「パブリックコメントは機能しているのか?」

 急遽、今夜10時40分ころから1時間、TBSラジオの番組に出ることになった。
 テーマはパブリックコメント

 TBSラジオの夜の番組には年に幾度か呼ばれて、参加させてもらっているので、番組の雰
囲気はよくわかっている。話しやすいいい番組だ。
 先週末、久しぶりにTBSラジオの番組担当者から電話がかかってきた。
 「月曜日のセッション22に出てもらえませんか。テーマはパブリックコメントについてで、電
話でいいので」。月曜日が休日なので、自宅からわざわざ赤坂のスタジオまで出て来なくてい
いという譲歩策のようだ。行かなくていいのなら、自宅で気楽に対応できるからいいかと思っ
た。

 ところが、番組担当者のその次の説明を聞いて気が変わった。
 番組担当者は、「ただ、進行役は荻上チキさんではなく、首都大学東京の木村草太准教授な
んですけど」と、ちょっと申し訳なさそうな言い方。
 荻上チキさんはたしかにいい。彼と番組を一緒にした経験からして、彼は問題の本質を捉え
て話をするからおもしろい。知識量をひけらかしてごまかすような話し方をしない。その荻上
んがいない。・・・で、代わりがシュトダイガクトウキョウのキムラソウタ。えっ、あの首都大学
京の木村草太准教授。う〜ん、だったら、尚更のことスタジオに行きたい!
 「あの」にはわけがある。

 司法試験のときに散々勉強した憲法。でも、弁護士になったら仕事で憲法を使うことなんか
ないぞと、弁護士の先輩達に言われた。まさかと思ったが、実際にそのとおりになった。ほとん
どの弁護士がそうだろう。それは弁護士の仕事が憲法と無関係だからなのではなく、弁護士が
仕事で扱っている内容を憲法論的に分析してくれる憲法学者がいないからではないか。だから、
弁護士も自分の仕事は憲法には(あまり)関係ないと思うようになってしまっているのではない
か。日本の憲法学者が弁護士実務の世界の議論に入って来ないのは、そんなことをしても、日
本の憲法学会(要するに、先輩の憲法学者たちが支配する世界)ではちっとも評価されないか
らなのだろう。

 しかし、木村さんは全く違っていた。
 彼はかつてわたしの関わった裁判を手伝ってくれたことがあり、幾度も話し合った。どこかか
ら借りてきた憲法論ではなく、リアルな憲法論を話す面白い憲法学者なのだ。日本にこんなお
もしろい憲法学者が存在するのかと驚いた。嬉しくなった。こういう憲法学者は本当に少ない。

 彼が進行役なら、日本のパブリックコメントについて議論するときどんな展開になるか全くわ
からない。電話じゃ、こちらが話しているときの木村さんの様子がみえない。直接話した方がい
い。そう思って、「スタジオに行っていいですか」と、こちらから切り出した。
 番組担当者は一瞬言葉に詰まっていたが、わたしのことを知っているからか、知っているけ
れどかはわからないが、すぐに、「じゃあ、スタジオに来てください」となった。

 で、今夜午後10時40分過ぎから1時間くらいの生放送で、木村草太さんと、立教大学の原
田久教授と3人で、「パブリックコメントは機能しているのか?」について話すことになった。

 パブリックコメントが機能するとはどういうことなのか?
 なるほどなあ、と思ってもらえる話がいくらかでもできればいいと思う。お楽しみに。