合格倍率の疑問は解消されたが・・・

 警察官のリクルーターをしていた若い巡査が自殺した事件に関連
して、4月16日に、「警視庁ホームページの表記のトリック?」を書
いた。

 警視庁のHPには、年度ごとに、受験者数・合格者数・倍率が紹介
されている。

【男性警察官の1類】
 平成23年度/16,791、1,703、 9.9倍
 平成24年度/14,558、1,282、11.4倍
 平成25年度/13,128、1,438、 9.1倍
【男性警察官の2類】
 平成23年度/  178、  35、 5.1倍
 平成24年度/  229、  26、 8.8倍
 平成25年度/  160、  19、 8.4倍
【男性警察官の3類】
 平成23年度/ 3,189、 421、 7.6倍
 平成24年度/ 3,069、 307、10.0倍
 平成25年度/ 2,738、 312、 8.8倍

 1類から3類まですごい倍率だ。
 過去3年間のこの倍率をみるかぎり、毎年たくさんの若者が警察官
採用試験を受験している。若い警察官が必死なって応募者を集める
必要などない。
 なぜ、若い警察官が自殺するほど悩むのか?

 警察関係者が教えてくれた。
 「警視庁のホームページの「受験者数」は応募者数ですよ。警視庁
ではわかっていて、倍率を高く見せるために、応募者数を「受験者数」
と意図的に書いているんです」
 実際の受験者数こそ公表されていないというのだ。

 そこでこれが本当かどうかを確認するために、情報公開請求をした。
今日、その結果が出た。結論から言うと、警視庁のHPの記述は本当
だった。
内情を教えてくれた人の話は、正確な意味においては正しく
なかった。

 しかし、巡査の自殺の原因に絡む問題は解決していなかった。
 公開された応募者数を上記の受験者数と比較すると、

【男性警察官の1類】
 平成23年度/21,306 16,791 −4,515 21.2%
 平成24年度/18,408 14,558、−3,850 20.9%
 平成25年度/16,521 13,128、−3,393 20.5%
【男性警察官の2類】
 平成23年度/  293  178  −115  39.2%
 平成24年度/  333  229  −104  31.2%
 平成25年度/  263  160  −103  39.2%
【男性警察官の3類】
 平成23年度/ 4,333 3,189 −1,144  26.4%
 平成24年度/ 4,129 3,069 −1,060  25.7%
 平成25年度/ 3,594 2,738 − 856  23.8 %

 応募者数に対して受験しない者の人数、割合が、毎年、異常に多
い。真面目に警察官になりたい者ばかりが応募しているのであれば、
毎年、このような傾向が出るはずがない。
 「応募だけでいいから頼む」と若い警察官(巡査)に言われて、高校
や大学などの友達や後輩が「応募だけでいいんだね」と応じている実
態が恒常的にあるのではないか。
 内部事情を教えてくれた警察関係者の指摘は正しかった。

 警視庁本部としてはこれでもいいのかもしれないが、警察署の上司
の指示でリクルーターをしている現場の若い警察官が、とにかく応募
者数を増やせというノルマで窮地に追い込まれていて、その延長線上
に今回の殺人・自殺事件が起こったとすれば、
警視庁としては、この
際、リクルートの仕方を見直す必要があるだろう。