再審無罪になったけれど・・・

読売新聞 10月16日(金)15時1分配信記事
「強姦事件の再審、男性に無罪判決…大阪地裁」
には驚いた。

≪強姦(ごうかん)罪などで実刑判決が確定して服役中、被害証言がうそと判明
して釈放された
70歳代男性の再審で、大阪地裁(芦高(あしたか)源(みなもと)
裁判長)は16日、無罪判決を言い渡した。≫

≪男性は、2004、08年に大阪市内で当時10歳代の同じ女性に性的暴行を加え
たなどとして強姦、強制わいせつ両罪で起訴された。捜査段階から否認したが、1
審・大阪地裁は09年、女性と目撃者の証言などから懲役12年の判決を言い渡し、
最高裁で確定した。≫

男性は一貫して否認。
ということは、検察側が有罪証拠を揃えていたということ。
有罪証拠はなんだったのかというと、「女性と目撃者の証言など」
「女性」=被害者を自称する人の言葉が常に真実とは限らない。
「目撃者」はだれだ?

≪しかし、服役中の14年、女性と、目撃者とされた女性の兄が男性の弁護人に対
し、被害証言はうそだったと認め、男性は同年9月に再審請求した。大阪地検の再
捜査
で、「性的被害の痕跡がない」とする診療記録も見つかり、地検は同11月、男
性の刑の執行を停止し、釈放した。≫

地検が男性の刑の執行停止して釈放するというのは極めて異例。再審開始決定に
とことん抵抗する検組織の判断として、確実な無罪証拠が見つかってしまったとい
うことだ。

目撃者は女性の兄だった。事件の性質からして、兄はすぐそばで犯行をみていた
ことになる。妹を助けないで?
女性が嘘をつくとすれば、その兄も嘘をついている可能性がある。そう考えなけれ
ばならない。

その兄が、男性の弁護人に偽証だったことを認めた。どういう経緯だったのか。記
事にはその経緯が書かれていないけれど、経緯がなるほどというものなら本当。
???であれば、、偽証と認めたことが嘘になる。

それよりもっとずっと胡散臭いのが、「大阪地検の再捜査で、「性的被害の痕跡が
ない」とする診療記録も見つかり」というくだり。
大阪府警の再捜査ではなく、大阪
地検の再捜査。ふつう、警察の捜査の段階で警察に言われて、女性が病院へ行っ
て医師の診断書をもらってくる。その診療記録は警察の手に入り、その後、重要証
拠として検察の手に入る。そこから警察に戻ることはない。それが伏せられたまま
だったのではないか。無罪証拠を隠したまま、検察は「悪質な犯行」と追及したの
ではないか。

しかも、女性の供述は重要な点でかなり変遷したらしい。

検察の言い分にもたれかかる裁判官たちは、地裁、高裁、最高裁ともに、被告人の
無実の訴えに耳を傾けず、実刑有罪判決を言い渡した。

≪男性の勾留と服役は計約6年に及び、今年8月に始まった再審では、検察側が
「無罪判決が相当」と論告し、謝罪していた。≫

検察官が謝罪したとしても、当時の担当検察官ではないし、起訴を決裁した検事正
でもない。その人たちは組織に守られ、ふつうに生活している。苦しめられた被告
人は同じ人なのに、謝る側は捜査にも裁判にも関わっていなかった検察官。決まっ
た台詞を言い、頭を下げてるだけ。上司からそうするように言われているもんで。な
んとも茶番だ。当時の捜査担当、公判担当の検察官、起訴を決裁した当時の検事
正が直接、元被告人に謝らないと、本物の謝罪にならない。被害者本人に謝罪す
る屈辱を回避させてくれる組織では同じ過ちが繰り返される。

裁判官は謝らない。警察、検察が悪い。わたしは悪くない。

ところで、診療記録はどこから見つかったのだろう?