警察組織の見栄とノルマと警察官の自殺

 4月12日のブログ記事(「絶望しか見えなくなったとき、人は暴走
する」)に関連して、警察関係者からメールをいただいた。
 本人の了解を得たので、以下にほぼ全文を紹介する。

 自殺した巡査はリクルーターだったようですね。
 リクルーターは若手警察官が任命され、警察学校などで催される
勧誘イベントに参加したり、母校を訪問して勧誘したりします。

 警察はリクルーター以外の警察官にも、採用試験前になると受験
者を増やすよう、警察官に指示を出します。私も親友に受験票を書
いてもらったことがあります。

 多くの受験者を集めた者は、警務部門から表彰されます。ただ、
不思議なことに、受験票を出してもらうよう依頼はしますが、実際
に試験を受けてもらう必要はないのです。上から求められるのは
あくまで「出願」だけです。

 合格人数は決まっていて、分母である「受験希望者」を増やす。
必然的に、見せかけですが倍率は上がります。実際の受験者は
ずっと少ないのです。
 無駄に分母を増やすことにどのような意味があるのかわかりま
せん。
警察官希望者を見た目だけでも多くしたかったのか。予算が
絡むのか。

 リクルーターに任命された彼は、受験希望者獲得が一般警察官よ
りも重い「ノルマ」として課せられたことは想像に固くありません。
彼は後輩の名前を勝手に使って出願したことがバレて、監察から追
及されていたようです。くだらないノルマで若手警察官をここまで
追い詰めた警視庁の警務と監察は狂っています。

 彼が無断で後輩の名前を書いたのはいけないことです。後輩に一
本連絡しておけばよかったのです。それがなかったために、おそら
く苦情がいってしまったのでしょう。でも、全く知らない人間の名
前を使ったわけではないので、副署長か上司の課長あたりが一緒に
菓子折りでも持って行って謝罪してくれば、それで終わった話のは
ずです。

 絶対にこんな悲惨な事態になっていません。

 問題の根本は警察組織の見栄にある。警察組織の「なんでもノ
ルマ」主義が、こんなところでも現場の警察官を苦しめている。