警察幹部でもいじめ自殺?

読売新聞 4/13(木) 11:11配信
≪10日夜から行方不明になっていた静岡県警の伊藤博文刑事部長(58)が13日朝、静岡市
葵区の山林で死亡しているのが見つかった。
県警幹部が明らかにした。現場の状況などから、県警は自殺とみて、動機などを調べる。≫

警察官の自殺は巡査や巡査部長など階級がいちばん下の方が圧倒的に多い。県警幹部の自
殺はめずらしい。

≪伊藤部長の遺体が見つかったのは、葵区内の自宅から北西に2キロほど離れた賤機山(し
ずはたやま)と呼ばれる一帯。斜面に倒れているのを通行人が発見した。伊藤部長は10日午
後9時頃、自宅を1人で出たまま行方が分からなくなり、妻から届け出を受けた県警が捜索して
いた。遺体発見時、家を出た時と同じ赤いジャンパーを着ていたという。≫

刑事部長と言えば、県警組織で上から何番目という上位者だ。そこまで出世した警察官が自殺
するほど悩んでいた。その悩みを県警内部の幹部たちが気づかないはずがない。追い込んでい
た人たちは、まさかあんなことで自殺するはずがない、と軽く考え、下から見ていた人たちは、あ
そこまでやられたらかなりまいるだろうなあ、と的確に判断する。

わたしが数年前に関わった静岡県警の辞職強要事件では、依頼者は自殺寸前のところでわたし
の事務所に相談に来て、わたしに職場の上司や県警本部の幹部から受けている凄まじいいじめ
の実態を話してくれた。いまにして思えば、このような話をできたからこそ、本人は自殺しないで
済んだのだろう。もちろん、すでに警察を辞め、いまは民間で働いている。

刑事部長には自分の悩みを打ち明ける相手がいなかったのではないだろうか。

背広組幹部にとっての、制服組の命の軽さ

NHK NEWSWEB3月17日 4時05分によれば、
南スーダンのPKO部隊の日報を陸上自衛隊が保管していた問題で、陸上自衛隊は先月、国会
議員から日報に関するコンピューターの使用記録の提出を求められた直後にデータを消去してい
たことが防衛省幹部への取材でわかりました。幹部の1人は、「日報のデータの存在が発覚しな
いよう消去することになった」
と証言しています。≫

このデータの消去は、日常業務ではない。明らかにイレギュラーな証拠隠し。まるで、犯罪組織だ。
防衛省幹部」が匿名になっているのは、他の幹部の意向に反した内部告発をしているからなの
だろう。

南スーダンで大規模な武力衝突が起きた際のPKO部隊の日報について、防衛省は、陸上自衛
隊が破棄し、その後、別の部署で見つかったと説明していますが、実際には陸上自衛隊の司令部
に日報のデータが保管されていました。

この日報は、防衛省内での現状報告として意味があるだけでなく、今後、自衛隊が紛争地域に出
かけるときのための研究素材として貴重なのだ。捨てるはずがない。背広組が本当にすべて捨て
ていたのだとしたら、それは紛争地域に行きっこない背広組が、紛争地域に行かざるを得ない制
服組の命を軽くみているということだ。
それは、確実に、背広組と制服組の間の対立の溝を深くす
る。その溝がどんどん深まったとき、背広組は制服組をコントロールできなくなる。

≪これについて、陸海空の各自衛隊を運用する統合幕僚監部の防衛官僚が、ことし1月下旬、
「今さら言えない」などと言って、公表しない方針を伝えてきたということです。≫

だれだ? 「今さら言えない」などと言った馬鹿者は。官僚の身勝手。
しかも、それで決まってしまうとは、どうなっているんだ、この組織は。

≪さらに、先月になって、陸上自衛隊は、国会議員から日報に関するコンピューターの使用記録
の提出を求められ、その直後に、データを消去したことが新たにわかりました。≫

「戦闘」の文字が書かれている日報が国会に出てくれば、政府は自衛隊員たちを南スーダンから
引き上げなければならなくなる。背広組が日報=「戦闘」の文字を隠すことは、紛争地域にいる
自衛官たちの命を危険に曝し続けるということだ。自衛隊員の命より、自分たちの面子が優先か。
それとも、稲田防衛大臣安倍総理の政治上の立場を守るつもりの愚挙か。

防衛省幹部によりますと、この時、陸上自衛隊の司令部から複数の端末が持ち出され、データ
などが消去されたということです。
幹部の1人は「日報のデータの存在が発覚しないよう消去することになった」と証言しています。≫

この証言は違法秘密の暴露だから、国家公務員法守秘義務違反には当たらない。もちろん、
特定秘密でもない。

防衛省は、客観的な立場で調査を行う「特別防衛監察」を実施し、詳しいいきさつなどを解明し
たいとしています。≫

特別防衛監察。まず内部調査になるのは仕方がないかもしれないが、客観的な立場でどこまでで
きるかは疑問だ。
しっかりやらなければ、背広組と制服組の対立の溝はもっとずっと深まる。それは確実。

だれが暴走しているのか

毎日新聞2017年3月16日 10時43分(最終更新 3月16日 10時56分)
南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に派遣されている陸上自衛隊部隊の日報を巡る問題で、
これまで防衛省が「廃棄したので存在しない」としていた陸自内で、日報の電子データが保管されて
いたことが分かった。同省は陸自とは別の機関である統合幕僚監部で電子データが見つかったとし
てきたが、実際には陸自で当初から保管されていたといい、「隠蔽(いんぺい)」との批判が高まり
そうだ。≫

どうしてそういう展開になるかなあ。
この手の文書が廃棄されるはずがないということが、記者にはわからないのかなあ。

≪派遣部隊は上部部隊の陸自中央即応集団(CRF)に現地の情勢を報告するため、陸自の指揮シ
ステムにある掲示板に日報の電子データをアップロードする。同省関係者によると、アクセス権限が
ある同省職員や陸自隊員が、職務の参考のために電子データをダウンロードしていた。≫

なるほど。

≪昨年9月に日報の情報公開請求を受けた同省は、派遣部隊とCRFで文書を探しつつ、統幕にも
意見照会をした上で「廃棄して不存在」として同12月に不開示を決定した。≫

あるに決まっている文書を、だれの判断で、どういう動機でそういうことになったのかが問題だ。
自衛隊にも防衛省にも隠す、というか嘘をつく理由がない。

稲田朋美防衛相が再探索を指示し、同月26日に統幕での保管を確認した後、陸自内でも保管
されていることを把握したが、同省は2月7日から電子データの開示を始めた際にも「陸自にデー
タは保管されていない」と説明し、事実を公表しなかった。つじつまを合わせるために、陸自内で今
年に入ってデータが消去された可能性もあり、同省は調査している。≫

稲田防衛大臣は、南スーダンが「戦闘状態にある」ことを知ることを嫌がっているのではないか。
そういう稲田防衛大臣は、自衛隊防衛省にとって、南スーダンにいる自衛隊員の命を大事に思
ってくれていないようには見えない。
そうであれば、自衛隊防衛省(の官僚)は、稲田防衛大臣のために、「戦闘状態にある」と書い
てある日報が存在しないことにした方が望ましいのだろう、と忖度(そんたく)するに決まってい
る。

≪日報には、昨年7月の政府軍と反政府勢力との大規模な衝突を「戦闘」と表現する記載があり、
野党が国会でPKO参加5原則が崩れていたのではと追及。稲田防衛相は「法的意味で戦闘行為
はなかった」
と説明していた。統幕でデータが保管されていることが確認された後、稲田防衛相に
報告するまで約1カ月かかっており、「文民統制シビリアンコントロール)上、問題ではないか」と
も批判されていた。≫

「法的意味で戦闘行為はなかった」
日本語になっていない。

文民統制シビリアンコントロール)上、問題ではないか」という批判は当たらない。
自衛隊員は命の危険に晒されているのだ。「安全だから行け」と政府に言われて南スーダンに行
ったのだ。安全でないのなら、日本にさっさと帰りたいに決まっている。南スーダンが戦闘状態に
なれば、自衛隊員はすぐに日本に帰れるはずなのだから。それを実現させてくれないのは、「法
的意味で戦闘行為はなかった」と言っている防衛大臣だ。
文民統制シビリアンコントロール)」が暴走しているのだ。

森友学園のパンフレットに出ている著名人のコメント

毎日新聞2017年3月14日 20時39分(最終更新 3月15日 01時01分)
大阪市の学校法人「森友学園」の籠池泰典理事長が開校を目指していた小学校「瑞穂の国記念小学院
に、広告塔として利用された保守系文化人が多数いる。疑惑が噴出するいま、何を思うのか。≫

≪来月開校の予定だった小学校のパンフレットに森友学園にお越しいただいた方々」として、各界著名人
の写真が20人分掲載されている。安倍晋三首相夫人の昭恵氏や口利き疑惑がもたれる鴻池祥肇(よした
だ)元防災担当相などが学園の沿革を囲み、開校を喜ぶ応援団のような印象だ。
毎日新聞はパンフレット
に顔写真が載ったり、系列の幼稚園での講演を引き受けたりした人たちに書面や電話で取材を試みた。≫

籠池氏の思想面に賛同することと、今回の騒ぎをどう見るかは、別問題だ。
そのことをはっきり区別して、いいコメントをしてくれたか。いい視点の記事だ。

≪昭恵氏は疑惑報道以降、手のひらを返すように距離を置いている。教育勅語を唱和させる系列の塚本幼
稚園(大阪市淀川区)で2015年9月に講演し、自身のフェイスブックで「園児達は大変お行儀が良く元気」
と称賛。
小学校では名誉校長に就く予定だったが辞退した。≫

契約や補助申請手続きなどに不正があるかどうかということと、思想信条、教育方針などの内面は別問題。
昭恵氏としては、後者についての評価は変わっていないはずだから、そこは従来どおりの評価をした上で、
前者について語るかどうかどう語るかを考えるべきだ。

≪取材には沈黙を守るが、今月7日に東京都内のイベントに参加した際、自身や安倍首相について「今なん
でこういう立場になってしまっていて、なんでこんなに私は注目を集めてしまっているんだろうかとすごく戸惑
っている
」「主人は主人で国会で野党から攻められたりとかいろいろ厳しいことがいっぱいある」と述べた。≫

首相夫人の行動、言動の影響力の大きさを自覚する必要がある。
いまの昭恵氏に近づいてきて何かお願いする人は、決して単なる一主婦の昭恵氏に期待しているのではなく、
首相夫人の昭恵氏に期待しているのだ。「すごく戸惑っている」では済まない。

≪ちなみに、学園は「安倍晋三記念小学校」として寄付集めを行っていた。首相は疑惑発覚当初の2月17
日、国会で「(理事長は)私の考えに共鳴している方」「妻から森友学園の先生の教育への熱意は素晴らし
いと聞いている」
と述べたが、その後の答弁では「(寄付集めに名前が無断使用され)教育者の姿勢として
はいかがなものか」
などと批判した。≫

2月17日の時点では、学園が「安倍晋三記念小学校」として寄付集めを行っていたことを許容している。それ
が、その後、「(寄付集めに名前が無断使用され)教育者の姿勢としてはいかがなものか」に変わる。この変
化は何によるのか。寄附集めに首相の氏名が無断で使われたことについて、「教育者の姿勢としてはいかが
なものか」と言うのであれば、それは2月17日の時点ですでにわかっていたことなのだから、同じ評価になら
なければならない。変化はほかのことが理由になっている。それは何なのか。そのことが記事にはない。

≪首相ブレーンの一人とされる麗沢大学教授の八木秀次氏と、京都大学名誉教授の中西輝政氏は、顔写真
が載ったことに「無断使用だ。学校を推薦したことはない」と怒る。≫

無断使用に初めて気づいて、怒る。当然の反応だ。

≪14年に講演した八木氏は「籠池氏は愛国と言えば何でも許されると考えているフシがあった。『なんちゃっ
て保守』とひとくくりにされたくない
」と話した。12年に講演した中西氏は上げ潮の保守思想に商機を見いだ
す人たちが増えていると分析。「学園に思想性は感じられなかった。園児の教育勅語唱和は誰かに見せる
ためのショーのようだと思った
」と振り返る。≫

なんちゃって「保守」と一線を画したい。真っ当な意見だ。
上げ潮の保守思想に商機を見いだす人たちが増えている。そういう現実がいまの日本にはあるらしい。
「学園に思想性は感じられなかった。園児の教育勅語唱和は誰かに見せるためのショーのようだと思った」。
そう言われれば、そう見える。でも、そのショーを評価した人たちがいた。

≪ジャーナリストの桜井よしこ氏は、疑惑について政治家の関与を明らかにすべきだとしたが、学園の教育
方針には言及しなかった。≫

学園の教育方針に自分が共感しようがしまいが、疑惑の解明は必要だ。真っ当な意見だ。

≪政治評論家の竹田恒泰氏から回答は得られなかった。自身のツイッターでは「教育勅語の徳目を教えてい
る点など共感できるところがあり、幼稚園で2回講演した」「それにしても運動会の宣誓はやりすぎ」とする。≫

教育方針に共感するかどうかが問題ではない。それ以外の部分が問題になっているときに、そこに言及しな
いのは、この部分について思考停止になっているということか。

≪一方、森友学園を「日本を立て直そうとがんばっている」とツイッターで擁護する人物がいる。元航空幕僚
長の田母神俊雄氏=公職選挙法違反の罪で公判中=だ。学園で過去に講演したこともある。「現在の騒動
反日的日本人たちの日本潰しの行動なのです」
ともつぶやく。だが、パンフレットに同氏の顔写真はなか
った。≫

「現在の騒動は反日的日本人たちの日本潰しの行動なのです」。
話にならない。これでは、「オレに楯突くヤツは反日だ、日本潰しだ」と言っているのと一緒。籠池氏はこう
いう人の応援を歓迎するのだろうか。

弁護士の弁解と籠池氏の説明

スポニチ2017年3月14日 05:30によると、
大阪市の学校法人「森友学園」の土地取引などを巡る一連の問題で、安倍政権保守派のホープ
言われる稲田朋美防衛相と、学園の籠池泰典元理事との密接な関係が浮上した。≫

どんなことか?

森友学園が2004年12月に起こした民事訴訟の第1回口頭弁論に、原告側代理人弁護士として
稲田氏が出廷したことを示す裁判所作成記録があることが13日、判明。稲田氏は同日の参院予算
委員会で「籠池氏の事件を受任し顧問弁護士だったということはない。裁判を行ったこともない」と述
べていた。≫

顧問弁護士にならないで、訴訟代理人になることはいくらでもある。だから、顧問弁護士にならずに、
口頭弁論期日に出頭したことがあったとしてもおかしくはない。1回だけ出頭した裁判なら、忘れてい
てもおかしくない。

≪学園が04年10月18日に大阪地裁に提訴した同市淀川区の土地と建物の抵当権抹消登記請求
訴訟で、訴状の「原告訴訟代理人」には稲田氏と夫の龍示氏、もう1人の計3人が記された。また同
地裁が作成した同12月9日の第1回口頭弁論の調書には龍示氏を除く稲田氏ら2人の名前が「出
頭した当事者等」に記載されていた。≫

第1回口頭弁論期日は、訴状の陳述、答弁書の陳述があり、裁判官が「次回は原告側の反論を」と
言うだけの形式的手続で終わることが多いので、稲田弁護士が夫に頼まれてこの日だけ法廷に立つ
ということはあり得る。

≪稲田氏を巡り、民進党小川敏夫参院議員会長は13日の参院予算委で、学園が関係する05年
の民事裁判の準備書面に、訴訟代理人弁護士として稲田氏と夫の名前が記されていると指摘。稲田
氏は「共同事務所の場合、1人の弁護士の事件についても連名で出すことはある。委任状の中に私
の名前があることは推測される」と答弁していた。≫

この説明は、一般論としては成り立つ。

≪稲田氏の顧問弁護士疑惑が指摘されたのは今月8日。参院予算委で民進党議員が指摘。稲田氏
は「(籠池夫妻には)この10年間、お会いしたことも、お話ししたこともない。法律相談を受けたことも
ない」と説明し、関係を否定した。≫

過去10年間は籠池氏に会ったことも話したこともないというのであれば、この間は顧問弁護士はして
いないという説明になる。

≪しかし、フリージャーナリストの菅野完氏が12日に籠池氏にインタビューしたという動画がインター
ネット上に公開され、その中で籠池氏は「(稲田氏は)衆院議員になる前は顧問弁護士だった」などと
説明。「(私のことを)知ってるんだったら知ってると言ってほしい。旧知の仲。1、2年前にも会った
などと話した。≫

過去10年間は籠池氏の顧問弁護士でなかったことは、一致する。
しかし、「旧知の仲。1、2年前にも会った」が事実なら、稲田大臣の説明は嘘だということになる。
こんなすぐにバレてしまう嘘をどうしてつくのか。弁護士として策がなさ過ぎる。

≪稲田氏はこの日、「法律相談に乗ったことはないし、顧問弁護士だったことはない。籠池氏夫妻が
“法律相談をしていただいた”と言うのは全くの虚偽だ」とも答弁した。≫

籠池氏が嘘をついているのか?

≪籠池氏は元々稲田氏の父親、元高校教諭で保守派の活動家としても知られた、故椿原泰夫氏と
親しかったとされる。稲田氏自身も昨年10月、籠池氏の活動に対し防衛相名で感謝状を贈ってい
る。
2人の主張が全く食い違う展開。現役閣僚として稲田氏には国民が納得する説明が求められる。≫

稲田氏自身も昨年10月、籠池氏の活動に対し防衛相名で感謝状を贈っている。
これが事実なら、10年間、籠池氏に会ったことも話したこともない、という説明はかなり疑わしい。
自衛隊員の命を守るべき立場にある防衛大臣が、自身のことでこんなにもしどろもどろになっている
ようでは、到底、大臣の仕事をまっとうすることはできない。

南スーダンPKOに派遣の陸自部隊、撤退へ 政権が決定

朝日新聞デジタル 3/10(金) 18:07配信
安倍政権は10日、南スーダン国連平和維持活動(PKO)に派遣している陸上自衛隊の施設
部隊を撤退させる方針を決めた南スーダンには2012年1月から派遣し、道路整備などに従
事。しかし、大統領派と前副大統領派の間で激しい戦闘が起きるなどしており、国会で批判を浴
びていた。≫

「安部政権」が主語か?稲田防衛大臣が市ヶ谷から現地の状況について報告を受け、対応を市ヶ谷と相談し、その内容
を内閣に報告するとともに、防衛省の最高責任者として自衛隊の撤退を提案し、閣議し、安倍総
理がその結果をまとめる、だったのか?
この記事では、稲田防衛大臣が何をしていたのか、まったくわからない。

記事では、国会で批判が浴びたことが原因のような書き方になっているが、そんなことはないだ
ろう。戦闘状態になっているから撤退する、それだけのことでなければならない。そういう約束で
派遣したのだから。

「テロ」が何となく不安だから、ではダメ!

治安と刑罰は、国や地域によって著しく異なります。共謀罪法案をつくるきっかけになっている
条約は、確かイタリアでの会議のときのもので、イタリア政府がマフィア対策として各国に求め
たものです。

日本にも、日本人、韓国人、中国人、その他諸々の国籍の人たちのマフィア組織はあるでしょ
うし、その対策は必要です。しかし、イタリアの治安状況(経済状態が大きく影響します)とはま
ったく違います。ごく最近の大規模難民問題も大きく影響しているでしょうが、それでもテロ行
動に出るのはごくごく一部の、数えることができる人数でしかありません。圧倒的多数の難民
は、自分の行き先には安心して暮らせる場を求めて、故国からやむなく去っているのであって、
自分や自分の家族が生活しようとする場を破壊し、憎しみを自分に向けようとするはずがあり
ません。

それはともかく、「よその国々と約束しちゃったからつくりしかない」ではなく、日本の治安維持
のために、いま、どういう行為を犯罪として処罰の対象として新たに加える必要があるのかと
いう、という観点から国内問題として考えるべきです。
憲法論争でもなければ、抽象的脅迫論
でもありません。

新しい刑罰は、それまで犯罪とされていなかったことを犯罪にするということです。だれもが、
だれかが意識せずしていたことを犯罪にしてしまうということですから、だれもの、だれかの
人生を突然、大きく変えてしまうかもしれないのです。
そんなことをする意味があるでしょうか。
277もの共謀罪を創設するようなことまでして。とい
うのが、共謀罪の創設の問題です。

NHKや新聞、共同通信などのアンケート調査では、40%以上の回答者が「賛成」。
理解できませんというより、「賛成」した人たちは、600なり、300なり、277なりの個々の内
容を考えた上で賛成したのだろうか、って、あり得ないですよね。
新たな刑罰の創設は国民の多数がなんとかく「必要かな」の雰囲気で押し切るべきではありま
せん。