参議院で特定秘密提示要求を否決

東京新聞2015年12月23日 朝刊
参院情報監視審査会は22日、国会内で会合を開いた。民主党特定秘密保護法に基づいて
2014年に指定された特定秘密のうち2件の提示を政府に求めるよう主張したが、採決の結果、
自民、公明両党の反対多数で否決された。提示の是非をめぐり採決されたのは初めて。今後も与
党の反対で政府への提示要求が拒否されるようなら、国会の監視機能に疑問符が付く。≫

参院情報監視審査会が完全無欠で、そこに任せておけば特定秘密の不正は起こらない、なんて、
だれも思っていない。
こういう事態が起こることは、制度設計のときから想定済み。
こういう事態が起こっていることを多くの国民が知ること、関心を持つことが重要だ。そういう意
味で、この報道には意義がある。

≪審査会の金子原二郎会長(自民)は否決の理由について「民主党は『実際の文書を見て確認
したい』と主張した。だが、自民、公明両党が『提示を求める必要はない』と反対した」と記者団に
説明した。審査会は自民、公明の与党と、民主、維新の党の野党二党で構成するが、維新も特
定秘密の提示を求めた。≫

『提示を求める必要はない』というのは、どういうことか。
見てみなければわからない、見てみたら想像していたのとちがってた、そういうことがよくある。
弁護士として事件の現場に行くと、いつも、手紙や言葉では伝わらなかった新発見がある。どの
仕事でもそうではないだろうか。
『提示を求める必要はない』というのが、みなくても内容がはっきりわかり切っているというのな
ら、提示を求める必要はない。しかし、それなら特定秘密ではない。特定秘密に指定されている
のは、わかり切っている内容ではないからだ。だったら、提示を求める必要はあるのではないか。

求めて行政機関側からダメが出たら、行政機関側と交渉すればいい。

≪金子氏によると、民主党が提示を求めたのは国家安全保障会議(NSC)と警察庁の特定秘密
一件ずつ。NSCに関しては四大臣会合の議論に関する内容。四大臣会合は他国を武力で守る集
団的自衛権を行使するか決める組織だけに、特定秘密の指定状況について国会が厳しく監視す
る必要がある。警察庁については、警察が実施した安全保障に関する外国政府などとの情報協
力業務に関するものだった。≫

国会として最も関心を持つべき重要な事項の1つだ。

≪秘密保護法は防衛や外交などの四分野で、情報漏えいが「国の安全保障に著しい支障を与え
る」と政府が判断すれば、特定秘密に指定できる。判断基準が曖昧のため、政府が思い通りに判
断する余地があり、監視機関として衆参両院に審査会が設置された。≫

そういうこと。

≪しかし、衆参両院とも与党議員が多数を占めるため、与党議員が政府の意向をくんで監視が
甘くなるのでは、との指摘が出ていた。≫

そうならないでほしいけど、なかなか難しい。