都民ファーストの会に勝つだけの実力はなかった

昨日の都議選は、都民ファーストの会の圧勝、自民党の歴史的敗北で終わった。
小池都知事都民ファーストの会の当選者は大喜びしているに違いない。しかし、
都民ファーストの会の候補者に投票した都民が同じように喜んでいるかというと、
そうではない。

投票日前日の秋葉原の群集は「安倍、辞めろ!」と繰り返し叫んでいた。これに
違和感を抱かない多くの人がいた。これは国政レベルの自民党議員や安倍総理
への強い不満、怒りであり、都民ファーストの会への声援ではない。

多くのアンチ自民党が短期間で増え、それが自民党以外の候補者に投票するこ
とにした、しかし民進党共産党は厭だということで、消去法で都民ファースト
会の候補者にでも投票するかとなったに過ぎない。そうでなければ、政策も実績
もない候補者が軒並み当選できるはずがない。

稲田防衛大臣の暴言はとても弁護士資格を持っている者とは思えないひどいも
のだった。「誤解」という弁解で済むはずがない。防衛省自衛隊も困るに違いな
い。安倍総理が稲田防衛大臣を解任するか辞任させていれば、かなり違う展開
になっただろう。安倍総理にはその読みがなかったのだろうか。

かつて自民党に圧勝して政権をとった民主党衆議院解散直後の衆議院議員
選挙で自民党に惨敗し、その後立ち直れなくなっているのも、民主党政権のあま
りの情けなさに呆れた国民が、絶対に民主党には投票しないというアンチ民主党
になり、自民党候補者に投票したときと全く同じ構図だ。

都民ファーストの会はこのことをはっきり自覚して、全議員が短期間のうちに優
秀な議員に変身する努力をしないと、すぐに議員が次々にボロを出し、都民ファ
ーストの会は一気に自滅して行くだろう。

加計問題の内部告発者は守秘義務違反!・・・?

朝日新聞DIGITAL6/13(火) 15:59配信
安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計学園」(岡山市)の獣医学部
新設問題で、「総理のご意向」と書かれた文書の存在などを告発した文部科学省の内
部告発者について、義家弘介文科副大臣は13日の参院農林水産委員会で、国家公務
員法違反(守秘義務違反)での処分を示唆した。≫

そう来ると思っていた。
それにしても、昔のヤンキー先生に比べると、全く覇気が感じられない。疲れ果てている
という感じ。ヤンキー先生の教え子たちは、いま、こんなことを言っている元ヤンキー先
生をどう見ているのだろう。

自由党森ゆうこ氏は、「文科省の文書再調査は(文書の存在をあると告発した)犯
人捜しのためにやっているという話も出ている。今回告発した人は公益通報者にあたる
と思うが、権利を守る意識はあるか
」と尋ねた。≫

えっ!
公益通報者に当たる?・・・わけがない。
森ゆう子議員は、公益通報者保護法の条文を見たことがないに違いない。

公益通報者保護法2条1項では、公益通報について次のように定義している。
「「公益通報」とは、労働者(労働基準法 (昭和二十二年法律第四十九号)第九条 に規
定する労働者をいう。以下同じ。)が、不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的
その他の不正の目的でなく、その労務提供先(次のいずれかに掲げる事業者(法人その
他の団体及び事業を行う個人をいう。以下同じ。)をいう。以下同じ。)又は当該労務提供
先の事業に従事する場合におけるその役員、従業員、代理人その他の者について通報
対象事実が生じ、又はまさに生じようとしている旨を、当該労務提供先若しくは当該労務
提供先があらかじめ定めた者(以下「労務提供先等」という。)、当該通報対象事実につい
て処分(命令、取消しその他公権力の行使に当たる行為をいう。以下同じ。)若しくは勧告
等(勧告その他処分に当たらない行為をいう。以下同じ。)をする権限を有する行政機関
又はその者に対し当該通報対象事実を通報することがその発生若しくはこれによる被害
の拡大を防止するために必要であると認められる者(当該通報対象事実により被害を受
け又は受けるおそれがある者を含み、当該労務提供先の競争上の地位その他正当な利
益を害するおそれがある者を除く。次条第三号において同じ。)に通報することをいう。」
だれが、だれに、なにを通報するかが法律で決まっているのだ。

だれがは、「労働者」だから該当する。
しかし、だれに、というところがちがう。マスコミの記者は通報先にならない。国会議員が
国会での質問でこんなことも知らないで質問することに呆れる。
なにをも、法律で決まっている。

「この法律において「通報対象事実」とは、次のいずれかの事実をいう。
一 個人の生命又は身体の保護、消費者の利益の擁護、環境の保全、公正な競争の確
保その他の国民の生命、身体、財産その他の利益の保護にかかわる法律として別表に
掲げるもの(これらの法律に基づく命令を含む。次号において同じ。)に規定する罪の犯
罪行為の事実
二 別表に掲げる法律の規定に基づく処分に違反することが前号に掲げる事実となる場
合における当該処分の理由とされている事実(当該処分の理由とされている事実が同表
に掲げる法律の規定に基づく他の処分に違反し、又は勧告等に従わない事実である場
合における当該他の処分又は勧告等の理由とされている事実を含む。)」

別表には、刑法、食品衛生法金融商品取引法、農林物資の規格化等に関する法律、
大気汚染防止法廃棄物の処理及び清掃に関する法律個人情報保護法、その他個
人の生命又は身体の保護、消費者の利益の擁護、環境の保全、公正な競争の確保そ
の他の国民の生命、身体、財産その他の利益の保護にかかわる法律として政令で定
めるもの、だけを規定している。
消費者庁が所管庁になっていることから明らかなように、
消費者保護的な観点が強いことがわかる。
今回、文科省の役人がマスコミの記者に話した内容は、このいずれにも該当しない。

森ゆう子議員の質問自体がすでにおかしい。
回答する側はそのことだけ答えておしまいにすればいい。

≪これに対し、義家氏は「文科省の現職職員が公益通報制度の対象になるには、告発
の内容が具体的にどのような法令違反に該当するのか明らかにすることが必要だ」と説
明。≫

ヤンキー先生のこの指摘は正しい。

≪さらに森氏が「『(告発者を)守る』と言えないのか。勇気を持って告発した人たちの権
利を守ると言って欲しい」と求めると、義家氏は「一般論」と断った上で、「告発内容が法
令違反に該当しない場合、非公知の行政運営上のプロセスを上司の許可無く外部に流
出されることは、国家公務員法(違反)になる可能性がある」と述べた。≫

森ゆう子議員の「勇気を持って告発した人たちの権利を守ると言って欲しい」という人情
論もどうかと思う。国会公務員法違反に該当するのであれば、それを問題にするのは当
然だ。
ヤンキー先生の「一般論」はそういうことなのかもしれない。

しかし、この説明は、森ゆう子議員の質問が悪かったことがあるにしても、かなり不十分
だ。
今回の経緯からすれば、本来、文科大臣が事実を明らかにすべきところをしない上に、
関係官僚に国会で説明する機会を与えないから、じゃあ、国民に事実を知ってもらう
ために、マスコミに直接説明しますよ、となっただけのことである。守秘義務違反に当た
るはずがない。

≪森氏は「残念な発言だ。この件に関して報復の動きがあったら許さない」と述べた。≫
「残念」? 残念で済むことではない。それで、「この件に関して報復の動きがあったら許
さない」って、意味不明。「許されない」とどうなるのか。

質問が的外れな上に、回答もズレている。困ったものだ。

報道が問題にしない、「参考人」の自殺の問題点

愛媛県今治市の殺人事件の「参考人」が自殺したというのを、新幹線の中の即報で知りました。
このとき、どういう記事ができるか想像しました。そして、毎日、共同通信は、予想どおりになって
いました。捜査に問題があったという意見と、なかったという意見の両論併記です。朝日は、予
想どおりではありませんでしたが、大差ありませんでした。東京新聞は、共同通信の配信記事を
使っており、「一連の捜査の適否が問われそうだ。」とお茶を濁しています。讀賣は、「識者」のコ
メントを使わず、近所の主婦の「警察の失態ではないか」という声を取り上げています。

どれも無難にまとめているという感じです。どの社も、この自殺の背景にある問題の重大性に気
づいていないのでしょうか。

女性は被疑者ではありませんでした。参考人です。弁護士会は弁護人を派遣していないはずで
す。当番弁護士は、逮捕されている被疑者に対するものだからです。そういう参考人が、午後1
時半から午後10時半まで9時間も警察署の取調室に入れられていること自体、異常です。休憩
時間が20分というのは少な過ぎます。取調べ時間が5時間だったというのは疑問です。仮にそ
うだったとしても、本人の意思によらずに警察署の中に9時間もいることだけでも異常に長過ぎ
ます。

参考人としての任意同行だったという扱いからすると、被疑者であれば当然認められる黙秘権
や弁護人選任権の告知もなかったはずです。黙秘権も知らず、弁護人も呼べずでは、参考人
いされた女性は精神的に参るに決まっています。午後10時半に解放されても、弁護士に相談す
るという選択肢をすぐに思いつくほどの冷静さは失っていたのではないでしょうか。

問題は、実態は被疑者として扱っていながら、警察側で被疑者として扱うにはまだ自信がない、
あるいは弁護士がつくと面倒臭いと考えて、参考人ということにしてしまえばいいという選択がで
きることです。

警察は、女性のDNAの一致をアピールしていますが、DNAは採取も移動も簡単ですから、女
性の自殺後に証拠を捏造することは簡単です。報道は、DNAの同一性という話に安易に乗って
はいけません。

女性は、殺人事件の真犯人かもしれません。そうだとしても、自殺をさせてはいけませんでした。こ
の女性が殺人を犯すに至った経緯は、他の類似犯在の発生を予防する上で重要です。その得がた
い資料を手に入れることができなくしてしまった警察の失態は重大です。

犯人ではないかという疑いのもとで事情聴取をするのであれば(捜査の当初は、目撃者か犯人か
わからないこともあるでしょうが、そういうときでも、目撃者としての事情聴取の範囲を越える質問を
するのであれば、被疑者として扱うべきです。)、必ず黙秘権告知をすること、弁護人選任権を告知
すること、それと事情聴取をする時間帯は昼間にして、せいぜい2,3時間程度に止めるべきです。

これで、今後、すべての参考人の自殺を100%防げるかどうかはわかりませんが、少なくとも今回
の事件の参考人の女性の自殺は防げたはずです。

こういう切り口の記事が日本のマスコミのどこにもないのは、どこの新聞、テレビ、通信社も、こうい
うことを一般の人たちに考えてもらう必要はないという考えなのでしょうか。

厚生労働大臣と健康局健康課予防接種室長へのお願い

厚労省の予算で、子宮頸がんワクチン接種症状の研究を行っている、池田修一信州大学
教授に対する厚労省の対応があまりにもひどいので、去る11日、厚労大臣と、元凶の健
康局健康課予防接種室長に申し入れ書を送った。以下はその全文。

拝啓、春暖の候、時下ますますご清祥の段、お慶び申し上げます。
 厚生労働科学研究費補助金(新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究事業)「子
宮頸がんワクチン接種症状に関する治療法の確立と情報提供についての研究」では、大
変お世話になっております。
 さて、去る3月31日(金)夕方以降、貴省がホームページに掲載した別紙記事をみて、
池田は、自身が名指しで個人攻撃されている文面に驚愕しました。国の行政機関がこの
ような品性を欠く記事をホームページに掲載することはおそらく前代未聞なのではないで
しょうか。

 そもそも上記記事の掲載は、貴省健康局健康課予防接種室の江浪武志室長が池田に
対し、池田班の研究成果及び今年度の研究計画の内容を公表したいという申し入れに端
を発したものでした。昨年3月のマスコミ発表といい、この申し入れといい、厚労省の異例
の広報対応に池田は戸惑いましたが、このたびの申し入れも了承することにしました。
 ただ、これまでの経緯を踏まえて、今回は2つの点についてお願いしました。

1)信州大学の調査結果では、池田班のマウス実験に研究不正がなかったことが明らかに
なっているのに、貴省はそのことをホームページに記載せず池田を非難してきたことを訂正
すること。
2)上記マウス実験に関するスライドは予防接種室で幾度も確認したうえで公表に至ったも
のであり、同スライドの説明文が適切でないまま公表するに至ったことについては貴省は
池田と“同罪”であり、池田を一方的に非難する立場にないことを明らかにすること。

 池田のこれらの要望は極めて常識的なものです。

 しかし、これに対して貴省がとった対応はきわめて異常です。
 貴省のホームページには、上記1)については記載したものの、『平成28年3月16日の
成果発表会における池田修一氏の発表内容に関する厚生労働省の見解について』(以下
厚労省の見解について』と言います)の記載が誤解を生む不適切なものだったことの説
明はなく、訂正であることがわかる書き方をしていません。
 2)については、江浪室長が十分に承知している事実経過であるにもかかわらず、全く言
及していません。それどころか、「池田氏の社会的責任は大きく、大変遺憾に思っておりま
す。」と書いた『厚労省の見解について』を添付した上、「厚生労働省は、科学的な観点から
適切な情報提供を行うことが求められる成果発表会において、池田氏の不適切な研究発
表があり、国民の皆様の誤解を招いた池田氏の社会的責任は大きく遺憾であり、国民の皆
様に生じた誤解を訂正し、正しい理解を得ていただく必要があると判断し、以下の見解を公
表しました。」として、依然として、一方的に池田を非難し続けています。自らの反省は一切
ない、とんでもない言いがかりです。

 その上、今年1月の研究成果説明では池田班の研究内容は審査員らから高い評価を得
たにもかかわらず、貴省は、もともと少額だった池田班の研究費をさらに大幅に減額すると
いう恣意的な懲罰的態度に出ました。まるで江浪室長に反省を求めるようなことを言う研究
者が主任研究者を務める研究班には研究費など出してやるものかと言わんばかりの公金
の私物化であり、池田班の研究に対する兵糧攻めともいうべき深刻な妨害です。
 しかし、貴省ではすでにお気づきのとおり、現在、池田班が行っている研究は、子宮頸が
んワクチン接種行政に重大な影響を与える極めて重要なものです。すなわち、上記研究は、
子宮頸がんワクチン接種後に重篤な後遺障害が生じる条件を解明し、その被害発生を未
然に防ぎ、また、仮に発生しても限りなく少なくし、軽い後遺障害に止めさせ、健康を回復
できる治療法を確立するというものです。これは子宮頸がんワクチンの接種を選択する上
で極めて重要なことです。その研究を、いま、厚労省が頓挫させようとしているのです。これ
は、国民の健康を守ることを設置目的とする厚労省の本来のあるべき姿からすればあるま
じき暴挙です。このような暴挙を国民に説明できるのでしょうか。

 そこで、当職らは、改めて、貴省のホームページの記事を訂正して上記2)を掲載すること
を求めるとともに、去る1月の研究成果説明会での高い評価を踏まえた、池田班の研究費
の増額修正をすることを強く求めます。
 最後になりますが、貴省が国民の健康増進のために一層ご発展されることを心からお祈
り申し上げます。

警察幹部でもいじめ自殺?

読売新聞 4/13(木) 11:11配信
≪10日夜から行方不明になっていた静岡県警の伊藤博文刑事部長(58)が13日朝、静岡市
葵区の山林で死亡しているのが見つかった。
県警幹部が明らかにした。現場の状況などから、県警は自殺とみて、動機などを調べる。≫

警察官の自殺は巡査や巡査部長など階級がいちばん下の方が圧倒的に多い。県警幹部の自
殺はめずらしい。

≪伊藤部長の遺体が見つかったのは、葵区内の自宅から北西に2キロほど離れた賤機山(し
ずはたやま)と呼ばれる一帯。斜面に倒れているのを通行人が発見した。伊藤部長は10日午
後9時頃、自宅を1人で出たまま行方が分からなくなり、妻から届け出を受けた県警が捜索して
いた。遺体発見時、家を出た時と同じ赤いジャンパーを着ていたという。≫

刑事部長と言えば、県警組織で上から何番目という上位者だ。そこまで出世した警察官が自殺
するほど悩んでいた。その悩みを県警内部の幹部たちが気づかないはずがない。追い込んでい
た人たちは、まさかあんなことで自殺するはずがない、と軽く考え、下から見ていた人たちは、あ
そこまでやられたらかなりまいるだろうなあ、と的確に判断する。

わたしが数年前に関わった静岡県警の辞職強要事件では、依頼者は自殺寸前のところでわたし
の事務所に相談に来て、わたしに職場の上司や県警本部の幹部から受けている凄まじいいじめ
の実態を話してくれた。いまにして思えば、このような話をできたからこそ、本人は自殺しないで
済んだのだろう。もちろん、すでに警察を辞め、いまは民間で働いている。

刑事部長には自分の悩みを打ち明ける相手がいなかったのではないだろうか。

背広組幹部にとっての、制服組の命の軽さ

NHK NEWSWEB3月17日 4時05分によれば、
南スーダンのPKO部隊の日報を陸上自衛隊が保管していた問題で、陸上自衛隊は先月、国会
議員から日報に関するコンピューターの使用記録の提出を求められた直後にデータを消去してい
たことが防衛省幹部への取材でわかりました。幹部の1人は、「日報のデータの存在が発覚しな
いよう消去することになった」
と証言しています。≫

このデータの消去は、日常業務ではない。明らかにイレギュラーな証拠隠し。まるで、犯罪組織だ。
防衛省幹部」が匿名になっているのは、他の幹部の意向に反した内部告発をしているからなの
だろう。

南スーダンで大規模な武力衝突が起きた際のPKO部隊の日報について、防衛省は、陸上自衛
隊が破棄し、その後、別の部署で見つかったと説明していますが、実際には陸上自衛隊の司令部
に日報のデータが保管されていました。

この日報は、防衛省内での現状報告として意味があるだけでなく、今後、自衛隊が紛争地域に出
かけるときのための研究素材として貴重なのだ。捨てるはずがない。背広組が本当にすべて捨て
ていたのだとしたら、それは紛争地域に行きっこない背広組が、紛争地域に行かざるを得ない制
服組の命を軽くみているということだ。
それは、確実に、背広組と制服組の間の対立の溝を深くす
る。その溝がどんどん深まったとき、背広組は制服組をコントロールできなくなる。

≪これについて、陸海空の各自衛隊を運用する統合幕僚監部の防衛官僚が、ことし1月下旬、
「今さら言えない」などと言って、公表しない方針を伝えてきたということです。≫

だれだ? 「今さら言えない」などと言った馬鹿者は。官僚の身勝手。
しかも、それで決まってしまうとは、どうなっているんだ、この組織は。

≪さらに、先月になって、陸上自衛隊は、国会議員から日報に関するコンピューターの使用記録
の提出を求められ、その直後に、データを消去したことが新たにわかりました。≫

「戦闘」の文字が書かれている日報が国会に出てくれば、政府は自衛隊員たちを南スーダンから
引き上げなければならなくなる。背広組が日報=「戦闘」の文字を隠すことは、紛争地域にいる
自衛官たちの命を危険に曝し続けるということだ。自衛隊員の命より、自分たちの面子が優先か。
それとも、稲田防衛大臣安倍総理の政治上の立場を守るつもりの愚挙か。

防衛省幹部によりますと、この時、陸上自衛隊の司令部から複数の端末が持ち出され、データ
などが消去されたということです。
幹部の1人は「日報のデータの存在が発覚しないよう消去することになった」と証言しています。≫

この証言は違法秘密の暴露だから、国家公務員法守秘義務違反には当たらない。もちろん、
特定秘密でもない。

防衛省は、客観的な立場で調査を行う「特別防衛監察」を実施し、詳しいいきさつなどを解明し
たいとしています。≫

特別防衛監察。まず内部調査になるのは仕方がないかもしれないが、客観的な立場でどこまでで
きるかは疑問だ。
しっかりやらなければ、背広組と制服組の対立の溝はもっとずっと深まる。それは確実。

だれが暴走しているのか

毎日新聞2017年3月16日 10時43分(最終更新 3月16日 10時56分)
南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に派遣されている陸上自衛隊部隊の日報を巡る問題で、
これまで防衛省が「廃棄したので存在しない」としていた陸自内で、日報の電子データが保管されて
いたことが分かった。同省は陸自とは別の機関である統合幕僚監部で電子データが見つかったとし
てきたが、実際には陸自で当初から保管されていたといい、「隠蔽(いんぺい)」との批判が高まり
そうだ。≫

どうしてそういう展開になるかなあ。
この手の文書が廃棄されるはずがないということが、記者にはわからないのかなあ。

≪派遣部隊は上部部隊の陸自中央即応集団(CRF)に現地の情勢を報告するため、陸自の指揮シ
ステムにある掲示板に日報の電子データをアップロードする。同省関係者によると、アクセス権限が
ある同省職員や陸自隊員が、職務の参考のために電子データをダウンロードしていた。≫

なるほど。

≪昨年9月に日報の情報公開請求を受けた同省は、派遣部隊とCRFで文書を探しつつ、統幕にも
意見照会をした上で「廃棄して不存在」として同12月に不開示を決定した。≫

あるに決まっている文書を、だれの判断で、どういう動機でそういうことになったのかが問題だ。
自衛隊にも防衛省にも隠す、というか嘘をつく理由がない。

稲田朋美防衛相が再探索を指示し、同月26日に統幕での保管を確認した後、陸自内でも保管
されていることを把握したが、同省は2月7日から電子データの開示を始めた際にも「陸自にデー
タは保管されていない」と説明し、事実を公表しなかった。つじつまを合わせるために、陸自内で今
年に入ってデータが消去された可能性もあり、同省は調査している。≫

稲田防衛大臣は、南スーダンが「戦闘状態にある」ことを知ることを嫌がっているのではないか。
そういう稲田防衛大臣は、自衛隊防衛省にとって、南スーダンにいる自衛隊員の命を大事に思
ってくれていないようには見えない。
そうであれば、自衛隊防衛省(の官僚)は、稲田防衛大臣のために、「戦闘状態にある」と書い
てある日報が存在しないことにした方が望ましいのだろう、と忖度(そんたく)するに決まってい
る。

≪日報には、昨年7月の政府軍と反政府勢力との大規模な衝突を「戦闘」と表現する記載があり、
野党が国会でPKO参加5原則が崩れていたのではと追及。稲田防衛相は「法的意味で戦闘行為
はなかった」
と説明していた。統幕でデータが保管されていることが確認された後、稲田防衛相に
報告するまで約1カ月かかっており、「文民統制シビリアンコントロール)上、問題ではないか」と
も批判されていた。≫

「法的意味で戦闘行為はなかった」
日本語になっていない。

文民統制シビリアンコントロール)上、問題ではないか」という批判は当たらない。
自衛隊員は命の危険に晒されているのだ。「安全だから行け」と政府に言われて南スーダンに行
ったのだ。安全でないのなら、日本にさっさと帰りたいに決まっている。南スーダンが戦闘状態に
なれば、自衛隊員はすぐに日本に帰れるはずなのだから。それを実現させてくれないのは、「法
的意味で戦闘行為はなかった」と言っている防衛大臣だ。
文民統制シビリアンコントロール)」が暴走しているのだ。