「真犯人と判断した根拠はなんですか?」

 前回の記事の付録。

 警察権力の暴走は止まるところを知りません。
 組織力の強さであり、だれが責任者かわからない日本の組織の無責任さの
なせる技です。

 提訴前に、被疑者の家族と被害者の遺族が連名で捜査協力を岩手県警に申
し入れた。「被疑者の家族と被害者の遺族が連名で警察に捜査協力を申し入
れるなんて前代未聞だ」
。わたしは、記者会見に集まった新聞記者、テレビ
局の記者たちに訴えた。

 しかし、「被疑者の家族と被害者の遺族が連名で」という記事は新聞1紙
にしか出ませんでした。
他社はこのことの意味の深さを知ってか知らずか
(気づかなかったら、報道機関としてどうかと思う。)、どこも報じません
でした。

 「被疑者の家族と被害者の遺族が連名で」という画期的な(?!)記事を
書いてくれた新人記者は、その後、連絡が途絶えてしまいました。記者クラ
ブが県警本部内にあったことから、きっと、県警関係者やさらには記者クラ
ブの他の記者らから“厳しい指摘”を請けたのかもしれません。
 この記者にかぎらず、日本ではどこでも個人が問題意識を持って行動する
ことを許しません。マスコミ記者もそんな世界で生きているのです。これは
決して記者という職業を見下しているのではありません。マスコミに幻想を
抱くなという自戒です。

 逮捕状、指名手配(全国の警察の協力)(非公開)、公開捜査を同時に始
めるときに、記者のひとりが、「真犯人と判断した根拠はなんですか?」と
聞いてくれれば、ほとんど根拠がないことが記事に出たはずです。それを岩
手県警の記者会見に集まった記者はだれも質問してくれませんでした。

 警察の暴走をマスコミが支えている。そういう現実がこの国にはある。