厚労省の厚顔無恥ぶりに呆れる!

昨日、「平成28年3月16日の成果発表会における池田修一氏の発表内容に関する厚生労働省の見
解について」と題して、厚労省がHPに見解を公表した。

厚生労働省では、HPVワクチンを接種した後に生じた「運動障害」や「慢性の痛み」などの症状につ
いて、被接種者とその家族に対して、「適切な医療を提供する」ことに資することを目的として、平成25
年度から、厚生労働科学研究事業で2つの研究班、「子宮頸がんワクチン接種後の神経障害に関する
治療法の確立と情報提供についての研究(代表:信州大学医学部 池田修一教授)(以下、池田班)」※
と、「慢性の痛み診療・教育の基盤となるシステム構築に関する研究(代表:愛知医科大学学際的痛み
センター 牛田享宏教授)(以下、牛田班)」※を設置して研究を進めてきました。≫

池田班と牛田班。両者の予算の差を比べると、厚労省がどちらに肩入れしているかがよくわかる。
のことはマスコミ記者に幾度も言っているが、どこもやらない。まあ、これが国民の知る権利を守ってい
るはずの日本のマスコミの現実。

≪平成28年3月16日、地域において適切な医療を提供するという観点から、池田班、牛田班の研究
の成果(主に治療成果)を、協力医療機関等の医師に対して情報提供を行うために成果発表会を開催し
たところ、池田班より、HPV ワクチンを接種したマウスのみに自己抗体の沈着を示す陽性反応があっ
た、との報告がありました。これに対して、一部報道よりねつ造の指摘があり、また池田修一教授が所
属する信州大学が外部有識者による調査委員会を設置して調査しました。≫

「平成28年3月16日、・・・との報告がありました。」とある。まるで、厚労省はこの日、初めて知った
かのような書きぶり。実際はちがう。1月の研究班の発表に出ているものだから、このときから厚労
省は知っていた。どうしてそのことがわかるように書かないのか。ずるい。そのとき、厚労省も班員も
だれも「このマウス実験スライドはおかしい」と言っていなかった。

そして3月の発表。この発表の場は厚労省が設けたものだったし、厚労省はこのときも事前に1月の
研究班発表会のときと同じマウス実験スライドが使われることを確認して、何も注意しなかった。
にも
かかわらず、「平成28年3月16日、・・・との報告がありました。」はずるい。
発表会当日も、参加した記者だれからもマウス実験スライドについて疑問は示されなかった。発表後
医療雑誌記事でもマウス実験スライドのことにほとんど言及していなかった。

なぜマウス実験スライドは研究班でもマスコミ記者発表でも注目を浴びなかったのか。それは、だれも
がこの実験がパイロット実験段階のものとして始めたばかりで結論が出たわけではないことを知ってい
たからだ。パイロット実験で興味深い特異な反応が出たとしても、何かの偶然かもしれない、時間をか
けて多くのマウス実験をしないと子宮頸がんワクチンに関連するのではないかという推測さえできない
と、わかっていた。パイロット実験段階で結論づける者はだれもいなかったのだ。

「これに対して、一部報道よりねつ造の指摘があり」ということ自体が驚くべき異常事態なのだ。厚労
省も信州大学もそう言って、ねつ造指摘を一蹴すればよかった。
が、現実は厚労省信州大学もそう
言わなかった。このような対応こそ異常だ。

≪この度、信州大学の調査が終了し、以下の内容が公表されました。≫
として、以下の点をあげている。

1)マウス実験は、各ワクチン1匹のマウスを用いた予備的なものであった。
2)予備的な実験であったため、結果の公表に際しては特段の配慮がなされるべきであった。
3)池田氏が発表で用いたスライドには、マウス実験結果を断定的に表現した記述や、自己抗体の沈
着、といった不適切な表現が含まれていた。
4)前述より、マウス実験の結果が科学的に証明されたような情報として社会に広まってしまったこと
は否定できない。
5)池田氏に対し、混乱を招いたことについて猛省を求める。

ねつ造がなかったという事実が最も重要なのに、そのことを書いていない。ずるい。
1)は、確かに少ない。が、そのこと自体、違法でも不当でもない。
2)の指摘がすでに実情からずれている。池田氏がマスコミに公表したスライドは、1月の研究班発表
会でだれからも問題が出されなかったものであり、3月のマスコミ公表前に厚労省に確認してもらって
いて、そこでも問題を指摘されていなかったものである。しかも、集まった記者だれからも疑問を指摘
されなかったものである。だれもがパイロット実験であることを知っていたからであり、特段の配慮は
必要ない。
3)の指摘自体は正しいが、だれも誤解していないのだから実害はない。
4)は、事実ではない。研究班内では誤解がなく、マスコミ発表会でもごく一部の参加者を除けば誤解
はなく、誤解していない人たちはだれもマウス実験結果が確定的であるかのような言論を対外的に行っ
ていない。社会に広めたのは、マウス実験がパイロット実験段階であることを承知していながらあたか
も確定的な結果であるかのように流布した人たちだ。「広まってしまった」のでない。意図的に悪意をも
って誤解を広めたのだ。
したがって、5)はまったくのお門違いだ。パイロット実験の結果に過ぎないことをわかっていながら、そ
うでないかのように世間に流布した人たちこそ、混乱を招来した人たちであり、猛省すべきだ。信州大
学の調査は実情からかなり的を外したものになっている。

信州大学の調査もひどいが、厚労省もひどい。
厚生労働省としては、厚生労働科学研究費補助金という国の研究費を用いて科学的観点から安全
・安心な国民生活を実現するために、池田班へ研究費を補助しましたが、池田氏の不適切な発表によ
り、国民に対して誤解を招く事態となったことについての池田氏の社会的責任は大きく、大変遺憾に思
っております。≫

池田氏の不適切な発表? それはないだろう。厚労省が承知しているスライドを使って説明したことに
ついて、どうして厚労省から「池田氏の社会的責任は大きく、大変遺憾に思っております」などと言わ
れなければならないのか。
池田氏の発表が問題なら、厚労省も同罪だ。上から目線で「大変遺憾」など
と言えた立場ではない。呆れる。

続けて厚労省は次のように言う。
≪また、厚生労働省は、この度の池田班の研究結果では、HPVワクチン接種後に生じた症状がHPV
ワクチンによって生じたかどうかについては何も証明されていない、と考えております。≫

当たり前だ。パイロット実験なのだから。そのことは最初からわかっていることなのだから、厚労省
今更わざわざ言うことではない。