略官が会長を務めていた右派系ニュースサ
イト「ブライトバート・ニュース」などが参加を許された。≫

CNN、ニューヨーク・タイムズがダメとは。わかり安過ぎる。

≪これに対し、参加を許されていたAP通信とタイム誌は抗議のために取材をボイコットし、ホワイ
トハウス記者会は抗議する声明を発表
。CNNは「報復だ」と猛反発し、ニューヨーク・タイムズ紙は
「このようなことは、さまざまな党の政権を取材してきた我々の長い歴史で、起こったことがない」と
声明で批判した。≫

AP通信とタイム誌は、CNNやニューヨーク・タイムズとちがって、トランプ大統領に嫌われていない
んだ。取材をボイコットして抗議声明を出したくらいだから、CNNやニューヨーク・タイムズと同じ立
ち位置から怒っているのだろう。

日本でも記者クラブの加盟する1社だけが記者会見から排除されることがある。
かつて、1980年代から薬害エイズを取材報道していた毎日新聞の記者は厚生省(現厚労省)の記
者会見から排除されていたことがあったと聞く。
21世紀に入ってからも、北海道新聞が北海道警裏金追及をしていたときに、道警の記者クラブは記
者会見から排除され、個別取材にもなかなか協力してもらえかった。このとき、全国紙の1社が道警
におもねる記事を紙面に出していたのをみて驚いたのを覚えている。
どちらの場合も、当事者の新聞社以外のマスコミは、このような排除について抗議声明を出してい
ない。
それどころか、道警元幹部に「(道新の記事は)まるで週刊誌だ」と陰口をしていた記者さえい
た。

トランプ大統領は、自分が気に入らない報道(事実)には「フェイクニュースだ」の一言で切り返す。1
度や2度なら冗談として聞き流してもいいが、あまり繰り返されると、まともな説明で切り返せないの
かと、大統領としての資質、能力を疑う。トランプ大統領の支持者は拍手喝采しているのだとしても、
世界中の人々の圧倒的多数は呆れている。それがさらに、お気に入りだけの懇談会とは。
こんな方向に突き進んで行ったら、アメリカは間違いなくあらゆる面で信用を失い、アメリカブランド
の価値はすべての分野で下がる。これが4年も8年も続けば、アメリカはもはや浮上不可能な三流国
家になる。それがトランプ大統領の支持者たちのお望みだとは思えないが。