厚生労働大臣と健康局健康課予防接種室長へのお願い

厚労省の予算で、子宮頸がんワクチン接種症状の研究を行っている、池田修一信州大学
教授に対する厚労省の対応があまりにもひどいので、去る11日、厚労大臣と、元凶の健
康局健康課予防接種室長に申し入れ書を送った。以下はその全文。

拝啓、春暖の候、時下ますますご清祥の段、お慶び申し上げます。
 厚生労働科学研究費補助金(新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究事業)「子
宮頸がんワクチン接種症状に関する治療法の確立と情報提供についての研究」では、大
変お世話になっております。
 さて、去る3月31日(金)夕方以降、貴省がホームページに掲載した別紙記事をみて、
池田は、自身が名指しで個人攻撃されている文面に驚愕しました。国の行政機関がこの
ような品性を欠く記事をホームページに掲載することはおそらく前代未聞なのではないで
しょうか。

 そもそも上記記事の掲載は、貴省健康局健康課予防接種室の江浪武志室長が池田に
対し、池田班の研究成果及び今年度の研究計画の内容を公表したいという申し入れに端
を発したものでした。昨年3月のマスコミ発表といい、この申し入れといい、厚労省の異例
の広報対応に池田は戸惑いましたが、このたびの申し入れも了承することにしました。
 ただ、これまでの経緯を踏まえて、今回は2つの点についてお願いしました。

1)信州大学の調査結果では、池田班のマウス実験に研究不正がなかったことが明らかに
なっているのに、貴省はそのことをホームページに記載せず池田を非難してきたことを訂正
すること。
2)上記マウス実験に関するスライドは予防接種室で幾度も確認したうえで公表に至ったも
のであり、同スライドの説明文が適切でないまま公表するに至ったことについては貴省は
池田と“同罪”であり、池田を一方的に非難する立場にないことを明らかにすること。

 池田のこれらの要望は極めて常識的なものです。

 しかし、これに対して貴省がとった対応はきわめて異常です。
 貴省のホームページには、上記1)については記載したものの、『平成28年3月16日の
成果発表会における池田修一氏の発表内容に関する厚生労働省の見解について』(以下
厚労省の見解について』と言います)の記載が誤解を生む不適切なものだったことの説
明はなく、訂正であることがわかる書き方をしていません。
 2)については、江浪室長が十分に承知している事実経過であるにもかかわらず、全く言
及していません。それどころか、「池田氏の社会的責任は大きく、大変遺憾に思っておりま
す。」と書いた『厚労省の見解について』を添付した上、「厚生労働省は、科学的な観点から
適切な情報提供を行うことが求められる成果発表会において、池田氏の不適切な研究発
表があり、国民の皆様の誤解を招いた池田氏の社会的責任は大きく遺憾であり、国民の皆
様に生じた誤解を訂正し、正しい理解を得ていただく必要があると判断し、以下の見解を公
表しました。」として、依然として、一方的に池田を非難し続けています。自らの反省は一切
ない、とんでもない言いがかりです。

 その上、今年1月の研究成果説明では池田班の研究内容は審査員らから高い評価を得
たにもかかわらず、貴省は、もともと少額だった池田班の研究費をさらに大幅に減額すると
いう恣意的な懲罰的態度に出ました。まるで江浪室長に反省を求めるようなことを言う研究
者が主任研究者を務める研究班には研究費など出してやるものかと言わんばかりの公金
の私物化であり、池田班の研究に対する兵糧攻めともいうべき深刻な妨害です。
 しかし、貴省ではすでにお気づきのとおり、現在、池田班が行っている研究は、子宮頸が
んワクチン接種行政に重大な影響を与える極めて重要なものです。すなわち、上記研究は、
子宮頸がんワクチン接種後に重篤な後遺障害が生じる条件を解明し、その被害発生を未
然に防ぎ、また、仮に発生しても限りなく少なくし、軽い後遺障害に止めさせ、健康を回復
できる治療法を確立するというものです。これは子宮頸がんワクチンの接種を選択する上
で極めて重要なことです。その研究を、いま、厚労省が頓挫させようとしているのです。これ
は、国民の健康を守ることを設置目的とする厚労省の本来のあるべき姿からすればあるま
じき暴挙です。このような暴挙を国民に説明できるのでしょうか。

 そこで、当職らは、改めて、貴省のホームページの記事を訂正して上記2)を掲載すること
を求めるとともに、去る1月の研究成果説明会での高い評価を踏まえた、池田班の研究費
の増額修正をすることを強く求めます。
 最後になりますが、貴省が国民の健康増進のために一層ご発展されることを心からお祈
り申し上げます。