周りの人たちはどういう対応をしていたのか?

毎日新聞2015年12月26日 19時39分(最終更新 12月27日 08時13分)

静岡県西伊豆町で今年7月、川岸に設置された電気柵付近で川遊びをしていた7人が
感電し2人が死亡した事故で、静岡地検沼津支部は24日、重過失致死傷容疑で書類送
検された電気柵を設置した男性(当時79歳)を容疑者死亡で不起訴処分とした。≫

≪県警によると、男性はアジサイの花壇をシカなどの食害から守ろうと、自宅納屋の家庭
用コンセント(100ボルト)を電源にした電気柵を自作し設置した。男性は8月に自殺した。≫

事件が発生したのは7月
男性が自殺したのは8月
地検が不起訴にしたのは12月24日

警察が被疑者死亡の事件として送検し、被疑者死亡を理由に不起訴にしたのか。
送検時には死亡しておらず、その後、被疑者が自殺し、地検が被疑者死亡を理由に不起
訴にしたのか。
否認事件でもなく、複雑でもなく、被疑者が事実経過をちゃんと説明してくれる事件だから、
おそらく後者だろう。
在宅事件だとすると、被疑者が死亡する前に検察官は取調べをしていたのだろうか。

検察官が取調べた直後に自殺していたのだとすれば、検察官の取調べ内容が気になる。
そして、なぜ事件処理(被疑者死亡を理由とする不起訴)がどうして12月まで引き伸ばさ
れたのか。検察官が取調べをする前に被疑者が自殺してしまったのなら、不起訴処分は
すぐにしたはずだ。自殺時期と地検の不起訴時期の間が長過ぎるのが気になる。

弁護人はついたのか。いつついたのか。
警察や検察の取調べに問題はなかったのか。
弁護人は被疑者のための日常生活の送り方についてどんな助言をしていたのだろうか。
被疑者の周囲の人たちにどんな助言をしていたのだろうか。

警察、検察、弁護士(弁護人としてついていれば)は、それぞれの仕事をしただけなのだろう。

被疑者にはおそらくこれと言った前科前歴などない。自分が人を死なせるようなことをするな
ど考えたこともない人生を送って来た人だったのではないか。そうであったとしてもなかった
としても、自分が作った原因で人を死なせ、大怪我を負わせてしまったことは、死んでも死に
切れない辛い思いになるにちがいない。被疑者が自殺した気持ちはだれにでも想像できる
だろう。自殺する前から想像できただろう。

そういう被疑者と向き合ってこの事件の話をしていた警察官、検察官、弁護士は、被疑者と
どんな話をしていたのか。家族や近所の人たち、親しかった人たちは、被疑者とどんな話を
していたのか。被疑者の自殺はやむを得なかったのか、周囲の人々の敗北ではないか。