適性評価制度を実際に運用するのはだれ?

 衆議院で可決成立した秘密保護法案には、議論されていない重要な問題がまだまだ
ある。そのひとつが企業労働者の適性評価の実施についてだ。
 11月22日に書いたことにさらに付け加えることがある。だれが適性評価を実際に
運用するのか
、という問題だ。

 第12条で、行政機関の長(警察本部長を含む)は、企業労働者についても、直接、
適性評価をする権限を持つ
ことになる。
 しかし、実際には、大臣や警察本部長が企業労働者の秘密情報取扱い候補者全員に
ついて直接、適性評価をすることができるはずがない。
 第17条では、行政機関の長(大臣や警察本部長)は、政令で定めるところにより、
適性評価の事務を当該行政機関の職員に委任することができる。部下にやらせることが
できる、ということだ。まあ、そうだろう。
 しかし、問題はここで終わらない。

 第20条をみると、関係行政機関の長は、適性評価の実施に関し、・・・漏えいを防止
するため、相互に協力するものとする、となっている。
 この規定によれば、関係行政機関は、すべての適性評価の実施を警察庁に依頼することも
可能になっているように読める。
 警察庁が取扱い予定者の「特定有害活動」や「テロリズム」などに関する詳細な情報を
収集した場合、それを丸ごと本来の行政機関に提供することになるのであろうが、警察庁
収集した個人情報が残らないという保証はあるのだろうか。

 職員や企業労働者のプライバシー保護の観点からすると、行政機関の職員については
当該行政機関内で、企業労働者については当該企業内で実行するべきである。